ホロライブ・ときのそらの別の姿を「ホラーゲーム」が捉える日は来るのか?【バーチャルタレント名鑑】

現在大きく注目を集めるVTuber・バーチャルタレントシーンにおいて、強烈な存在感でシーンを牽引している事務所・ホロライブ。今回紹介するのはときのそらさんです。

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ホロライブ・ときのそらの別の姿を「ホラーゲーム」が捉える日は来るのか?【バーチャルタレント名鑑】
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様々なバーチャルタレント事務所が次々に発足し、着実にその裾野を広げ続けているバーチャルタレント(VTuber)シーン。牽引する二大事務所に注目が集まるなかにあって、数年来に渡って活躍を続けるタレントも非常に多い。この連載コラム「バーチャルタレント名鑑」では、様々なカルチャーシーンで奮闘を続けるバーチャルタレント(VTuber)一人一人にスポットライトを当て、これまでの軌跡とこれからの望見について書いていきます。今回紹介するのはときのそらさんです。

現在大きく注目を集めるVTuber・バーチャルタレントシーンにおいて、強烈な存在感でシーンを牽引している事務所・ホロライブ。日本・海外合わせて54名のメンバーが活動しており、生配信での活気ある活動を中心に、音楽活動・ライブ出演・テレビ出演・企業PRなどにも積極的で、その強いタレント力でシーンに新しい道を作り続けてきました。

そんな「生配信での活気ある活動」のお供になるのが、多種多彩なゲーム作品。プロと見まがうほどに上手な方もいれば、「どうしてそんなプレイを?」と思えるほどに苦手な方もいたりと、所属タレントによってさまざまです。

今回挙げるのは、ときのそらさんと『ホラーゲーム』になります。

ホロライブ・ときのそら、デビューから5周年

ときのそらさんは、2017年9月7日より活動を開始、先日には5周年を迎えたばかり。ホロライブ初のバーチャルアイドル/VTuberとしてプロダクション、何よりVTuber/バーチャルタレントシーンを引っ張ってきました。

2019年3月にビクターエンタテインメントからメジャーデビューして以降も、1人前のアイドルを目指すためにTVドラマ・ラジオなどで活躍し、様々なジャンルで活動してきました。

彼女が登場した頃のホロライブ、いやカバー株式会社というと、VRテクノロジーを使ったアプリ開発を進めるスタートアップ系の会社であり、のちにARカメラアプリ「hololive」の開発に着手します。じつはときのそらさんはバーチャルアイドルでもVTuberでもなく、いわゆるARアプリのイメージキャラクターとして生まれた存在でした。

彼女が初配信をした際に訪れた視聴者は、関係者を除くと13人だけ。今とはまったく状況が違い、ときのそらさんはあくまでイメージキャラクターのような立ち位置としてスタートしています。現ANYCOLOR社・にじさんじの元一期生がアプリのテスターとしてデビューしたのと同じように、前例が少ない中でのスタートでした。

【17/09/07放送】ときのそらVR生放送アーカイブ【#001】

その後、2017年12月頭まではhololive、17Live、LINE Liveなどで配信しており、12月12日からはYouTubeでの配信を開始しました。当初はアプリ「hololive」を「そらさんの配信を見るためのアプリ」として提供することを計画していたそうですが、「タレントプロデュース」の方向へと徐々に舵を切ったことで、カバー社は現在の繫栄へと繋がっていきました。

そらさんの当初からの夢は「横浜アリーナでライブをすること」。星街すいせいさんが活動初期から日本武道館でのライブを目標に掲げて活動を続けていますが、2017年から2018年にかけてこのような話をまともにすることすらも、文字通りの夢物語でもありました。

現在彼女は、彼女らしい足取りで夢に向かっている途中でもあります。7月29日にはYouTubeチャンネル登録者数が100万人を突破、11月19日にはワンマンライブ『宇宙と時空のミルキーウェイ』を開催予定。東京かつしかシンフォニーヒルズ・モーツァルトホールにて開催が予定されています。

【100万人をみんなと】はじまりをもう一度~9/7のあのときへ~【#ときのそら生放送】

「VTuber」という言葉がまだインターネットの片隅で流行る前から登場し、多くの後輩らやライバルに恵まれながら、酸いも甘いも経験してきたときのそらさん。タレントプロダクションとして運営しつづけているホロライブのなかにあって、「ホロライブのお手本」ともいえる王道かつオーセンティックなアイドルらしい魅力を放ち続けてきたのです。

ときのそら×ホラーゲーム その深き関係性。

そんなときのそらさんも、2018年年明けから盛り上がり始めたシーンの熱に合わせて、ゲーム実況にも手を付けるようになります。

配信上での彼女というと、落ち着いた物腰と口調、柔らかな声色でリスナーと楽しく配信をしていくのが特徴です。なにかと暴走しがち・キャラの濃いホロライブメンバーが毎日のように配信しているなかで、彼女の配信はどこか品の良さをも感じられるもの。

そんな彼女を慕ってか「先輩」という以上に、彼女を「ママ」「お姉ちゃん」とファンから評されることもありました。ホロライブのスタッフとして勤める友人Aさんもデビュー直後におもわず検証するほどでした。

【検証】ときのそらはママなのか?お姉ちゃんなのか?

以前はネットカルチャーやオタクカルチャーにあまり詳しくなかったこと、たまに一般感覚からズレたチョイスをすることで困惑させるところも含めて、彼女の持つ「純粋さ」はいま現在のホロライブのなかでも無二のオリジナリティとして輝いているところでしょう。

ときのそらとゲームといえば「ホラーゲーム」を挙げるファンは数多いと思います。なんといっても、公式ホームページにその記載があるのですから。

そらさんがホラーゲームをすると、まず驚かされるのは強心臓・ポーカーフェイスぶりです。ふだんの穏やかな口調と落ち着いた物腰は淡々としたゲームプレイに繋がり、恐怖を煽る文言や演出が重なっても驚くこともなく、平然とプレイし続けていきます。

さまざまなホラーゲームをやってきた経験値と「ゲーム慣れ」も影響してか、それとも他のゲーム配信でときどき顔を覗かせる「天然さ」「鈍感さ」がうまくハマっているからか、ただ視聴者・リスナーとしてみているとうかがい知れません。

ホラーゲームを配信しているなかでビビらせポイントや怖がらせポイントにほとんど動じないというと、お笑いで例えればボケに対してツッコミをしないというように思えるかもしれません。

むしろ、そらさんの配信では「どんなタイミング・内容ならそらさんが驚くのか?」「冷静に進めるからこそホラーゲームのシナリオやギミックを楽しめる」という部分を楽しむリスナーも増え、なにより彼女が驚きなくホラーゲームを進めるので、「ホラーゲーム初心者にもハードルが低く安心して見れる」という点にも繋がっていきます。

活動初期には「ホラー(ゲーム)トーク」という動画をTwitterに挙げたりするなど、活動初期から彼女の「ホラー愛」が全開だったことが伺えます。

2019年4月に刊行されたライトノベル『ときのそら バーチャルアイドルだけど応援してくれますか?』のなかでも、ホラーゲームをプレイしている姿が描かれています。2019年3月、そらさんご本人が投げかけた質問に対して、Twitter上では7000票近い投票が集まりました。つまり…

「ときのそらはホラーゲーム、である。」

ときのそら「わたし、実はホラーゲームは得意じゃないんです」

「ときのそらさんとホラーゲーム」との関係から「ホロライブとホラーゲーム」との関係に話を滑らせれば、2021年8月ごろから静かに始まったホラー企画『hololive ERROR』は見過ごすことはできないでしょう。

360度動画を皮切りにして、リアル謎解きイベント、マンガ動画と、さまざまな媒体で展開され、そのなかで物語が断片的に公開されていきました。

2022年7月18日には『hololive ERROR』完全版をPC向けに販売開始。ホロライブの公式ショップにて販売中で、ゲーム本編のみのデジタルコンテンツ版の価格は1000円で購入可能です。

つまり同企画は約1年に渡って企画進行していったロングプロジェクトでもあり、ここまで長期間にわたってファンの注目を集め続けた企画は初めてのことです。本来は単発で終わる夏企画が長期間に渡るプロジェクトへと変貌したことで、結果として「ホロライブを知らなかった」層にまで届いたプロジェクトだったとも言えます。

hololive ERROR ティザーPV
【#hololiveERROR 】青上高校 01 現代編 「転校生」 【ホロライブ 360度動画】
PCゲーム 『hololive ERROR』 ティザーPV

作中ではホロライブ所属タレントらがキャラクターとして出演しており、現代・過去編/電車編/真相編と続いていく同作品のなかで、ときのそらさんは美空時乃役を演じ、作中の重要人物として置かれています。

制服姿、学園の校舎、一部のファンならたまらないシチュエーションを用意しつつ、その実進んでいくのはシリアスなホラー企画というギャップはやはり多くのファンの注目を集めました。

完全版ホラーゲーム「hololive ERROR」が発売されると、ときのそらさんを含めて多くのホロライブのメンバーが自身の配信でプレイ。

【hololiveERROR】ホラーゲームだって!うれしい!!【#ときのそら生放送】

そんなときのそらさんですが、2022年4月17日に放送されたホロライブ6期生の博衣こよりさんとのコラボ配信中、そらさんが衝撃の発言を残しています。

ホラーゲームでのコラボ配信を期待するファンのコメントに合わせて、そらさんが「初めてのVRホラーでは叫びました」と話しを切り出すと、こよりさんが「(そら先輩は)普段のホラー配信でも他のひとが驚くところで驚かなかったりするので、強いイメージがあるんですよ。そら先輩が叫ぶって相当怖いってことですよね?」と返事をすると、このように打ち明けました。

【Minecraft】そらこよまったりマイクラ!【#ときのそら生放送】

「じつはあたしはホラーゲーム得意じゃないです」

「たしかにホラーゲームで叫ばないし大丈夫って言ってる。それはあくまで、フリーホラーゲームとかキャラクターが可愛いホラーゲームなら叫ばないよって言ってるんだよね」

「ホラーゲームで怖がらないのは本当。でも、リアルな1人称視点のゲームで怖がらないかというと、そうではない」

「自分の中で『叫ぶのはわたしらしくない』というプライドがあって、普通のホラーゲームをやっているときはびっくりポイント来るのがわかるから、叫ばないように歯を食いしばって叫ぶのを抑えている」

「だから、叫ばないのではなく、叫ばないようにしている、が正しいの。やっぱり工夫をしたりしてるよ」

「チラズアートさんの作品は怖くないけども、『Phasmophobia』は苦手だね。怖がらせるゲームよりも、驚かせるゲームのほうが苦手」

博衣こよりさんはおろか、同時視聴していたファンの皆も「えええ!!?」と驚く衝撃の発言。
じつは約2年ほど前の2020年10月26日のガッチマンVさんとのコラボ配信で、VRで『Phasmophobia』をプレイ中、おもわず叫んでしまいしゃがみこんでしまう彼女の姿があります。

【3Dコラボ配信】VRで幽霊調査員に挑戦【ガッチマンV/ときのそら】

VTuber/バーチャルタレントシーンきってのホラーゲーム強者が明かす5年目の真実に、「我慢しなくていいんだよ」というファンからのコメントが相次ぎました。

ホラーゲームはゲームプレイヤーを別の角度から捉え、オルタナティブな姿を見せてくれるゲームでもあります。ホラーゲーム強者・ときのそらさんの「別の姿」を改めて捉える、そんなホラーゲームが登場し、彼女がプレイすることはあるのでしょうか。

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《草野虹》

福島・いわき・ロック&インターネット育ち 草野虹

福島、いわき、ロックとインターネットの育ち。 RealSound、KAI-YOU.net、Rolling Stone Japan、TOKION、SPICE、indiegrabなどでライター/インタビュアーとして参加。 音楽・アニメ・VTuberやバーチャルタレントと様々なシーンを股に掛けて活動を続けている。 音楽プレイリストメディアPlutoではプレイリストセレクター(プレイリスト制作)・ポッドキャストの語り手として番組を担当している。

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