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『ラピュタ』のように胸がすく超王道冒険活劇
『エターナルアルカディア』は、セガが2000年にドリームキャストでリリースしたRPGです。
時は浮遊する島々を宙に浮かぶ船で行き来する「大空の大航海時代」。物語は、バルア帝国アルマダ艦隊の追跡から逃れるファイナが夜空を小型艇で駆けるシーンで幕を開けます。
やがて砲撃による衝撃で気を失ったファイナは捕らわれてしまいますが、そこを「青の空賊」のダイン一家が襲撃! その一員である主人公ヴァイスと幼なじみのアイカは見事に旗艦を制圧し、お宝を頂戴するとともにファイナを救出するのでした。
エキゾチックな衣装に身を包んだファイナは時おり世間知らずな一面を見せますが、帝国に狙われながら危険な一人旅を続ける理由は頑として話しません。
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しかし、2人が信頼できる人物であると確信すると、失われた古代文明の末裔であるという自らの素性を打ち明け、世界各地の「月晶」を集めて古代の破壊兵器「ギガス」を封印するという旅の目的を明かすのでした。
ヴァイスは「空の向こうに何があるのかをこの目で確かめたい」という自らの夢をかなえる意味も込めて、アイカ、ファイナとともに空を駆ける大冒険へと旅立つのでした。This is 王道! 最高に安心感がある幕開けです。
深い信頼でつながり、恋愛感情は見せないのがイイ!
本作最大の魅力は、義侠心と冒険心に満ちあふれたヴァイス、その最大の理解者であるアイカ、そして2人を深く信頼する神秘的なファイナが織りなす一大冒険活劇を描くストーリーです。
強大な敵に立ち向かい、苦境になっても諦めず、そして引くべきときにはきちんと引く冷静な判断力も持つヴァイスは今風に言うと「スパダリ」のようなもので、筆者は本作を「セガが手がけた天空の城ラピュタ」だと感じています。
パズーが劇中で「僕は海賊にはならないよ」と言っているのに対し、ヴァイスはゲーム開始時点でバリバリに空賊ですが、それでもヴァイスの強くまっすぐな少年主人公ぶりは、どことなくパズーを思わせます。
特殊な出自を持つファイナの「ヒロイン力」も極めて高く、堀江由衣さんによるボイスもイメージにピッタリ。空を駆け、クルーを集め、未知に出会い、名を上げ、白熱の空戦に勝利する。ストーリーの熱が最後まで途絶えないアツいゲームで、筆者にとってファイナは「ドリームキャストNo.1ヒロイン」とすら言えるかもしれません。
ファイナはヴァイスを心から信頼していますが、その一方で恋心めいたものはあまり見せません。しかし、それはそれ。かえって想像のしがいがあるというものです。パズーとシータも、そんな関係性の2人ですしね!
本作は最近の世代のプラットフォームへの移植や配信には恵まれず、今日では遊びづらいタイトルとなってしまっています。しかし、2000年から2002年にかけて月刊「マガジンZ」で連載されたコミカライズの電子書籍版が今年(2022年)中に配信予定とのことですので、これを楽しみに待ちたいと思います!
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