【前編・紫の絆編】ホロライブ・常闇トワがFPSで掴んできたモノとは【バーチャルタレント名鑑】

今回紹介するのはホロライブ4期生としてデビューし活躍を続ける常闇トワさんです。

配信者 VTuber
【前編・紫の絆編】ホロライブ・常闇トワがFPSで掴んできたモノとは【バーチャルタレント名鑑】
【前編・紫の絆編】ホロライブ・常闇トワがFPSで掴んできたモノとは【バーチャルタレント名鑑】 全 3 枚 拡大写真
様々なバーチャルタレント事務所が次々に発足し、着実にその裾野を広げ続けているバーチャルタレント(VTuber)シーン。牽引する二大事務所に注目が集まるなかにあって、数年来に渡って活躍を続けるタレントも非常に多い。この連載コラム「バーチャルタレント名鑑」では、様々なカルチャーシーンで奮闘を続けるバーチャルタレント(VTuber)一人一人にスポットライトを当て、これまでの軌跡とこれからの望見について書いていきます。今回紹介するのはホロライブ4期生としてデビューし活躍を続ける常闇トワさんです。

2020年1月3日に活動をスタートしたホロライブ・常闇トワさん。彼女はデビューした当初から現在にいたるまでに、先輩・後輩から愛されるポジションを確立してきました。

持ち前の明るい性格を前面に、ボケて良しツッコんで良しで漫才がうまく、大人数コラボでも会話を振るのを忘れない仕切り役にもなり、『Among Us』『マリオカート8 DX』といったホロライブの大型企画にも彼女が関わっており、まさに「まとめ役」としてホロライブを牽引する彼女。

ホロライブのなかでも数少ない常識人枠としても知られており、根っからのゲーム好きという点を差し置けば先輩の大空スバルさんにも近しいでしょう。

何よりも彼女といえば、ファンや同僚らに対してズバっと真っすぐに「物を言える」タレントとしても知られており、無邪気にツッコむときの切れ味はもちろん、リスナーの害ある行為やシーンで噂されるアレソレに対しても、彼女の言葉でキッチリと声を上げてメッセージを伝えてきました。

堂々とした立ち振る舞いを見せてくれる常闇トワさん。彼女が実はまだデビューしてから3年目であるというと、「ウソだろう?」と疑いたくなるほどです。

ほかのホロライブメンバーと同じくソロの音楽活動をこなす彼女ですが、アイドルというよりもシンガーやアーティスト然とした楽曲が多いのも特徴。女性としては低めの音域で、ハスキーさがありながら芯もある声色をもった独特なトーンで、多くのリスナーを魅了してきました。

【オリジナル曲】 FACT/常闇トワ 【フルMV】

彼女の得意ゲームといえば、やはりFPSを中心にしたシューティングゲームでしょう。もともとゲーマータイプな彼女ですが、この手のゲームでは後輩の獅白ぼたんとともにホロライブでも指折りの実力をもっています。

数多くのカジュアル大会・大型企画に参加する彼女は、いまや数多くのコラボ相手とともに配信を行ない、「ホロライブ外の企画イベントに最も参加しているホロライブのタレント」といっても過言ではなく、相応に広い交友関係を持っているタレントともいえるでしょう。

この結果、特にFPSやストリーマーのファンに彼女は知られており、2018年ごろから活動してきたホロライブ0期生や1期生のメンバーらとは少し違ったファンを引き付けています。

常闇トワさんとFPS~ストリーマーシーンの繋がりのなかで、彼女が残してきた足跡を前後編で書き記していきたいと思います。

◆常闇トワ デビュー直後にコロナ禍に突入・ホロライブ×FPSを模索する

彼女はFPSをいつから配信でプレイしていたのか?それは彼女の動画アーカイブを見直してみれば一目瞭然です。

【APEX】初心者でもチャンピオンとりたい!【#角闇SDS/ホロライブ】
【OVERWATCH】クイックまわすすす~~【#常闇トワ/ホロライブ】

『Apex Legends』を初めてプレイしたのはデビューしてすぐの2020年1月29日、『OVERWATCH』を初めてプレイしたのが2020年3月25日です。ちなみに同年の2月26日にはアップデートについて説明したTQQさんの動画とともに「配信でオーバーウォッチやってみたいな」とツイートしています。

この当時、ホロライブのなかでシューティングゲームをプレイしているのはロボ子さん、癒月ちょこさん、夏色まつりさんなどとても少なく、「ホロライブのメンバーでFPSを積極的にプレイしていくのはどうだろうか?」という不安や疑念が少なからずあったかと思われます。

ですがその後、彼女は徐々に「ホロライブ×FPS」の可能性を模索していくことになります。

2020年5月27日には「噂のゲーム」として『VALORANT』をプレイし、7月9日には『Apex Legends』の公式大会を同時視聴するなど、以前までのホロライブメンバーが手の届かなかった領域に手を伸ばし、ホロライブファンにもFPS・シューティングゲームの面白さやプロの凄さを徐々に浸透させていこうと努めていきます。

【VALORANT】韓国鯖βにて先行プレイ!操作を見ていこう!【#常闇トワ/ホロライブ】

2020年といえばコロナ禍の真っ只中にあり、世界中でインドア生活を強いられていた状況でもありました。「本来ならばあり得たであろう配信活動」がうまく叶わない状況でもありましたが、このインドア需要はトワさんに思わぬ呼び水を与えることになります。

eスポーツチーム・Crazy Raccoonが主催する「CRカップ」や渋谷ハルさんが主催する「VTuber最協決定戦」といった『Apex Legends』を使った超大型FPS大会が、2020年から徐々に開催されていました。

コロナ禍のインドア生活で外出できない夏休みとなっていた2020年8月に、「VTuber最協決定戦 ver. APEX LEGENDS」が2日に、「Crazy Raccoon Cup Apex Legends」が29日に開催され、2大大会がひと月にバッチリと被っています。

いまならば「重ならないようにスケジュールを確認し合おう」といったことが行われそうですが、当時は順当に開催されており、両大会ともに「著名なストリーマーやVTuberらが一堂に会してバトルする」というシーン内外を巻き込んだ大会となったことで、大きな反響を呼ぶことになります。

インドア生活のなかにあった多くの若者にとって、刺激的な夏のワンシーンとなったのは言うまでもないでしょう。VTuber/ストリーマーのシーンが徐々に熱を帯びて人気を博し、いまでは『VALORANT』のプロ大会が埼玉スーパーアリーナで開催されるほどの熱へと変貌していくことになるのです。

常闇トワさんがこういったFPSのカジュアル大会に呼ばれるようになるのは、2021年に入ってからです。2021年1月24日には「VTuber最協決定戦 Ver. APEX LEGENDS Season2」に、2021年3月14日には第4回「CRカップ」に、それぞれ初出場します。

「VTuber最協決定戦」ではホロライブの先輩である夏色まつりさん、「CRカップ」では以前から親交のあった一ノ瀬うるはさんなどを交えて大会に臨み、それぞれ2位と5位という好成績を収めます。

第4回目からわずか2か月後(!)に開催される第5回『CRカップ』にも出場することになったトワさんですが、ここで大きな転機を迎えることになります。にじさんじKRに所属していたヌン・ボラさん、Crazy Raccoonに所属するプロ選手Sellyさんとの出会いです。

◆「ゆめきゃわPURPLE」結成 激動の時代にあっても結ばれる紫の絆

ヌン・ボラさん、Sellyさん両名共に韓国生まれの韓国人。ボラさんは日本語を流暢に話すことができる方ですが、Sellyさんは当時日本語をうまくしゃべることができないばかりか、「こういったカジュアル大会に出ることすらも後ろ向きで、出ようとも思っていなかった」と語っていました。

トワさんがボラさんと共に出ることが決まっており、Crazy Raccoonのトップであるおじじさんが何度となく声をかけていたこと、ボラさんとともに大会に出場していた韓国人プレイヤー・Cptさんが「ボラさんはクッソ上手いぞ」とSellyさんに一声かけたことで結成されました。

2019年9月に開催された「Apex Legends Preseason Invitational」にて3位に入り込み、最多キル賞を獲得していたSellyさんへの初対面の印象を「辛辣だし冷めていた」「ちょっとミスしたら殺されそうだし怖い」とハッキリ口にしていたトワさん。

そんな3人のチーム「ゆめきゃわPURPLE」には、大会上位を目指すことと同じように大事なテーマがありました。それは「Sellyを笑顔にしよう」「Sellyの笑顔が見たい」です。

ホロライブのなかでキャラクターの濃い先輩らに対しても、物怖じすることなくツッコみ&ボケ続けてきたトワさんの感性とパーソナリティがここで爆発することになります。

Sellyさんがプレーで引っ張りつつ、トワさんは持ち前の明るいムード作りでチームを盛り上げていきます。初対面から積極的に韓国語で話しかけたり、無邪気かつ的確にボケもツッコミもこなせるうえに、なんでもない場面での雑談力や会話の広げ方で「3人会話」をうまく続けていきます。

チームゲームで暗く重い空気が漂うのを嫌う彼女は、どんなミスでも明るく謝っては反省を繰り返し、味方のミスも心広く受け止めようと声をかけ続けます。

あまりにも素っ気ない初対面から、Sellyさんとボラさんとも徐々にコミュニケーションをとれるようになっていきます。そんな明るいムード作りを心掛ける彼女を、怪訝な目で見るリスナーはさすがに少ないでしょう。

【APEX】感謝のCRカップ顔合わせ!【常闇トワ/ホロライブ】

結果として大会では5位となりますが、続く第6回「CRカップ」でもトワさんは小森めとさん、Sellyさんとチームを組んで出場。Sellyさんがトワさんに信頼感を寄せていたのが伝わってきます。

Sellyさんはその後のCRカップにも連続出場しており、TwitchやMildomでの生配信も数多くこなすなかで日本語もメキメキとうまくなっていき、しかも配信のなかではとんでもなく辛辣な悪口を言い放つことも増え、いたずら好きで無邪気な彼の性格・キャラクターが日本人ファンに知られるようになっていきました。

「日本語を教えている面々が悪い言葉しか教えてない!」とたびたび他の配信者がツッコんではいますが、「大会に出ようとも思っていなかった」と語り日本語も覚束なかった頃を比べれば、その変化は歴然といえます。

ちなみにSellyさんの呼び方が「トワさん」から「トワ」へ変わり、現在でもカジュアル大会で絡みがあれば辛辣な声を掛け合うように。まさに大会を通じて仲が良くなったことが強く伺えます。

トワのトロールにもう驚くこともなくなってしまったSelly【APEX/エーペックス】
【嘘ハム】CRカップ二次会Selly「トワはこのゲームでもダウンするの?」【L4D2】with Selly&トワ&めと

トワさんとボラさんとの交友は続き、にじさんじ×ホロライブというVTuber/バーチャルタレントの二大事務所を股に掛けた仲良しコンビとして、ファンにも注目されていました。トワさんがボラさんとともに組みたいと希望を出してチームを組んだ2人は、配信内外でよく会話を重ねていたと言います。

ゆめきゃわPURPLE結成から約半年後、2021年11月30日にボラさんは惜しくも引退してしまうことになります。トワさんは悲しみを打ち明けることもありましたが、その後ボラさんが歌配信で使用していた「マイクの立ち絵」を受け継いで自身の歌配信にも使い、2022年1月4日にお披露目したビジュアル用の新小物のなかにはボラさんを意識した黒のカチューシャを取り入れるなど、その深い愛情と仲間想いな一面を見せてくれています。

そんなトワさんに対して、Sellyさんも「別に配信じゃなくて裏で遊べばいいじゃん?」と(ややライン越え気味な)アドバイスを送ってみたりと、温かく彼女を励ましていたといいます。3人のビジュアルが「紫色」であることで繋がった「紫の絆」は、今後さまざまに形を変えても続いていきそうです。

【歌枠】風邪をひいていても、私は歌を歌います【常闇トワ】

このようにVTuber/バーチャルタレント事務所として別格な存在でもあるホロライブのなかで、徐々にFPS/ストリーマーシーンのなかにも存在感を放つようになったトワさん。

ですが、ここまでの話しは2021年のなかでもまだ半分ほどしか語っていません。その後、彼女の周りには多くの出来事が次々と起こっていくことになります。

前編はここまで。来週掲載予定となる後編では、2021年中頃に出会った「あの男」とシーンを跨いで輪をつなぐ彼女の尽力っぷりにフォーカスを当てていきたいと思います。

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《草野虹》

福島・いわき・ロック&インターネット育ち 草野虹

福島、いわき、ロックとインターネットの育ち。 RealSound、KAI-YOU.net、Rolling Stone Japan、TOKION、SPICE、indiegrabなどでライター/インタビュアーとして参加。 音楽・アニメ・VTuberやバーチャルタレントと様々なシーンを股に掛けて活動を続けている。 音楽プレイリストメディアPlutoではプレイリストセレクター(プレイリスト制作)・ポッドキャストの語り手として番組を担当している。

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