「ニンテンドースイッチ」3種、今期の一番人気は有機ELモデルに─決算資料から販売台数のシェアが最も伸びたと判明

物価高が進む国も多い中、「ニンテンドースイッチファミリー」で今期最も販売台数が多かったのは、希望小売価格が一番高い有機ELモデルでした。その意外な実態が、決算資料で明らかに。

ゲーム Nintendo Switch
「ニンテンドースイッチ」3種、今期の一番人気は有機ELモデルに─決算資料から販売台数のシェアが最も伸びたと判明
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任天堂は先日、2023年3月期第2四半期の決算説明資料を公開しました。今期の同社は、売上高6,569億円、営業利益2,203億円、経常利益3,224億円、四半期純利益2,304億円と、いずれも順調な伸びを見せています。

世界的な半導体部品の不足などの影響を受け、ハードウェアの販売台数そのものは減少しつつも、円安の影響を受けて売上高は増加。また、ソフトウェアの販売状況は前年同期をわずかながら上回っており、堅調な推移を見せました。

同社が販売している「ニンテンドースイッチ」は、通常モデル・ニンテンドースイッチライト・有機ELモデルの3種類で展開しており、全体の販売台数は前年同期と比べて19.2%減の668万台。スイッチに限った話ではありませんが、発売から時間が経過するほど欲するユーザーの手元にわたるため、最盛期を過ぎれば減少傾向になるのは必然。むしろ、発売開始から5年以上が経過したゲームハードが、今もこれだけの人気を維持している点に驚かされます。

ですが、今回の動向で興味深いのは、全体の販売台数だけではありません。この668万台のうち、通常版は223万台、スイッチライトは92万台ですが、この中で希望小売価格が最も高い有機ELモデルが、今期353万台の販売台数を記録。高額ながら、その価格差を乗り越えるほどの人気を集める形となりました。

有機ELモデルは通常版と比べ、本体に搭載されているディスプレイに大きな違いがあります。まず、7.0インチの有機ELを採用し、より鮮やかな描写を可能とした上に、画面サイズも大きくなりました。また、TVモードの際に設置するドックに有線LAN端子が搭載され、通信環境の安定を後押し。このほかにも、本体の保存メモリーを64GBに増加、フリーストップ式のワイドスタンドを採用、スピーカーの刷新といった要素も、有機ELモデルは備えています。

こうしたバージョンアップを遂げた有機ELモデルですが、その価格は37,980円(税込)。通常版の価格(32,978円 税込)と比べ、約5,000円ほどの差額があります。しかも有機ELディスプレイの恩恵は、携帯モードやテーブルモードで発揮する一方、TVモードで遊ぶ場合は全く影響しません。

通信のラグ防止を重視するコアなユーザーにとっては、有線LAN端子の存在は大きいものの、通常版のドックにUSBで接続する有線LAN端子が別売りで売っており、こうした周辺機器で代用することもできます。

国内のみならず海外でも物価高の傾向にある国は多く、買い控えや低価格品を選ぶ消費者も少なくありません。ですがスイッチに関しては、最も高い有機ELモデルが一番売れており、携帯モードなどで真価を発揮する有機ELディスプレイをはじめとする優位な機能面が評価され、人気を博している傾向が決算資料から窺えます。

なお、携帯モード専用というコンセプトと低価格に抑えた点で注目を集めたスイッチライトは、3種の中で最も販売台数が少なく、前年同期比でも半分以下に減少しています。価格面で魅力的なのは確かですが、TVやモニタに接続できない不便さは拭い難いようです。

さらに、スイッチライトにはHDMI端子がないため、TVの類だけでなくキャプチャーボードとの接続もできません。ゲーム実況などの映像配信にはキャプチャーボードが欠かせないため、現在そうした活動に取り組んでいる人にとっては、実質的に通常版か有機EL版の2択になります。また、実況などに興味があり、いずれ挑戦したいと考えているスイッチユーザーも、スイッチライトを選択肢から外す可能性があります。

購入理由は個々人で異なるかと思いますが、3種類のスイッチの中で有機ELモデルが最も売れているのは事実。スイッチを求めるユーザーが価格に見合った価値を有機ELモデルに見出し、インフレに抗うような人気ぶりが明らかとなりました。

(C)Nintendo


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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《臥待 弦》

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