スクウェア・エニックス・グループから発足した新スタジオ「ルミナス・プロダクションズ」の処女作『FORSPOKEN』。『FFXV』で開発した「ルミナス・エンジン」を使用し、同社初の新世代機ネイティブとなる作品です。発売直前にお届けする今回のプレイレポートではPS5を使用し、多くのゲーマーが気になっているであろうフレームレートの具合などを確かめました。

「ニューヨーカー 異世界へ行く」という最近のゲームにしては珍しいプロットで、主人公のフレイはとにかく元のニューヨークに帰りたいと願うものの、そのためにアーシアの謎を解かなければならず、愚痴ったりふてくされたりしつつも、異世界での旅を突き進みます。
導入部分から「アーシア」の世界に慣れるまではたっぷりと時間をかけ、大作海外ドラマを観ているような物語が展開します。特に面白いのがフレイと喋る腕輪「カフ(自称ヴァンブレイス)」のやりとりで、状況に合わせた会話がゲームプレイのヒントにもなり、とにかく移動している間も全く飽きません。『FFXV』でも多愛のない会話の応酬を楽しめましたが、今作ではさらに磨きがかかっています。

オープンワールドにありがちな道なりに進むだけの時間は少なく、魔法パルクールで自在に壁を登ったり、断崖を飛び越えたりして、某スパイディ並みの機動力で駆け回っているのがとにかく楽しいのです。
そして何よりフィールドが広い!建造物がデカい!遠景の描写がやはり現世代のタイトルとは明らかに異なり、その見晴らしの良さに思わずフォトモードを起動したくなるでしょう。遠くにあるものの「遠さ」を感じられる空間の広がり、これが新世代のゲームだとテンション上がること間違いなしです。


とはいえ、だだっ広いフィールドを「駆けずり回される」ということは無く、クエスト発生の拠点は小さな町の中に収まっていて、瘴気が広がる外の世界では生きている人はおらず、プレイヤーが自由に探索を進められるようになっています。
人々が避難前に残した遺物を調べ、強さを見計らいつつ強敵を討伐する、たくさん用意されたアクティビティを無視するも潰して行くもプレイヤー次第。このあたりは近年のオープンワールドのスタイルがクエスト主導から探索主導に代わりつつあるようですね。ちなみにねこはいます。


映像のレベルが引き上げられた分、引き換えにフレームレートは下がります。画質設定は「高画質表示」「レイトレース描画」「フレームレート優先」の3種類があり、前2種は30FPS制限がかかっています。高精細のグラフィックは素晴らしいのですが、他のタイトルで60FPSに慣れている人には物足りないでしょう。
「フレームレート優先」では遠景やシャドウの表現を落として高レートを実現しており、好みに合わせて切り替えられます。ただし、「フレームレート優先」であってもひらけたフィールドではレート低下を起こすことがあります。できることなら最適化の改善を希望しますが、ゲームが次の世代に進んだ証でもあるのかもしれません。

レイトレースと高画質の方も影の付き方や光がよりナチュラルになり、ルミナス・エンジンの表現力を楽しむならもちろんこちらが良いでしょう。アクション中はフレームレート優先でも一時停止でいつでも切り替えられるので、フォトモードのときだけレイトレースに設定することもできます。

戦闘については先行プレイレポートでもお伝えしましたが、初期のシューターのように撃つ攻撃魔法は自動アシストを付けていてもエイム操作が必要なので、狙って当てるのが苦手な人は、素早く動く敵に手間取るかもしれません。
そこで活用したいのがパルクールの動作中に魔法を放つコンビネーションです。パルクール中に攻撃するとエイムをせず自動的に敵に当ててくれるので、遠くにいる敵、または近距離の敵にも対処できます。これに慣れていくと疾走しながら足を止めずガンガン魔法を放つ、スタイリッシュアクションのプレイフィールに一変します。


通常の撃ち方であれば中距離を維持していくのがセオリーですが、ロックオンとパルクール攻撃を使えば、敵の群れに突っ込んで飛び越えつつ範囲魔法で吹き飛ばす、なんて芸当も。戦闘リザルトの評価も大幅に上がるので、回避と攻撃を同時に行っていくことが、本作のバトルの肝と言えるでしょう。
攻撃方法はシンプルでも、組み合わせ方やアクションのつなぎ方で様々なムーブができるので、一辺倒の動きにせずどんどん応用にチャレンジしていくと、本作の魔法バトルの奥深さに気づくと思います。

「異世界」という言葉が安売りされているような昨今、未知との遭遇、そして不思議な世界の探索という王道の面白さをしっかり見せて、まさに「こういう冒険がやりたかった」と思わせてくれました。オープンワールドはやりたいけど、膨大なクエスト消化に食傷気味、そんな人にこそ『FORSPOKEN』はオススメです。未知なる「異世界」にあなたも迷い込んでみませんか?