『ウマ娘』AIとして出現する三女神たちから溢れるのは母性?新育成シナリオ「グランドマスターズ -継ぐ者達へ-」先行プレイレポート

『ウマ娘』の新育成シナリオ「グランドマスターズ編」の育成の流れ、そして本シナリオで描かれる、『ウマ娘』が表現するAIについてのインプレッションを紹介しています。

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『ウマ娘』AIとして出現する三女神たちから溢れるのは母性?新育成シナリオ「グランドマスターズ -継ぐ者達へ-」先行プレイレポート
『ウマ娘』AIとして出現する三女神たちから溢れるのは母性?新育成シナリオ「グランドマスターズ -継ぐ者達へ-」先行プレイレポート 全 29 枚 拡大写真

2023年2月24日に2周年を迎え、3年目に突入する『ウマ娘 プリティーダービー(以下、ウマ娘)』。

2周年に合わせて新たな育成シナリオ「グランドマスターズ -継ぐ者達へ-」(以下、グランドマスターズ編)がスタートすることとなり、これまで詳しくは表現されてこなかった三女神をモチーフにしたAIが登場するということもあり、ウマ娘を追いかけてきたトレーナー達も盛り上がっていました。

今回は先行プレイの機会に恵まれたので、そのインプレッションをお届けしていきます。

※記事中の画像は開発中のものであり、写真に表示されている数値などは調整前のものとなっています。

◆知識の欠片・結晶、女神の叡智を集めて強くなれ

今回のゲームは株式会社セガが開発・運営しているアーケード競馬メダルゲーム「StarHorse4」とのコラボシナリオとなっており、ジュニア級・クラシック級・シニア級の12月後半に「グロウアップレース」「WBC」「SUPER WBC」が開催され、普段の育成レースよりも幾分か強いウマ娘たちとともにレースに挑みます。

これまでの育成シナリオでは「URAファイナルズ」を目指して走っていましたが、本シナリオではシニア級12月後半を過ぎると特別なレース「グランドマスターズ」が開催され、さらに強力なライバルらと雌雄を決することになります。レース実況を競馬アナウンサーとして数々の名実況を残してきた杉本清氏が務めており、スペシャルな育成シナリオをグっと感じられるところでしょう。

育成の流れもこれまでとまた別のパターンとなっています。「グランドライブ編」のレッスンコマンドと同じように、「グランドマスターズ編」には知識表という新たなコマンドが登場しています。

最初の段階では空欄となっている知識表ですが、トレーニング・お休み・お出かけ・レースそれぞれのコマンドにランダムで「知識の欠片」が付与されており、コマンドを選ぶことで欠片をゲットし、空欄部分を埋めていくような形になっています。

「知識の欠片」「知識の結晶」を獲得すると、それぞれトレーニングで基礎能力やスキルPtがアップする効果が自動で発動します。よく見るとスピード・スタミナ・パワー・根性・賢さ・スキルPtに合わせた紋様が掘られており、獲得した「知識の欠片」「知識の結晶」の種類に応じて得られる効果が変わります。

例えばスピードの紋様が象られた欠片・結晶に偏って集めると、スピードのトレーニング効果に偏らせることが可能です。テストプレイではうまくプレイすることはできませんでしたが、運よく偏った場合大きなバフになる可能性はあります。

最後に獲得できる「女神の叡智」は、今回大きくピックアップされた三女神に合わせて3タイプあり、それまでに獲得していた「知識の欠片」「知識の結晶」によって獲得できる「女神の叡智」も変化する仕組みになっています。

ダーレーアラビアンの「女神の叡智」を習得すると、体力が50回復+やる気が上がり、1ターン限定でトレーニング効果が高まる強力な効果も発動します。ここまでが1つの周回となっており、何周にも渡って欠片を集めて叡智を結集する…といった流れになっています。

「女神の叡智」は使うごとにLvが上がっていき、効果がより強力になります。「女神の叡智」は3タイプそれぞれにバフ効果が異なっているので、効果を発動するタイミングも重要です。

基礎能力の上限も他シナリオと異なり、トレーナーによって「強いウマ娘」と思える能力値はそれぞれですが、プレイした感想として前回公開された「グランドライブ編」と同じくらいに強力なウマ娘が育成可能だと感じました。

また、「これまでうまく扱えなかったサポートカードが活きてくるかもしれないですね」と同行していたインサイド編集長が語っており、そのあたりも楽しみにしてほしいところです。

◆『ウマ娘』が表現するAIは母性?三女神AIたちとのやり取りに注目

さて、ここからは新しいシナリオの内容について、そしてこれまでゲーム内で表現されてきた三女神について振り返ってみましょう。

クラシック級とシニア級の4月前半になると起こる共通イベントとして、三女神像のまえに育成しているウマ娘が訪れ、一気に能力があがっていくイベントが発生します。

これは育成前に設定したウマ娘2人が持つ育成の因子を継承し、一気に能力値を上げていくイベントで、種牡馬と繁殖牝馬からサラブレットが生まれ、その後成長していくという現実の競馬でも行なわれている育成を表現しています。

現実の競馬史を振り返ったとき、父系の血統をさかのぼっていくと必ず三頭の種牡馬にたどり着くといわれています。ダーレーアラビアン、バイアリーターク、ゴドルフィンバルブの三頭、俗に三大始祖と言われる名馬たちです。

いまから数えて300~400年近く前の馬のことなので一部創作が混じっているともいわれていますが、JRA(日本中央競馬会)からも公になっている情報です。

今まではこの4月前半で女神像として登場する以外はほとんど描写がありませんでしたが、今回のシナリオではAI技術の賜物として突如現れ、トレーナーやウマ娘をサポートするAIとして本作で登場することになったのです。

三頭のサラブレットから現在まで続く競馬史をリスペクト&オマージュし、ウマ娘のトレーナーたちへと伝えようというイベントといえます。

2020年代に入った現代、AI技術を活かしたさまざまなサポート機能を目にすることが多くなりました。iPhoneやDeepLなどの機械翻訳、こちらが尋ねると解決策を示してくれる対話型AI「Bard」「ChatGPT」などが2022年末から登場しており、偶然にも時世にあったシナリオとなりました。

人とAIとの対話・物語というと、人間側の意図・意志をうまく汲むことのできない存在としてAIが描写され、人間側が苛立って仲違いを起こしてしまう。もしくはAIが人間を邪魔ものだと認定して、徹底的に人間を否定していく。このような昔ながらのSF作品から続くストーリーラインが思い出されます。

この新たな育成シナリオではそういった軋轢が起こることはなく、トレーナー・ウマ娘それぞれが抱える悩み・困難について真摯に向き合い、助言を与える存在として三女神のサポートAIは描かれています。

「AI技術」として見てみれば、現実に即していない違和やフィクション性を感じるかもしれませんが、本作で描かれているのは全く別の性格です。数百年前に生まれ現代まで続く自らの子(すべての競走馬・サラブレッド)を愛そうとする、「親」としての側面です。

サポートAIとしてパーフェクトに支える描写は、まさしく「万能」という言葉がピタリと当てはまります。AIとして生まれながら親のように接してくる、亡くなった親が子供に声をかける。あり得ないことをドラマティックに描くフィクションとしての良さを最大限に活かし、「AI」と「親」をどちらも表現したのがこの新シナリオだと言えるでしょう。

ゲーム性・シナリオともにボリュームたっぷりの新育成シナリオであり、他にも新たな新機能や新キャラが登場することも含め、2周年を祝うにふさわしい内容になっています。

© Cygames, Inc.
©SEGA

《草野虹》

福島・いわき・ロック&インターネット育ち 草野虹

福島、いわき、ロックとインターネットの育ち。 RealSound、KAI-YOU.net、Rolling Stone Japan、TOKION、SPICE、indiegrabなどでライター/インタビュアーとして参加。 音楽・アニメ・VTuberやバーチャルタレントと様々なシーンを股に掛けて活動を続けている。 音楽プレイリストメディアPlutoではプレイリストセレクター(プレイリスト制作)・ポッドキャストの語り手として番組を担当している。

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