
◆暗黒星ゴーデスとの戦いを描くSFシューティングゲーム
名作シューティングゲームのひとつと謳われる『スターフォース』は、1984年にテーカン(後のテクモ、現 コーエーテクモゲームス)からリリースされたアーケードゲームです。
銀河系を移動しながら殺戮を続ける謎の暗黒星ゴーデスと、それに立ち向かう宇宙戦闘機ファイナルスターの戦いを描きますが、耐久力を持った敵(当時のシューティングゲームは、ボス以外なら一発で敵を破壊できる作品がほとんどでした)や、隠れボーナスを見つけてスコアを稼ぐ楽しみなどゲーム性が高く評価されたタイトルであり、ストーリーは添え物といった側面が大きい作品でした。

ところが、1986年にテクモからファミコンでリリースされた続編『スーパースターフォース 時空暦の秘密』では、(当時のシューティングゲームにはしばしば見られた)エグめの設定、物語が追加されました。それを紹介しましょう。
◆続編で明らかになったお辛いストーリー
『スターフォース』でゴーデスを滅ぼしたラルフは、時空を移動できる新たな愛機ネオ・ファイナルスターでさらなる戦いに身を投じます。今自分が生きている「時空暦」はいかにして始まったのか? そして、ゴーデスとはなんだったのか? 知的欲求を満たすための探求の旅です。
2000年以上の時をさかのぼって時空暦元年に到着すると、ラルフはそこで再びゴーデスと対決。ここまでにキーアイテムを集めておくと、倒したあとに「西暦」2137年へとワープします。時空暦は、我々がよく知る西暦と地続きの歴史だったようです。

そしてそこで待つのは、地球の軍による苛烈な弾幕の歓迎。あちらから見れば「謎の超高性能戦闘機が突然現れ、しかも味方機を撃墜してくる」のですから、必死になって攻撃してくるのは当然です。
こちらも撃墜されるのはイヤなので抵抗していると、やがて目の前に未知の物体が。これも壊しちゃえ…とショットを撃ち込むと、なんとそれは地球人がやっとの思いで果たしたゴーデスの封印でした。ゴーデスはそれをラルフに封印を解かれたことで復活し、地球を引き裂いて「破壊と殺戮の暗黒星ゴーデス」となった…これが時空暦の成り立ちだったのです。こんなオチあっていいの!?
ゲームはそこで終わりではなく、キーアイテムをすべて集めればゴーデスを永遠の眠りにつかせられるグッドエンディングに分岐できます。しかし、これは2000年の歴史を持つ「時空暦」を丸々なかったことにする大きな歴史改変でもあるため、ファンの間では「このエンディングをむかえたところで、時空歴で生まれたラルフは存在ごと消えてなくなるのではないか」などと言われる始末です。グッドエンディングのはずなのに辛い。
不親切? 激ムズ? ヒントがあまりに少ない!
『スーパースターフォース』は1986年当時のほかのゲームと比べても非常にヒントが少なく、攻略本がなければクリアは至難の業だったと思います。
筆者はわんぱっくコミックスから発売されていたマンガ兼ファミコン攻略本シリーズの一冊「ファミリーコンピュータ必勝テクニック完ペキ版14 スーパースターフォース 時空暦の秘密」を何度も読み返しながら挑みましたが、このシリーズはクライマックスを適度にボカして描くのがお約束となっていたこともあり、本作を長い間クリアできませんでした。
『スーパースターフォース』はスコアの代わりとなるタイムを消費しての時空移動(ステージ移動)やアイテム購入、自機から降りて行う『ゼルダの伝説』風の迷宮探索パートなど、『スターフォース』に謎解きやアクションゲーム要素を加えた独自の魅力を持つタイトルでしたが、今日もファミコン実機でしかプレイできません。
もし「Nintendo Switch Online」で配信されたりしたら、再チャレンジしたい1本です。