VRリプレイモードは観客の気分になる点を最優先に開発
――『GT7』のVRリプレイモードに関して現状プレイヤーの視点がなぜ道の端や観客席に限られているでしょうか。車の上部やボンネットの視点などもあればもっと楽しいと思うのですが。
山内:VRリプレイモードに関しては、私達自身が実際にサーキットに行った観客の気分になるという点を最優先に開発しました。例えばニュルブルクリンクに行って森の中を掻き分け、ガードレールが見え、その先にコースが見えるとしてそこから金網のところに近づき車を見る。そんな体験をして欲しかったのです。確かに車のルーフなどにカメラを付けるということも可能ではあります。しかし、それは最早レースゲームではなく、仮にそういった設定を追加した場合、壁や看板にカメラがぶつかってしまう可能性があります。そういったことを考えると不用意に設定を追加するのは今のVRではできないかなと思います。VRは使い方を間違えると簡単に酔ってしまいますし、凄く怖いものなので。
――VRで見ると車の内装が実物よりも小さく感じられ、自分が巨大化して車に乗っている感覚になったのでゲーム内でスケール感の調整を導入して欲しいです。
山内:『GT7』はスケール感に関してかなり正確に対処しているタイトルだと思っています。ただPS VR2は「両眼のレンズ間の距離」が調整可能で、そのレンズ間の距離の調整をすることで立体視の見え方やスケール感が変わってくるんです。
もしかすると「両眼のレンズの距離」を調整することで見え方が最適化され、スケール感も調整できるかもしれませんので試してみてください。
――『GT7』のVRの臨場感を初心者でも味わうのにおすすめのモードやプレイ方法、車種やコースなどあれば教えてください。
山内:VRになっているモードはどれであっても楽しめると思います。ミュージックラリーは余りハードなレースではなく音楽を聞きながらドライブする楽しさを味わえますし、情報もさほど必要なモードではないので表示を全て消した状態でプレイすることも可能なので没入感が増した形でプレイできると思います。そういった遊び方をしてもらえれば良いかなと思います。
地味で膨大な作業が報われた
――『GT7』のPS VR2の対応アップデートがリリースされて1ヶ月ほど経過しましたが、どんな反響がありますか。
山内:今行っているインタビューの前にもアメリカやヨーロッパのメディアインタビューを受け答えているのですが、皆さん「最高のVR体験だ」と仰ってくださっています。またYoutubeなどでも素直に「WoW!」と喜んでくれているのを見ているので、その点は本当に良かったなと思っています。VRの対応というのはものすごく地味な作業です。とにかくコツコツと軽いデータを作って高速なレンダリングをして、VR酔いをしないよう様々な手当を積み上げていく地味で膨大な作業をこなしていかなくてはいけません。PS VR2対応アップデートを届けた時には「どうだ、すごいのができたんだぞ」という感じでリリースしたわけではなく、「凄い頑張りました」という感じでリリースしました。
ただ、結果的に皆さんの感想を貰って凄く報われたというか、きちんと正しくVR対応するということはこういうことなんだとプレイヤーの皆さんに伝わったということは凄く良かったなと思います。

今回のインタビューを聞いて筆者が感じたことは、本当に地道な作業の繰り返しだったのだろうなという山内氏の気苦労でした。VR50年目のある種節目とも言えるところで、1つの究極系の形を世の中に出すために、途方も無いほど地味な工程を何個も何個も重ねてこのPS VR2対応版『GT7』を完成させたのだと、そうインタビューを聞いて思いました。
だからこそ世界中のユーザーが手放しで褒め称え、大人でも子供でも、車を持っている人でも持っていない人でも誰もが楽しめる新たな次元の「ドライブシミュレータ」が誕生したのだと思います。車を走らせる喜びを改めて教えてくれる『GT7』のこれからがさらに楽しみです。