ロジクールG「G FITS」が日本上陸。「イヤホンを求めるゲーマーのすべてのニーズをクリアする最強のイヤホン」と銘打たれた、ブランド初のワイヤレスゲーミング(ゲームだけじゃない)イヤホンについて伺ってきました

「イヤホンを求めるゲーマーのすべてのニーズをクリアする最強のイヤホン」の姿やいかに。 ロジクールの完全ワイヤレスゲーミングイヤホン先行発表会の様子をお伝えします。

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ロジクールG「G FITS」が日本上陸。「イヤホンを求めるゲーマーのすべてのニーズをクリアする最強のイヤホン」と銘打たれた、ブランド初のワイヤレスゲーミング(ゲームだけじゃない)イヤホンについて伺ってきました
ロジクールG「G FITS」が日本上陸。「イヤホンを求めるゲーマーのすべてのニーズをクリアする最強のイヤホン」と銘打たれた、ブランド初のワイヤレスゲーミング(ゲームだけじゃない)イヤホンについて伺ってきました 全 18 枚 拡大写真

2023年4月6日、Logitech Intaernationalの日本法人・ロジクールは、ゲーミングブランド「ロジクールG」より「G FITS 完全ワイヤレスゲーミングイヤホン」(以下、G FITS)を日本国内向けに発表しました。

カラーはホワイト・ブラックの2色展開。国内での発売日は2023年4月27日を予定しており、価格はオープン価格となりますが、ロジクールオンラインストア(公式ストア)では35,750円(税込)になるとのこと。

ロジクール ゲーミング クラスターカテゴリー マネージャー 塩谷一生氏

今回の発表に先立ち、ロジクール本社にて製品先行発表会が行われました。今回弊誌も招待いただき、発表会に参加することができたのですが、その内容は異例のものでした。同社のゲーミング クラスターカテゴリー マネージャー 塩谷一生氏をはじめとするロジクール側の担当者と、個別に招待された参加者とのブリーフィングセッションが行われるという非常に珍しい形で行われ、詳しい話を聞くことができたので、ここではその様子をお伝えします。

“ゲーミングワイヤレスイヤホン”というニッチなジャンル

「弱点もあるけど多くの人にとっては便利」なワイヤレスイヤホンですが、中でも「ゲーミングワイヤレスイヤホン」はニッチな市場といえます。音質はともかくとしても、多くのゲーマーにとって「遅延」は問題となりうるわけですから、主にBluetooth接続での製品が大半を占めるワイヤレスイヤホンは、そもそも「ゲーミングに向いていない」わけです。

それを解決すべく、各社から「Bluetooth接続でも独自の技術で低遅延を実現する」「独自の通信方式を採用して低遅延を実現する」といった製品が送り出されており、分類的にはG FITSもその内のひとつ。ですが、1人のユーザーとして率直に述べると「そこまでするくらいなら、環境・状況に応じて使い分ければよくない……?」というのが正直なところだったりします。

スペック表を見てみよう

説明会でアピールされたG FITSの魅力

とはいえ、すでにマウスなどで定評のある同社の「LIGHTSPEEDテクノロジー」を搭載した初めての完全ワイヤレスイヤホンということで(ヘッドセットはすでに発売されています)、一人のロジクールファンとして気になる製品なのも確か。ここからは説明会でアピールされた、G FITSのポイントについて紹介していきます。

製品の開発にあたり、ロジクール(Logitech)は「主にイヤホンを使用してゲームをするユーザー」の声やフィードバックを収集したとのこと。これをまとめたのが以下の画像です。

  • 「ゲーミングイヤホンは音楽鑑賞には向かないらしいから今のままでもいいか」

  • 「配信者やプロはワイヤレスイヤホンを使っていないからなぁ」

  • 「音質が良いらしいし価格も10,000円前後くらいなら買える」

といった、市場の生々しさも感じられるリアルな声が反映されています。こうした層の悩みを一斉に解決しようというのがG FITSであり、「イヤホンを求めるゲーマーのすべてのニーズをクリアする最強のイヤホン」と述べられました。

その上で、本製品の大きなポイントは以下の3つです。

  • 発熱して固まり、使用者の耳の形にフィットする「LIGHTFORM」で使用者に応じたカスタムフィットを実現(後に詳述します)

  • ゲームにも音楽にも高音質を提供

  • 3種類の接続方法でシチュエーションを選ばない使用スタイル

これらによって「本当は〇〇がいいけど、なにかを妥協して今のものを使っている」ユーザーに、ゲームや日常生活を含めた新しい体験を提供するのがG FITSというわけです。

実際、街中でも有線イヤホン・ヘッドホンをしている人はあまり見かけませんし、スマートフォン端末にも標準でイヤホンジャックを搭載しない機種も増え、逆にそれがスタンダードとなりつつもあります。筆者のような「スマートフォンの買い替えにもイヤホンジャックがあり、有線イヤホンが使えることを前提」とするようなユーザーは多くないということです。

塩谷氏が「高音質を謳わない製品はないと思うんですが…」と笑いながら切り出したのが印象的ですが、実は本製品は完全な新規機種ではなく、Ultimate Ears社(通称UE。2008年にLogitechが子会社化)が一部の地域で販売する「UE FITS」ワイヤレスイヤホンがベースになっています。

UE社は世界中のトップミュージシャン、音楽愛好家へ向けたカスタムオーダーメイドのインイヤーモニターで非常に高いシェアを持つメーカーであり、それらで培った技術を搭載したUE FITSも市場で高い評価を得ていたので、G FITSの音にも期待が高まります。

音質は専用のアプリケーションからイコライザー設定が可能で、個人でカスタム可能なプリセットのほか、FPS・MOBA・低音ブーストといったデフォルトプリセットも用意されています。このプリセットについていくつか質問をしたところ、

塩谷一生 ゲーミング クラスターカテゴリー マネージャー:ベースとなるUE FITSは完全な音楽用途で設計されているので、プリセットも音楽用のものばかりでした。G FITSはゲーミングイヤホンとなるため、我々のオーディオ開発チームがイコライザープリセットを基本的に設計しています。契約している選手のフィードバックなども反映しています。

天崎志保 コミュニケーション マネージャー:補足をすると、“フラットな音質で作り手のサウンドを忠実に再現する”という根幹の方向性はUltimate Earsと共通する部分になりますが、“ゲームに最適な音が必要か”という知見は我々の方が多く持っている。各地に開発チームがおりますので、どこでこのプリセットが作られたかと明確にお答えするのは難しいのですが、“こういう音がゲームにとっていいんだろう”という役割を担っているのがスイス(Logitech Intaernationalの本拠地)の開発部門と認識していただければ。

との回答をいただくことができました。

次に紹介されたのがマイク機能。ゲーマーにとってはボイスチャットなど「明瞭に言葉を伝えられる」能力は非常に重要ですが、本製品はイヤホンという性質上、ブームマイクなどはありません。

「本当にイヤホンでゲーミングに耐えうるマイク性能があるのか」という懸念は抱いて当然のことですが、いわゆるビームフォーミングマイクが搭載されており、「マイク環境がない場合」「スマートフォンなどでのプレイ時」にもクリアな音声を提供することが可能とのことでした。

最後に接続方式について。コンソール・モバイル・PCゲーマーに関わらず、一番の致命的な問題になる“遅延”ですが、2016年に発表された同社の無線技術「LIGHTSPEED」を初めて“イヤホン”に搭載することで超低遅延を実現しています。接続モードは3種類あり、

  • LIGHTSPEED(USBレシーバーを併用。主にPCやコンソールでの使用を前提)

  • ゲームモードBluetooth(モバイルでのゲームプレイ時など)

  • Bluetooth(音楽再生時など)

となっています。Bluetoothバージョンは5.2で、コーデックはAACとSBCに対応しています。

なお、これは完全に余談ですが、昨年に発表された同社のゲーミングマウス「G502 X」シリーズのワイヤレスモデルには、従来型LIGHTSPEEDの性能を更に向上させたGen 2とも呼ぶべきLIGHTSPEEDが搭載されていました(公式では従来型も新型も変わらずLIGHTSPEEDと表記されています)。「この新しいLIGHTSPEEDがG FITSにも導入されているのですか?」と質問をしたところ、塩谷氏から面白い回答が返ってきました。

塩谷氏いわく、「キーボード・マウスに搭載されるLIGHTSPEEDと、G FITSや他のヘッドセットに搭載されるLIGHTSPEEDは、あくまで同じ名称ですが、厳密には“中で使われているものに若干の違い”がある」とのこと。具体的にどういった違いがあるのかは残念ながら非公開とのことでしたが、「そもそもベースが(若干)異なっている」というのは筆者も初めて知った次第でした。

いきなり実際に使ってみた

そうしてトークセッションが終わると、「早速使ってみてください」と塩谷氏から案内がありました。「セッション終了後、即座に製品を使用」という驚きのスピード展開ですが、製品のカラーリングを選択できたので、筆者はホワイトカラーをチョイス。

G FITSを使うには専用のモバイル向けアプリ「Logicool G FITS」が必須となります。これはG FITSに備わるカスタムフィット技術「LIGHTFORM」の成形に必要なためで、この機能以外にもイコライザー調整などを備える統合アプリです。アプリを起動し、画面の指示に従えばペアリングなどのセットアップが簡単に行えます。

ここで唯一気を付けなければならないのは、イヤホンを箱からすぐに取り出さないことです。先にアプリをダウンロードし、画面に表示される内容に沿って作業をしていきましょう。

アプリの画面通りに進めていけばOK!

作業中、塩谷氏が「アプリケーション内の文章はすべて日本語化されていますが、今後変更になる可能性があります」と苦笑いしながら言うので画面を見てみると、「それでは楽しい部分に移りましょう」などと、どこか違和感がある一文が表示されているではありませんか。個人的にはこうした「万歳!」(何も万歳ではないのに表示される)というような“ロジクール語”が大好きなので、G FITSでも残してほしいところですが、もしかしたら改善されてしまうかも……。

楽しい部分とは一体……

接続などを済ませると、いよいよカスタムフィットの作業に。取り出した直後のイヤホンはイヤーピースが柔らかく、とてもプニプニしています。かなり陽気でイケイケな音楽がイヤホンから流れ始めるので、このプニプニ状態のイヤホンを耳に挿入し、角度や向きを調整しながら、低音がもっとも聞こえる位置を探します。

写真では伝わりませんが本当にプニプニしてます

位置を見つけたら「次へ」をタップ。ここからがG FITSの真骨頂です。イヤホンからUVライトが照射され、プニプニのイヤーピースが使用者の耳の形にカッチリと固まります(この際、じんわりと温かくなります)。この工程は約1分程度で終了しますが、一度固まってしまうとやり直しができない作業かつ、フィット感を左右する大事な作業なので慎重にやりましょう(とはいえ身構えなくても画面に表示される指示通りにやれば大丈夫!)。

ライト照射!イヤーピースが固まっていきます

このカスタムフィットによって得られる装着感は少し異質です。カナル型のイヤホンのように耳の中にイヤーピースが入るわけではなく、その手前で保持される形となるので、最初はポロっと落ちそうな感触がします(でも落ちないので不思議な感覚)。塩谷氏は趣味のダンス中にもG FITSを使用しているそうですが、振り上げた腕を直接イヤホンにぶつけるといった動きをしなければ外れたことはない(普通に踊っている分には外れたことはない)とのこと。

そしてG FITSには、なんとアクティブノイズキャンセリング機能が搭載されていません。「カスタムフィットによってイヤーピースが耳に密着するため、外音を遮断できる=アクティブノイズキャンセリングがなくても高レベルの遮音性を実現」というのがウリらしいのです。

「ぜひ音質もご体感ください」と仰っていただいたので、試しにスマートフォンに入っている音楽を聞いてみました。1m離れたくらいの場所にいる塩谷氏・天崎氏が何かを喋っていましたが、その内容は分かりません。筆者私物のイヤーモニターほどのレベルではないにしろ、確かにパッシブノイズキャンセリングは効いています。

バッテリー持ちはすごい長いというわけではありませんが、決して悪くはありません

そうこうしている間に時間となり、筆者はロジクール本社を後にしましたが、真っ先に感じたのは「かなり面白そうなイヤホンだな~」ということ。「ライフスタイルの一部になり、音楽も楽しめ、ゲーミング(もできる)ワイヤレスのイヤホン」という欲張りセットの極みのような製品であり、“ありそうでなかった”製品でもあります。

そして何よりフィット感が本当にすごい。「落ちそうだけど落ちない」感覚には慣れが必要ですが、一度フィットすればジャンプしようと走ろうと落下することはありません。音質やLIGHTSPEEDを含め、使い込むのがとても楽しみな製品です。

発表記念イベントも4月18日20時より配信予定。オーディオファンとして知られる岸氏のコメントにも注目したいところです

今回の発表にあたり、G FITSをロジクールよりお借りすることができたので、実機を“ガッツリ使い込んで”のレビューも掲載予定です。お楽しみに!

《夏上シキ》

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