皆さん、アナログゲームを遊んでいますか?筆者はTRPGをはじめ色んなアナログゲームを遊んでいます。コロナも落ち着いてきたこともあり、オンラインだけではなくオフラインで顔を合わせて遊ぶ機会も少しずつまた増えてきました。そんなアナログゲーム好きにはたまらないイベントと言えば、「ゲームマーケット」です。
ゲームマーケットでは企業と同人サークルがそれぞれアナログゲームのブースを出し、珠玉の商品を出品しています。また、大半のブースでは実際に販売している商品を体験することができるので、ただ色んなブースを回って遊ぶだけでも楽しい時間を過ごすことができます。
そこで、前回の2022年秋に引き続き、今回も本記事で1日目に出展していたブースの中で筆者が気になる・面白そうな場所でどんなことを体験したか、あるいはそこでスタッフに聞いたコメントをお届けします。そこには去年よりもずっと熱気と熱意が感じられる世界が広がっていました。
THE NAZO STORE | ナゾストア
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まずは企業ブースから。「ナゾストア」は「物語を楽しむ謎解きキット」というコンセプトの元、いわゆる「謎解きゲーム」に特化した商品を大量に展開しています。そのどれもがクオリティが高く皆で楽しめること請け合いの作品ばかりです。
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そんなナゾストアは今回新しい企画を立ち上げていました。その名も『コピナゾすこしふしぎ通信局』です。この企画は全国のコンビニにあるマルチコピー機からナゾストアが監修している新たな謎解きゲームを誰もが気軽にプリントして遊ぶことができるというものです。
通常であればゲームマーケットの様なイベントだったり「ナゾストア」のオンラインショップで商品を購入することでしか「ナゾストア」の謎解きゲームを遊ぶことができず、また「ナゾストア」にて販売されているものはボリュームも大きいため、急に集まった人で遊ぶには不向きな面がありました。
しかし、『コピナゾすこしふしぎ通信局』であればちょっとした時間で遊ぶことができ、さらに全国何処にでもあるコンビニで商品を購入することが可能。いつでも「ナゾストア」の上質な謎解きを体験できます。
また、スタッフに話を聞いたところ「『コピナゾすこしふしぎ通信局』で興味を持った人は間違いなくナゾストアの商品も心から楽しめると思うので、ぜひ体験して欲しい」とのことでした。『コピナゾすこしふしぎ通信局』の第1弾である「ロボットしかいない惑星からのSOS」は2023年夏に全国のファミリーマート及びローソンのマルチコピー機で展開予定です。
ホビージャパン
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今回、ホビージャパンはなんとスクウェア・エニックスと合同出展でゲームマーケットに参戦。その目玉として大々的に展開していたのが『チョコボの不思議なダンジョン ボードゲーム』です。チョコボが主役のボードゲームはこれで3作品目となります。
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本作はプレイステーションなどで展開されていた『チョコボの不思議なダンジョン』シリーズをボードゲームライクにアレンジしたものになります。原作と同様、敵や罠さらにはチョコボが餓死しないようにしながらダンジョンを探索し、最深部にいるボスを撃破すればクリアという複数人での協力型ボードゲームになっていました。
プレイヤー達はランダムに出されたカードとそれぞれのプレイヤーが持っているカードを出し合いながらダンジョンを踏破していきます。途中でチョコボの体力が0になったらアウト。死神に追い付かれてもアウト。さらにはプレイヤーの誰かがカードを出せなくなった場合はチョコボが餓死してしまいこれまたアウト。
なので、適時魔物を倒して餓死しないためにギザールの野菜を確保して手札を補充したり(ギザールの野菜の所有数でカードが引ける限界数が決まるため)、いつでも一定数進めたり敵にダメージを与えることができたり回復できたりする魔法トークンを確保することがかなり重要になってきます。
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実際、筆者も他の3人と協力し4人で体験プレイしましたが、最深部に到達した1ターン目で死神にあっという間に追い付かれてゲームオーバー。その前にかなりハイペースでダンジョンを踏破しようとして移動魔法を使い切ってしまったのが敗因でした。予想以上にいつでも移動できる魔法が重要であることに気づきました。
ダンジョンは通常難易度の表面と高難易度の裏面が存在しており、また出てくるモンスターはゲームごとにランダムで決まり配られる手札も当然ランダムなので、原作通り何度でも遊ぶことができるような仕組みがこれでもかと詰め込まれています。
スタッフの方になぜ名作である不思議のダンジョンシリーズをこうしてボードゲームにしたかと聞いてみたところ、「1つの挑戦」と自信たっぷりに回答。体験した筆者も非常に面白い作品だと感じたのでその自信にも納得しました。発売は2023年の秋頃を予定しているそうです。
Kickstarter
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クラウドファンディングサイトとして有名な「Kickstarter」ですが、今回2019年秋から約4年ぶりの復帰参戦となりました。
この「Kickstarter」のブースはクラウドファンディングを成功させ各ブースで販売されているボードゲームを展示及び体験できる場所として展開されていました。今回のゲームマーケットには外国の方も沢山入場されていましたが、このブースでは特に多く見かけた印象で、それぞれ思い思いのボードゲームを楽しんでいました。
今後は今回のゲームマーケットと同様の形で、デジタルゲームの展示会でもKickstarterで資金を調達したゲームソフトを遊べるブースを展開したいとお話をしていたので、今後がとても楽しみになりました。
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ところで、今回会場では「Kickstarter」のブースなどを始めとした各所で「Blow My Mind」というカードゲームが無料で頒布されていました。これは会場を巡りカードを集めることでゲームを遊ぶことができるようなるという面白い試みです。
WAZAgames
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ここからは個人ブースで気になったところを紹介。まずは「WAZAgames」から。このブースでは「トッキュースカウト」という新作ボードゲームを展開していました。スカウトの名前の通り、プレイヤーは野球のスカウトマンとなり、全国にいる有力選手を他プレイヤーに取られる前にスカウトするというゲームになっています。なので野球の知識は殆ど必要ありません(あった方がより楽しめると思いますが)。
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基本的なルールはサイコロを振ってどの乗り物を使って移動するか決定し、好きな方向に向かって移動する。たったこれだけです。しかし移動手段は3つしか無く、またそれぞれ3回ずつしか使えません。全部で9ラウンド移動することになるので、移動手段そのものは全員公平です。また、投手と捕手は2人で1セットなのでちゃんと揃わないと得点にならない、BARに行って話を聞くことで社会人選手をスカウトできたり、逆に酒を飲みすぎて移動距離が狭くなったりなんてことも。
そして優秀な選手を沢山揃えて最も点数が高い人が特級スカウトの名誉を得ることになります。筆者は野球はかなり好きなスポーツなので、その選手ではなくスカウトに注目してボードゲームを作るというのはかなり着眼点が良く内容も面白く感じました。普通の野球ゲームとは一線を画す本作、おすすめです。
P!CAN
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こちらのブースでの注目は何と言っても『うまい棒ソロッタ!!』です。名前の通りうまい棒をモチーフにしているゲームです。パッケージにも「うまえもん」や妹の「うまみちゃん」があしらわれています。ここまでガッツリうまい棒のキャラクターを使って大丈夫なのかと思う方もいると思いますが、何と個人ブースでありながらこの『うまい棒ソロッタ!!』は株式会社やおきんから公式ライセンスを取得済。つまり公式のゲーム作品なのです。
実際にサークルの方に話を聞いたところ、P!CANは今までうまい棒のキャラクター商品の展開に協力しており、その縁もあり今回この『うまい棒ソロッタ!!』を制作させてもらえたとのこと。他にも色んな企画や展示会、数々の企業の商品展開に協力するなど非常に精力的に活動しているサークルであることを教えて頂きました。
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『うまい棒ソロッタ!!』はスピード神経衰弱ゲーム。18枚のカードをお題に表示された枚数に合わせて表にする時間を競います。非常にルールがシンプルな分、子供と大人も同じように遊ぶことができるように配慮されています。まさに本家のうまい棒と同様、万人受けするカードゲームです。もちろんカードもうまい棒の「味」のパッケージが再現されているので思わずにやりとすることでしょう。これも公認ゲームだからこその味わいですね。
国際色豊かな「体験型」イベントの最先端
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今回取材して感じたのは、非常に海外の方が多かったという点でした。前回の2022年秋の取材時はまだコロナの影響もあり海外渡航が難しかったのでそこまで見ることは無かったのですが、今回は海外渡航が緩和されたのもあり、国際色豊かなイベントになったなという印象です。
しかし、同じゲームの卓を囲めば言語の壁はどこへやら、結果に一喜一憂する光景は人種や言語に関係ありませんでした。コロナの影響でオンラインでの遊びが非常に発展したのは事実ですが、この様に面と合わせて手や頭、あるいは身体を使って遊ぶゲームの楽しさも進化するのではないか、そう思わせてくれる良いイベントだったなと筆者は思いました。アナログゲームはいつまでも不滅です。