◆「鳥山作品らしさ」とアクションの爽快感を徹底追及!
――まずは本作のプロデューサーになった時の気持ちを教えてください。
南 敬洙氏(以下、南)鳥山 明先生の原作はすでに読ませていただいており、好きな作品のひとつです。鳥山先生の作品ならではの魅力を世界中のお客さまにしっかり届けていくプロジェクトということで、いっそう気を引き締めましたね。
具体的にいつから開発しているかをお話することはできませんが、十分な準備期間をいただいたうえで制作に臨んでいます。
――南氏が感じる『SAND LAND』の魅力とは?
南広大な砂漠を舞台として、悪魔の王子ベルゼブブが人間であるラオと冒険する物語は、とても引き込まれる魅力があると思います。お気に入りのキャラは、やっぱりベルゼブブですね。
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――ゲーム化するうえで特に重視していることは?
南まずは「原作のお話をメインストーリーとしてしっかり描く」ことを土台に据えました。冒険の目的は「幻の泉」を探すことです。そのうえで、アクションRPGとして本作の魅力をより膨らませるアプローチをしました。具体的には、ベルゼブブのアクションとメカのアクションに注力しています。
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――本作は広大な砂漠のフィールドが舞台で、さまざまなサブクエストもあるようです。オープンワールドのような作りなのでしょうか?
南どこまでも終わりのない砂漠が続く…といったオープンワールドではありませんが、フィールドはとても広く作っています。広大な砂漠には天然の洞くつやダンジョン、王国軍が駐留する拠点などが点在しており、サブクエストの目的になることもありますし、探求心や素材獲得目的で探索・潜入することもできます。
また、敵を倒したりサブクエストを達成したりすることでさまざまな素材を獲得でき、それをもとにメカの強化などを行えます。
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――原作漫画よりも多種多様なメカが登場するようですが、デザインなどはどのように決められましたか?
南「本作の世界観に合うものであること」をコンセプトにデザインし、集英社さまにご監修していただいています。また、鳥山先生にも総監修という形でストーリーなどを見ていただいています。
◆PVに“鳥山先生らしさ”満点のメカが…!?
――公開されている第1弾トレーラーで気になったことがあるのでおうかがいします。鳥山先生らしさを感じる、どこかで見たことがあるようなメカが登場していましたよね?
南原作でラオが操縦するのは戦車のみですが、メカアクションに幅を持たせるため、本作の世界観に合うメカを参考にさせていただいております。
鳥山先生ファンの方であればより喜んでいただけそうで、かつ『SAND LAND』の世界に合いそうなデザインであるということを前提にデザインしています。
――もしかしたら、ゲームではほかの鳥山メカも…?
南それは、今後の情報に期待していてください!
◆鳥山作品の雰囲気を再現するためのアプローチ
――『SAND LAND』は人間が戦争を繰り返したせいで世界が一面の砂漠になってしまったという設定で、少し身構えてしまうテーマのように感じます。しかしその一方で、キャラクターや物語にはあまりそう感じさせない、ある種飄々とした雰囲気も見られます。絵作りの面では、どのようなところに気を付けていますか?
南悲壮感漂うような雰囲気にならないようにするというのは正にその通りで、鳥山先生ならではの「どこか明るく、ポジティブな雰囲気」の再現には特に気を付けています。そのひとつとして挙げられるのがベルゼブブたち魔物の描き方ですね。
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彼らは「水がないなら盗めばいい」と思っていますし、作中の冒頭で実際にそうしているシーンもあります。その一方で、略奪を働く相手は私腹を肥やしている王国軍だったり、人の命を奪うことまではしなかったりと、善でなくとも悪と断罪するほどでもありません。
プレイヤーのみなさんにそんな彼らを好きになってもらうためには、本作を通してどのようにすればよいだろうか…というのは常に考えています。
――フィールドや集落などを探索・移動しているとシームレスにベルゼブブたちのかけ合いが発生することもあり、テキスト量がかなり多そうだと感じました。これもその一環というところでしょうか。
南そうですね。テキスト量は膨大になっています。プレイのテンポを阻害しないかけ合いなどを通じて、ベルゼブブたちの魅力をわかりやすく伝えられればと思います。
――『SAND LAND』は8月18日から劇場アニメの公開が予定されていますが、アニメ制作サイドとの連携などはされているのでしょうか。
南進捗やクリエイティブを共有し、作品の魅力をしっかり伝えられるものになっているかをお互いに確認し合っています。アニメサイドのみなさんが手がけたものを僕らが参考にさせていただくことがあれば、その逆もあり、よい協力関係を築けています。
◆100時間は遊べる広大なフィールドとやり込み要素
――『SAND LAND』はどこまでも砂漠が広がり、さらに飛行機の類が王国によって禁止されている世界のお話です。ゲームを制作するという観点では制約にもなると思いますが、フィールドを作るうえでの苦労はありますか?
南そこは悩ましいところです(笑)。ゲームには時間経過の概念がありますので、昼夜で異なる表現・雰囲気を見せています。おっしゃる通り基本的には砂漠・荒野が広がる世界ですので、例えばフィールドは高低差を強く意識しています。
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低所から高所へは高く跳び上がれるジャンプメカで上がれるようになっており、第1弾トレーラーにもあるように、高所から高所へはジップラインで渡れる場合もあります。
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――探索しがいがありそうです。世界の広さやゲームのボリュームはどのくらいになりそうでしょうか。
南何キロ平方メートル…と具体的にお話することはできませんが、広大なフィールドを冒険してメインクエストを追うだけで20~30時間、探索やメカの強化などのやり込み要素も含めると100時間は遊べるくらいの規模感を考えています。
――期待しています。それでは最後にメッセージをお願いします。
南本作で初めて『SAND LAND』に触れていただく方もいらっしゃると思います。そういった方々には鳥山先生が描く作品の新作ゲームとして見てもらえるように作っていますし、原作を知っている方にとっては『SAND LAND』のさらなる拡がりを楽しんでほしいと思っています。
作品の魅力的な世界に浸っていただけるよう開発を進めていますので、今後の情報公開にもご注目ください!
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