
コスプレ撮影をする時はどんなカメラを使っていますか?
スマートフォンのカメラも進化が目覚ましいですが、本格的なカメラを使うことで高解像度かつ背景をボカした写真を撮ることができます。
SONYやCanon、Nikon、富士フィルムなど国内メーカーごとに写真の映り方が違いますし、Leica(ライカ)やハッセルブラッドといった海外メーカーは歴史の長さも違います。中でも、ライカは世界中のカメラマンが愛好する特別なカメラです。値段も非常にお高い。
本記事では、同じ被写体を同じロケーションで撮影した時、メーカーごとにどれだけ映りが変わるのか。コスプレ、グラビア、ファッションで活躍するモデル達を、SONY(国内メーカー)とライカ(海外メーカー)で撮り比べてみました。
※今回の撮影では、SONYはα7R5、ライカはM-P Type240を使用。近年のライカは、他社製品と分野が一部被る一眼・ミラーレスモデル(CL、T、SL、S、Qなど)をリリースしていますが、現行としては固有であり代表的な製品としてM型デジタルと比較します。
◆コスプレ撮影で多く使われるSONYのカメラ
現在、コスプレ撮影では多くのカメラマンがSONY、Canon、Nikon、富士フィルムなどの日本のカメラメーカーを愛好しています。とくに高画質・高機能なのに、コンパクトで使いやすい人気のフルサイズミラーレス一眼の先駆者であるSONYのαシリーズは人気が高いです。
最新機種のα7R5では、6100万画素センサーと優れた解像性能、被写体認識AF(ピントを被写体に自動的に合わせてくれる機能)の精度の高さ、圧倒的な手振れ補正を持ちます。たとえプロカメラマンでなくとも、人、動物、飛行機、風景、星なんでも最高の描写力で(レンズ性能によっても変わりますが)写真を撮る確率が上がります。
そして、コスプレ撮影ではストロボを用いた撮影が主流であるのですが、各メーカーのストロボと互換性や相性が良いのも強み。被写体に(とくに非顔)光を当てたライティングの自由度が高くなります。
◆ライカでしか撮れないアナログな絵
一方で、1914年にドイツで生まれた老舗カメラメーカー「Leica(ライカ)」は、100年以上の歴史を持ち、世界中のプロカメラマンが愛好する、特別な立ち位置のカメラです。しかし、コスプレ撮影ではあまり使う人を見ません。その大きな理由は、高額なのにAF、手ぶれ補正、瞳オートフォーカス、ノイズ除去などのサポート性能に優れた国内メーカーのような利便さがないからです。
そのため、せっかく高額なライカを使っても良い写真を撮るには熟練度が必要になってきます。さらにSONYと比べてライカMはストロボとの互換性が悪いのも理由として挙げられます。
しかし、国内メーカーのデジタルチックな絵作りとは対照的なフィルムライクな絵作りが持ち味。そして、光を柔らかく捉えることができ、階調表現の幅広さ、暗部の粘りがあって逆光の撮影でもディティールを保つ能力があります。とくに白と黒の表現力が高いので、“ライカでしか撮れない絵”を求めることができるでしょう。
しかし、いかんせん高い。純正レンズがSONY最高峰のGMレンズの3~4倍の価格をすることもあります。
◆SONYとライカで撮り比べ

〒181-0013 東京都三鷹市下連雀1丁目35−3(吉祥寺駅・三鷹駅から徒歩約10分。バスで約5分)
7月22 日(土)13:00~花宮いのりさんが在廊。7月23日(日)13:00~緩苺さんが在廊。
今回、SONYとライカで撮り比べした写真展を7月21日(金)~7月23(日)まで、東京都・三鷹のギャラリーで開催します。
筆者はこれまで、SONYのカメラで日本に限らず、中国や東南アジアなどでもコスプレイヤーを撮影してきましたので、SONYを担当します。
ライカを担当するカメラマン・uhimaruは、『東方Project』のコスプレ撮影をライカで撮り続け、日本だけでなく中華圏でも高い評価を得ています。ライカ社審査制フォトギャラリー「Leica Fotografie International」でも『東方Project』パチュリーの写真が認定される実力者です。
同じモデル、ロケーションで撮影したところ、全くテイストの異なる絵になりました。レンズや露出設定、ストロボの有無など厳密に条件を揃えたわけではありません。雰囲気の違いを目で見て楽しんでもらえたら思います。
最後にいくつか作例をご紹介します。
◆コスプレ/モデル:ゆう(Twitter:@yu_know_what)


【白と黒の空間で撮影する時の違いを比べる】
コスプレイヤーとして活躍するゆうさんには、『Fate/Grand Order』沖田総司のコスプレをして頂きました。スタジオクオーツで撮影しました。ライカ最大の特長とも言えるのが白と黒の描写力です。どうしてもSONYだと白と黒の描写が淡白になってしまうのですが、立体感のある写真にするならライカよりも向いている気がしました。逆にライカは平面的な絵になってしまっても、暗部の粘りや階調の広さで描写力を高めていますね。
◆グラビア/モデル:花宮いのり(Twitter:@inori_0118)


【ストロボとノンストロボの違いを比べる】
コスプレ、グラビア、そして期間限定自己プロデュースアイドル『Couleur Clarity(クルールクラリティ)』メンバーとしても活躍する花宮いのりさんには、中国の西域漢服をお召し頂きました。砂浜での撮影ですが、一枚はストロボを使ったSONYらしいパキッとした写真に仕上がっています。コスプレ撮影でもお馴染み、空のグラデーションを残したハイスピードシンクロ撮影ですね。AFの精度とスピードが高いので、激しめに動いてもらってもシャッターチャンスを逃しません。
ライカで撮る場合は、解像力ではSONYが上なのは機種性能の差ですが、優れているのは暗部の粘りです。ストロボもレフ板もなしの逆光で、モデルさんのディティールがここまで残っています。また、SONYと比べると光を捉えた時に柔らかくなり、色の諧調に奥行きがあるのがお分かりでしょうか。こればかりはレンズの金額の差もあるかもしれませんが、SONYが少し淡白に感じられます。
◆ファッション:緩苺(Twitter:@1004yrm_)


【デジタルとアナログなテイストを比べる】
コスプレ、ファッションモデルとして活躍する緩苺(ゆるめ)さんには着物をお召し頂きました。どちらもストロボもレフ板も使っていません。こちらはSONYのデジタル調、ライカのフィルム調の違いが分かりやすいと思います。レトロチックな衣装や街並みの場合、ライカで撮ったほうが味のある写真になりますね。同じ環境でもライカのほうが光を柔らかく捉えてくれているのも感じられます。
いかがだったでしょうか?高額なカメラを使ったからといって良い写真が撮れるわけではないですし、メーカーごとにそれぞれが得意とする絵作りがあります。これからカメラを始める方は自分が撮りたい絵作りをまず決めることがおすすめです。すでにカメラをお持ちの方は得意な絵作りを意識すると、さらに良い写真を撮る確率が上がるかもしれません。