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2023年7月26日から中国にてパブリックテストが開始となったシミュレーションRPG『銀河境界線(GALAXY FANTASY)』をご存知でしょうか?本作はEtherous Gamesが開発したタイトルで、壮大な銀河を舞台にしたスペースオペラ作品です。
銀河を舞台にした世界設定のゲームと言えば、直近ではHoYoverseの『崩壊:スターレイル』が近年大ヒットを飾り、多くのスマートフォンゲーマーたちの記憶にも新しいことでしょう。
本作も『崩壊:スターレイル』に並び、スケールの大きな「宇宙」を題材としたタイトルではありますが、新規IPという立ち位置で、『崩壊:スターレイル』以上に“スペースオペラ”を本格的にテーマとして掲げているのが特徴です。
公式自らあの名作映画「スター・ウォーズ」のパロディ風PVを作ってみたり、人気SF作品「銀河英雄伝説 Die Neue These」とのコラボ発表を行ったりと、数々の名作スペースオペラ作品を強く意識しています。
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本作は日本の人気声優陣たちによる吹き替えだけではなく、すでに日本語版の主題歌までがbilibiliにて公開済みです。日本へ進出する気満々な空気が漂っており、これは早速取り上げなければ!と思い立った次第です。
今回はそんな『銀河境界線』が一体どういったゲームなのかを簡単にご紹介していこうと思います。
◆ 遺伝子さえも組み替えて新たな環境に適応した遠未来の人類。機械種族の侵略に抗う宇宙戦争が開戦
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『銀河境界線』の世界は人類が宇宙に進出し、数々の惑星を居住地として発展させた遥か未来の世界です。人類はそれぞれの惑星環境に適応するため、高度に発達したテクノロジーで自分たちの遺伝子さえも改造しています。
獣のような姿の者がいれば、鳥のような翼を持つ者から立派な角を生やした者まで登場。異なる惑星ごとに適応し、独自の進化を遂げた新人類たちが織りなす世界観となっているようです。そのためキービジュアルやPVを見ても、亜人系の美少女キャラクターが多くいるのだと考えられます。
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作中でプレイヤーは銀河を統べる帝国の司令官として、「プロティアン(Protean)」と呼ばれる機械の肉体を持つ種族たちに対抗するために戦いへと身を投じていくことになります。このプロティアンは意思疎通ができないうえ、疲れ知らずで恐れることを知りません。その戦力は空を覆い尽くすほどの大群で、厄介なことに自身の遺伝子を組み替え続けて進化を遂げていくのです。
プロティアンとの戦いが長引くほどに、新たな特徴を持った新種が誕生していく負のスパイラルが起きており、作中では人の体を乗っ取って、人間社会で活動しながら情報収集を行うタイプまで出現しているとのことです。
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シリアスで退廃的な空気感と、少し陰鬱な絵づくりはどこか『アークナイツ』のようでもあります。今のところbilibiliやTapTap内で公開されているPVを見るに、真夏のシーズナルイベントを除いて全てがダークな雰囲気。
映像では宇宙艦隊が激しい攻防を繰り広げている様子も確認できます。プロティアンとの戦いが激化していく中、一体人類はどのように戦いを推し進めていくのでしょうか。
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◆ タクティカルなバトルが手に汗握る……けれども“時間がかかる”との声多いバトルシステム
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『銀河境界線』のバトルシステムは3Dのマップ上で展開されるオーソドックスなシミュレーションRPG。異なるキャラクターたちを編成して、敵の全滅を目的とした非常に分かりやすい勝敗条件です。
現段階でバトルシステム自体は多くのプレイヤーたちから高い評価を受けており、キャラクターのレア度以上にプレイヤーの戦略性がちゃんと問われるゲームとして認知されていました。また、複数のプレイヤーたちから任天堂の人気シリーズ『ファイアーエムブレム』が引き合いに出され、難易度自体も中々に歯応えがあるようです。
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しかし、モバイル向けのアプリゲームで高難度のシミュレーションゲームがウケるかどうかはまた別の話。
ユーザー評価には「難易度が高い」といった意見も多数寄せられており、戦略性の高さゆえに“考え抜かないとクリアできない難易度”という、シンプルに根本的なゲーム設計の課題が挙げられています。ジャンルの特性上この辺りのバランス調整は非常に悩ましい限りですが、カジュアルゲーマーたちも楽しめるように努めるのが今後の目標になりそうですね。
特に筆者が気になったのは、現在開催中の水着イベントで「最終ステージのクリアに3時間もかかった」と投稿するユーザーの声です。他の投稿コメントを見ても、個人差はあれどイベントステージの攻略に時間がかかる傾向は見られました。
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ここは筆者の憶測に過ぎませんが、昨今では「タイムパフォーマンス(タイパ)」を意識する若年層ユーザーが多く、ラクにデイリーやミッション、あるいはイベントをこなせるという前提条件が、ゲームを継続して遊ぶのに重要なポイントとして見られているような節があります。
そのことを加味すると、イベントのプレイに時間がかかり過ぎてしまうというのはかなりクリティカルな問題点といえるでしょう。というか、ゲームアプリで1ステージのクリアに1時間近い時間をかけたくないのは多くのプレイヤーが感じる真っ当な感想だと思われます。
幸いなことに昨今の中国ゲームデベロッパーは、開発速度が異様に素早いので、今回のように浮き彫りになった問題点は早期改善される可能性が高いでしょう。運営側もユーザーの投稿を認識しているようなので、今後に期待が高まります。
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◆ まさかの“日本版主題歌”がお披露目。ゲームの吹き替え声優陣には石川由依さんや種崎敦美さん、水瀬いのりさんらも!
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bilibili動画では本国版の主題歌に加えて、なんと日本語歌詞の主題歌が公開中です。しかも、本作は主題歌を中国語版・英語版・日本語版に加えて“ロックアレンジ版”の4種類を用意するという謎の周到さ。
日本語版の楽曲を歌うのはbilibili動画内で多くのアニソンやJ-POPを中国語でカバーする人気シンガーソングライターの陳樂一さんです。なお、中国語版と英語版はオーケストラを用いて、壮大な世界観に相応しい楽曲となっている一方、日本語版はアニソン的な熱のこもったアツい楽曲テイストに仕上がっています。
※陳さんの人名は正しくは簡体字ですが、システムの都合上繁体字で表記しています。
ちなみにロックアレンジ版を担当しているのはYouTubeで数々の人気ゲームタイトルの楽曲をカバーするSkarさん。こちらはヘヴィメタルなカバーアレンジになっており、いずれの主題歌とも異なる雰囲気です。
『銀河境界線』では、宿敵・プロティアンに立ち向かう“全人類共同体”のコンセプトを反映するため、複数の言語版主題歌を用意することで、プレイヤーが好みのものを自由に選択できるようにしているとのことでした。おそらく今後グローバル展開する際の施策の1つなのかもしれませんね。
公式サイトでは日本語吹き替えのキャストも公開されており、石川由依さん、種崎敦美さん、水瀬いのりさんなど、豪華声優陣たちを多数起用しているのが確認できます。吹き替えキャストと主題歌の用意まで既に済んでいる状態なので、グローバル展開に関する情報がいつ来てもおかしくない雰囲気です。
中国ではハイクオリティな新作アプリが次々と登場しているので、本作がそれらに埋もれてしまわないことだけが大きな懸念点。魅力的な亜人系美少女キャラクターたちが日本ユーザーたちの性癖に刺さることを、筆者はひっそりと夜空に浮かぶ星々に願っておくことにしましょう。
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