「ゲームを1本買うともう1本もらえる」ヴァニラウェア作品、そのサービス精神は『ユニコーンオーバーロード』でも健在! こだわりの過去特典は今や入手難

ゲームを買うと、まったく別のゲームも付いてくる……と一部で評判のヴァニラウェア。最新作の『ユニコーンオーバーロード』の限定版でも、特典で全く異なるゲームが付属します。どんなゲームがもらえるのか、「これまで」と「これから」に迫ります。

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「ゲームを1本買うともう1本もらえる」ヴァニラウェア作品、そのサービス精神は『ユニコーンオーバーロード』でも健在! こだわりの過去特典は今や入手難
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■『ドラゴンズクラウン・プロ』と同じ世界観の、完全新作「ゲームブック」を開発!

ベルトスクロールタイプの2DアクションRPG『ドラゴンズクラウン』が、PS3/PS Vitaソフトとして2013年に発売されました。そして、この冒険をPS4向けに展開したタイトルとして、『ドラゴンズクラウン・プロ』が2018年に登場。この『ドラゴンズクラウン・プロ』の先着購入特典に、全く異なるゲーム『悪霊島の秘宝』が付属しました。

『十三機兵防衛圏』の場合は、完全新作の本体と復刻ゲームの組み合わせでしたが、こちらは、“過去作のPS4展開+完全新作の特典ゲーム”と、全く真逆の編成。また、『十三機兵防衛圏』&『プリンセスクラウン』は神谷氏繋がりのカップリングでしたが、『ドラゴンズクラウン・プロ』&『悪霊島の秘宝』は同じ世界観を共有する、作品的に繋がりを持つ関係性です。

『ドラゴンズクラウン・プロ』は、屈強なファイターやアマゾン、卓越した魔法の使い手であるウィザードにソーサレス、異種族のドワーフとエルフといった6人のキャラクターからひとりを選択し、それぞれが得意とする立ち回りを駆使して多彩な敵と戦います。

また、「ゲームマスター」と呼ばれるアナウンス役によってゲーム進行が導かれる、というユニークな特徴も見逃せないポイントです。次なる目的地へと促される場合もあれば、急変する状況を描写してくれることもあり、独特な臨場感と没入感をプレイヤーに与えてくれます。

ゲームマスターの語りを耳にしながら、ベルトスクロールで様々な強敵と戦うアクションRPG。王道ファンタジーを個性的な演出で肉付けし、独特の味わいを確立した『ドラゴンズクラウン・プロ』は、唯一無二の作品として高く評価されました。そんな本作と同じ世界観を持つのが、『悪霊島の秘宝』です。

『悪霊島の秘宝』も、プレイヤーはファイターなど6人のキャラクターからひとり選び、その冒険へと旅立ちます。ですが、そのキャラをプレイヤーは直接操作はしません。小説のように綴られる文章を読み、遭遇するシチュエーションに合わせて行動を選択し、時には立ちはだかる敵に向かってダイスを転がして勝敗を決します。

『悪霊島の秘宝』のジャンルはADVが最も近い形ですが、「要所要所で主人公の行動を選び、その筋道が変化していく小説」という、一風変わったゲームです。知る人ならば、「ゲームブック」と言えばすぐにご理解いただけることでしょう。

『悪霊島の秘宝』は、特典用として作られた完全新作のゲームですが、作り込みが素晴らしく、1980年代にブームとなったゲームブックの持ち味(装丁や演出、イラストの雰囲気等)などをモチーフに、そのテイストを活かしながら今遊ぶに十分な快適さを両立。

“ステータス+サイコロの出目”で決着をつける緊張感のあるバトルはそのままに、ダメージ計算などの手間は自動的に行ってくれるため、大半の面倒がなくストレスフリーで楽しめる「今どきのゲームブック」として完成しています。

かつてのゲームブック文化を知らなくても、「選択肢を選び、展開を自ら変えていく“遊べるファンタジー小説”」として楽しめるので、この『悪霊島の秘宝』は若いゲームファンにも十分お勧めできる見事な完全新作でした。

また、ゲームマスターの語り口調にも通じる描写(実際には、ゲームブックが語り口調のモチーフ元ですが)は、『ドラゴンズクラウン・プロ』のスピンオフ作品として見ても満点の出来と言えます。

好みが分かれやすいゲーム性なので、万人向けでこそありません。ですが、“未知の冒険”を文章で切り開くのを好むゲームユーザーならば、これぞまさにと呼べるほどの作品です。

ただし『悪霊島の秘宝』は、前述の通り『ドラゴンズクラウン・プロ』の先着購入特典。それ以外の形では、一切リリースされていません。有償での単品販売もないので、今後新たな動きがない限り、今遊べない方が『悪霊島の秘宝』に触れられる機会はほぼゼロです。それが、唯一にして最大の難点でしょう。



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《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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