『ペルソナ5 タクティカ』は、単なる“心の怪盗団+シミュレーションゲーム”じゃない! ターン制RPGでは味わえない「1MORE」の奥深さに感嘆【プレイレポ】

この冬にじっくり遊べる『P5T』の魅力を、発売に先駆けていち早くチェック! プレイ体験を通してそのt特徴に迫ります。

ゲーム プレイレポート
『ペルソナ5 タクティカ』は、単なる“心の怪盗団+シミュレーションゲーム”じゃない! ターン制RPGでは味わえない「1MORE」の奥深さに感嘆【プレイレポ】
『ペルソナ5 タクティカ』は、単なる“心の怪盗団+シミュレーションゲーム”じゃない! ターン制RPGでは味わえない「1MORE」の奥深さに感嘆【プレイレポ】 全 17 枚 拡大写真

■『P5』でもお馴染みの「1MORE」が、SLGに新たな刺激を与える

ターン制コマンドRPGだった『P5』本編と比べ、本作のゲームシステムはかなりシミュレーション寄りになっています。成長する要素はもちろんありますが、遮蔽物や高台が設置されたマップ上を移動し、有利な場所で敵と対峙するなど、仲間との連携を考慮した位置取りなども非常に重要です。

一見するとかなりゲームシステムが変わったように見えますが、実は『P5』の要素も数多く盛り込まれており、むしろ『P5』ファンほど馴染みやすいゲームともいえます。

本作では敵・味方ともに、射撃と近接攻撃が主な攻撃手段です。『P5』でもジョーカーたちは銃を使っていましたが、それは本作でも変わりません。むしろ重要性が増しており、戦いの主軸として活躍してくれます。

ですが銃撃には弱点があり、遮蔽物を利用した「カバー」状態になると、その対象への銃撃はダメージが減ったり、時に完全に防がれることもあります。このカバーの効果も敵・味方共通なので、敵の銃撃はカバーで防ぎ、防がれない位置から敵に攻撃を仕掛けるのが基本中の基本です。

カバー状態の解除にはいくつかの手段があり、そのひとつが近接攻撃。対象に隣接して×ボタンを押すと近接攻撃が発動し、ヒットすると相手は吹き飛んで「無防備」な状態に。攻撃した側は、対象がいたマスに移動します。

また、SPを消費して繰り出すスキル(ペルソナの使用など)の攻撃は遮蔽物を無視できるので、これも敵のカバー状態を解除できます。本作においても、ペルソナは重要な攻撃手段であることには変わりません。

カバーが外れて無防備な状態の敵に攻撃を加えると、相手がダウンして「1MORE」が発動。『P5』と同じく、「1MORE」を発動させたキャラの再行動が可能になります。しかも本作の場合、再攻撃だけでなく再移動もできるので、マップを縦横無尽に駆けまわれるのです。

さらに、「1MORE」を発動させたキャラを含む味方3人でダウン状態の敵を囲むと、「トライバングル」が発生。名前こそ違いますが、これは『P5』の「総攻撃」に相当します。条件を満たしていれば、囲まれた範囲にいるほかの敵も攻撃できるので、より多くの敵を巻き込むのが効果的です。敵全員のダウンが条件の『P5』と比べると、『P5T』の方が少ない手数で発動できます。

実際にプレイした体験として特筆したいのが、この「トライバングル」という要素。本作のバトルは、敵のほとんどがカバー状態から始まるので、「近接攻撃orスキル攻撃でカバー状態を解除」→「無防備な相手を攻撃して「1MORE」発動」という流れが基本になります。

この流れを、敵1体を攻撃するたびに繰り返すのは少々大変ですし、ターン数も嵩みます。ですが「トライバングル」を活用し、敵1体をダウンさせて味方3人で上手く囲めば、その範囲にいる他の敵にも大ダメージを与え、戦局が有利に傾きます。

実に強力な「トライバングル」ですが、欲張り過ぎると痛い目に合うので要注意。敵を囲む距離自体に制限はない(キャラクターの移動距離が実質的な制限)ので、味方同士が広く散開するほど囲む範囲が広がり、一度に多くの敵を巻き込みやすくなります。

特に「1MORE」を発動させたキャラは、前述の通り再移動もできるので、更に移動して「トライバングル」の範囲を広げたくなるところ……ですが、これが意外な落とし穴なのです。範囲を広げると敵の陣地へ踏み込みがちになり、「トライバングル」終了後に孤立しやすくなります。

マップ上で孤立したキャラがどれだけ危険なのか、シミュレーションゲームを遊んだ経験があれば説明するまでもないでしょう。単独で敵陣に近づくのは、各個撃破の恐れもある危険な行為です。しかし、「トライバングル」の範囲を広げたくなるのも、プレイヤー側のごく自然な欲求。このせめぎ合いを生む絶妙なゲームバランスも、『P5T』が持つ特徴のひとつになっています。

戦略的な判断が重要なので、シミュレーションゲームに慣れていない人は「難しいのかな?」と悩むかもしれません。ですが本作には、1つ前の味方のターンに戻る「UNDO」というシステムもあるので、過剰に身構える必要はありません。

致命的な失敗も、1ターン巻き戻せば回避できる場合が多いので、臆病になるより自分の発想を信じてあれこれ試し、ダメだったら「UNDO」で仕切り直す。それくらいの気構えで遊ぶ方が色々な戦略を試せますし、結果的により楽しめると思います。

■『P5』の要素を、独自性の高いゲーム性に落とし込んだ『P5T』

『P5T』のバトルは、ガード状態をどうやって外し、いかに「1MORE」を発動させ、「トライバングル」で多くの敵を巻き込むか。この仕組みを軸に立ち回る、既存のシミュレーションゲームとは一味違うプレイ感が、特徴的かつ新鮮です。

また、ガード状態を解除の恩恵もある「ペルソナ」の攻撃や、再行動が可能になる「1MORE」、「トライバングル」という名の総攻撃など、『P5』でお馴染みの要素を落とし込んだシステムも多く、SLGユーザーよりも『P5』ファンの方がむしろ親しみやすいかもしれません。

「ペルソナ合体」で新たなペルソナを生み出したり、戦闘不能になったら控えの仲間と交代するシステムに形を変えた「バトンタッチ」など、今回取り上げた要素以外の本編お馴染みのシステムも、うまくSLGに落とし込まれています。

ジョーカーが複数のペルソナを装備できる「ワイルド」の特性は今回外されていますが、その代わり他の怪盗団メンバーも「サブペルソナ」を装備できるようになり「本来のペルソナ+サブペルソナ」の編成で戦えます。

本作は、「心の怪盗団」がSLGのゲーム性で暴れるだけ、という単純なゲームではありません。「1MORE」の獲得とその活用を軸に、他のSLG作品では味わえないパワフルかつスピーディな戦略バトルが展開されるので、非常にテンポがよく、さらに爽快感も感じられるなど、本作独自の手応えに満ちています。

異世界で「革命」を起こす『ペルソナ5 タクティカ』は、『ペルソナ』シリーズにとっても革命的な作品になるかもしれない──そんな実感も覚えた、好感触のプレイ体験でした。『P5』ファンにとって、今回も見逃せないマストな1作になりそうです。

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《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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