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ホラーゲームにおけるメタフィクション演出が、配信者ならではの観点をきっかけに話題になっています。
Webカメラ起動!?メタ演出の是非が議論に
この場合のメタフィクション演出とは、例えばゲーム中に演出としてPCや接続されたデバイスから適切な手段で抜き出した情報をもとに、それらをゲーム内部の登場人物や怪異などが把握しているように見せる演出などを指します。
今回注目を集め、議論を巻き起こしたきっかけは、海外のマイナー作品まで含めホラーゲームを専門に取り扱うVTuber・人生つみこさんのポストです。同氏はとある海外ホラーゲームをプレイしていたところ、(プレイヤーのPCに接続された)Webカメラが起動するという恐怖演出を持つホラーゲームに遭遇したのだそう。
同氏は、最近(あくまで演出として)PCの情報を抜き出し、PCのユーザー名やIPアドレスなどを用いて名前や住所の一部をゲーム内で公開する作品が度々でてきていると指摘。これ自体はあくまでソフトウェアが取得できる情報を表示しているだけであるため、個人で楽しむ分には問題ないと考えられますが、場合によっては配信者にとって不意の個人情報公開となり、致命的になりかねないのは確かです。
このポストは大きな話題を呼び、あわせて様々な議論が起こっています。きっかけとなった、人生つみこさんは図々しいお願いであることを前置きしつつも、プライバシーを強く守りたい配信者がいることを懸念し、できればその旨をストアに表記してほしいとしました。しかし一方で、それではメタ演出のネタバレになってしまうのではないかという声も挙がっています。
演出とプライバシーのバランスはどこにあるべき?
そもそもメタ演出は、本来ゲームの世界の外にいるはずのプレイヤーやPC本体に唐突に干渉されること自体が恐怖演出として機能しています。ここ数年でヒットしたホラー作品もそういった演出を取り入れたものがあり、Steamのユーザー名やPC内にあるファイル名を取得したり、果ては配信に使用するOBSソフトウェアを検出して特別なメッセージが出たりといった演出が話題を呼びました。事前に演出の有無が解ってしまうようではその効果は大きく減じてしまうでしょう。
ただ、同様の演出が流行れば流行るほど、顔出しをしない配信者が安心して初見でのゲームをプレイできなくなっていくというのも事実。こちらも「ロケハン」をすれば解決はできるでしょうが、配信者のスタイルによっては魅力を損なってしまいます。配信でプレイするという遊び方が当たり前となり、それを起点にゲームが話題を集めることもある現代では「落とし所」をどこに置くべきなのでしょうか。