“有名作品に良く似たタイトル”は、インディーゲームの有名な類型として、元ゲームのファンでもある制作者たちにより多数リリースされています。特にオフィシャルの分かりやすいナンバリング作品などが長らく出ていないのであれば、なおさらでしょう。しかし、先日国内サイトにて頒布開始されたとあるゲームが大きな議論を起こしているようです。その状況を追ってみましょう。
生意気な勇者を撃退するダンジョン構築シミュレーション…ってあれ? これ何処かで…
議論の対象となったのは、3月24日にDLsiteで配信されたデベロッパー・Menon開発のダンジョン構築SLG『勇者のものは魔王のもの』というタイトルです。
本作は生意気な勇者を撃退するダンジョン構築シミュレーション。プレイヤーはワンボタン・ワンクリックの操作で土を掘ってダンジョンを作り、ダンジョンに生まれる魔物たちを使って勇者たちを撃退します。押し寄せてくる勇者は様々なタイプが用意されていて、様々なスキルを使ってダンジョンに侵攻してきます。
あらゆる勇者に対応できるダンジョン作りが勝利のカギとなり、魔物の強化や勇者のタマシイを利用した合成種なるものへの強化によってどの魔物を主力にするかがプレイヤーの腕の見せ所となりそうです。なお、デモ版も公開されています。
しかしコアゲーマーなら、このグラフィックやゲームルールなどに既視感を覚えた方も少なくないでしょう。ゲーマーコミュニティの間では、『勇者のくせになまいきだ』シリーズに非常に似ていると指摘されています。
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あまりにも「似ている」…その良し悪しの境界線は
本作は『勇者のくせになまいきだ』を意識していることがタイトルやゲームデザイン、ドット絵からも分かります。参考までに以下のPS Storeの『勇者のくせになまいきだ:3D』の画像をご覧ください。オマージュというには少し力が入りすぎにも思えます。
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『勇者のものは魔王のもの』開発の経緯を綴ったCi-enによれば、制作者は『勇者のくせになまいきだ』の大ファンなのだとか。アセットはいちから手打ちで制作したことも明かされています。こまめに更新されている開発進捗からは『勇者のくせになまいきだ』へのリスペクトもうかがえ、独自のルール調整なども行われており、『勇者のものは魔王のもの』が“単なるクローン”であるとも言い切れません。
しかし、SNSでは既視感を覚えたゲーマーの声や否定的な意見のほか、『勇者のくせになまいきだ』続編リリースを渇望するコメントなど、様々な意見が寄せられています。
有名作品に非常によく似た作品が“有償”で配信されているという状況は、今なお多くの注目を集めているようです。しかしインディーゲームにおいて「有名作品のオマージュ」は常套とされる手段。ひとたび人気タイトルが生まれれば、モバイル向けのアプリストアやSteamなどで次々と類似作がリリースされているのが実情です。
しかし、『勇者のものは魔王のもの』が大きな議論を呼び起こした理由とはなんなのでしょうか? 類似はどこまでが許されるのか、オマージュ元の『勇者のくせになまいきだ』自体が多くのパロディ要素の上に成り立っているタイトルでもあるだけに、議論は今後も続きそうです。
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