エイム練習なしで『Apex Legends』マスターに?Skeb開発者「なるがみ」氏に訊く「CR Gaming School」で学ぶゲーム上達への考え方【インタビュー】

CRGSの『Apex Legends』コースを受講し、エイム練習なしでゴールドからマスターまでランクアップを達成したなるがみ氏と、本事業の責任者を担う久保敦俊氏の対談をお届けします。

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エイム練習なしで『Apex Legends』マスターに?Skeb開発者「なるがみ」氏に訊く「CR Gaming School」で学ぶゲーム上達への考え方【インタビュー】
エイム練習なしで『Apex Legends』マスターに?Skeb開発者「なるがみ」氏に訊く「CR Gaming School」で学ぶゲーム上達への考え方【インタビュー】 全 12 枚 拡大写真

人気プロゲーミングチーム「Crazy Raccoon」と株式会社Brave groupの子会社である株式会社Game & Co.がタッグを組み、サービスを展開するオンラインゲームスクール「CR Gaming School(以下、CRGS)」。


CRGSは受講生一人ひとりにコーチが付き、オンラインでのマンツーマンレッスンを通じて“ゲームの上達”を目指すオンラインスクールです。現状が把握しやすい独自に作られたカルテや、“再現性”にフォーカスしたコーチングが特徴であるほか、Crazy Raccoonのメンバーをはじめとした特別ゲストによる特別講義なども用意されています。

弊誌では、本事業の責任者を担う久保敦俊氏と、コミッションサービス「Skeb」をはじめとしたさまざまなクリエイター支援サービスを展開する「なるがみ」氏の対談をお届けします。

なるがみ氏は2023年12月から3ヶ月間にわたってCRGSの『Apex Legends』コースを受講し、エイム練習なしでゴールドからマスターまでランクアップを達成。実際にレッスンを受けた感想や、CRGSならではのカルテから見える成長を伺いました。

【インタビュイーのプロフィール】
■なるがみ(喜田一成)

1990年福岡県生まれ。筑波大学情報学群情報科学類卒業後、株式会社ドワンゴにエンジニアとして入社。2014年には3Dモデル共有サービス「ニコニ立体」を企画開発。株式会社DMM.comに入社し、二次創作の公認化事業や違法アップロード対策事業に従事。同年、個人事業としてクリエイター向け確定申告「ドージン・ドット・タックス」を企画開発。その後2018年にコミッションプラットフォーム「Skeb」を企画開発。2021年に「Skeb」を運営する株式会社スケブの全株式を10億円で譲渡。

■久保敦俊

開成高等学校を卒業後、慶應義塾大学総合政策学部に入学。在学中の2016年より株式会社CyberZにてesportsブランド「RAGE」の運営やプロリーグの設立に従事し、新卒で株式会社サイバーエージェントに入社。2019年からカードゲームのプロプレイヤーとして活動を始め、株式会社サイバーエージェントを退職後ANYCOLOR株式会社や外資系ITベンチャーで新規事業に従事した後、株式会社Game & Co.にて事業責任者を担当し、2023年10月より同社取締役に就任。

◆コーチ募集のきっかけは「みんなと同じくらい上手くなりたいな」と思ったから

――早速ですが、なるがみさんはどのようなきっかけで『Apex Legends』のコーチングを受けようと思い立ったのでしょうか?

なるがみ:3年ぶりにプレイしたらめちゃめちゃ下手になっていて、一緒に遊ぶ友達の足を引っ張っていたので「みんなと同じくらい上手くなりたいな」と思ったからです(笑)。

私は今34歳ですが、7,000時間以上プレイしているVRChatでは17歳の友達がいて、一方で起業家仲間には40代がいるなど、幅広い年齢層と交流があります。一貫して言えることは、みんなゲームをプレイしていることでした。その中でも最大公約数的にプレイされているのが『Apex Legends』です。

私のポリシーでもある「餅は餅屋に」ということで、Twitter(現X)でコーチングを募集してみたところ、久保さんからご連絡いただいて受講することになりました。

――なるほど。そのほかの受講生の方の年齢層はどのような方が多いのでしょう。

久保:当初は10代の方が多いと想定していましたが、20代後半がボリュームゾーンでした。なかには50代の方もいらっしゃいます。「後輩とゲームするときにキャリーされてしまう」や「仕事では上司と部下なのにゲームでは立場が逆転してしまって悔しい」といった志望理由の方も多いですね。

――学生と社会人では注げる時間も違いますよね。

なるがみ:私の周りには過去にマスターに到達したことのある方がほとんどで、そこに飛び込んでいくのは厳しいところもあります。年齢差のあるコミュニティにいる私のようなおじさんには効率よく上手くなる手段が必要なんです(笑)

◆自分だけのカルテでわかる、成長の記録

――受講の流れとして、まずはどんなことをするんでしょうか?

久保:まずは目標の設定や現状の課題などを知るためのヒアリングを実施します。どのようなモチベーションなのか、どの程度ゲームに時間をかけられるのか、そもそも目標がわからないなど、受講生ひとりひとりの環境や課題にあわせて中期目標を設定していきます。

――コーチとのコミュニケーションから始まるんですね。

なるがみ:第一回のレッスンが始まる前に、私のプレイを何試合か録画してコーチの方に見ていただきました。そのうえで目標を設定していきます。コーチの方が録画したものを分析して採点し、それをカルテに起こしてくれるんです。

――なるがみさんの場合、目標は最初からマスターだったんですか?

なるがみ:レッスンを受け始めた当時は“ゴールド3”で、目標は“ダイアモンド4”に設定していました。私の場合はエイムは良いけどもポジション取りが課題で、前半はそこを重点的に教えてもらいました。

久保:一般的なコーチングでは、正解を教えるいわゆる“ティーチング”がベースになりますが、CRGSでは“再現性”を大事にしています。ゲームの仕様が変化していくなかで、時間が経っても使える考え方や学び方にフォーカスしているんです。

なるがみさんの場合はエイムは目標ランクに対して必要なレベルに達しており、ポジション取りなど所謂立ち回りが課題だとコーチが判断したため、コーチとプレイ動画をみながら一緒に振り返り、なるがみさんの考えを話していただいたうえで、コーチと考え方をすり合わせていくことに重きをおいていました。

――受講生として、やはりすり合わせていくと納得して吸収できますか?

なるがみ:もう納得しかありません(笑)全てロジックで説明してくれるのがありがたかったです。しかも、全ての回の板書を先生がとってくるんです。これをサブモニターで確認しながら練習するので、すぐに振り返りができて助かります。

――その回で学ぶことがしっかりと記録されていくんですね。

久保:年単位で受講されている生徒さんは千行単位になることもあり、自分だけのカルテが作られていきます。受講期間が終わっても見直して頑張っている方もいらっしゃいます。

――第一回から地続きに作られているのも面白いですね。見返すだけでも楽しそうです。

久保:会社でも日報をつけたりしますが、昔の自分と今の自分を比べると成長を実感できますよね。それと同じで、採点シートも過去のものがすぐ見られるので「これだけ上手くなったんだ」というのを実感しやすくなっています。

なるがみ:初回の映像とか見ると「なにやってんだろう」ってなりますね(笑)

――自身の成長を実感できるんですね。

なるがみ:初回受けただけで目に見えて腕があがって、ランクが一個あがるくらいの印象です。自分だけではどこが悪いのか見つけることは難しいので、第三者の視点でフィードバックがもらえるのはありがたいです。

久保:正直、教える内容そのものは、解説動画や記事などインターネットのどこかしらに情報として存在はすると思います。ただ、それら膨大な情報のどれが自分に適したものなのかを判断するのはなかなか難しいですよね。

――たしかに。なるがみさんの成長速度はどのような感じでしたか?

なるがみ:実は、最初の2ヶ月で目標のダイアモンドにいってしまったんです(笑)その後コーチング最終回が終わった日にマスターに到達しました。

◆受講生の特徴や強みを活かすコーチング

――今回のレッスンを通じてエイム練習をすることはなかったと伺いましたが本当ですか?

なるがみ:はい。最も驚いたのは「エイム練習はしなくて良い」と言われたことです。同様にキャラコン(キャラクターコントロール)の練習もしていません。

3年前に元プロゲーマーの友達に教えてもらったときは、エイム練習ソフトで30分練習してからプレイするようにしていましたが、時間も限られていたので、やはり反復トレーニングが辛かったんです。でもCRGSでは全てをロジックで解決してくれるので、楽しんで上達することができました。

――エイム練習せずに立ち回りだけでマスターまで行けるんですね。

久保:全ての受講生がエイム練習をしないというわけではありませんが、本人の特性や上達させるさまざまなパターンを採用していきます。

CRGSでは本人の特徴や強みを活かすコーチングが多く、なるがみさんのコーチは初回レッスンを終えた時点で「なるがみさんは考える力や考えようとする姿勢が高い」と感じ、「なぜこうすると勝てるのか」という“考え方”にフォーカスした指導を行ったようです。

――練習時間はどれくらい設けていたんですか?

なるがみ:1日1時間から2時間程度です。逆にいうとそれだけ少ない時間でもマスターにいけたので、効果は絶大ですね。

(※なお、2023年12月から2月までの三ヶ月間受講している。この時期はランクマッチにおける昇格戦が導入されたシーズン19であり、ランクを上げる難易度が高いといわれている)

――基本的なレッスンの内容はどんなものなんですか?

久保:受講生の方に宿題として動画を提出していただいて、それをレッスンまでにコーチが確認し、分析します。90分のレッスンでは動画の振り返りを中心にしていて、スケジュールや練習メニューを考えることもしています。レッスンのなかで一緒にプレイするようなことはほぼありません。

――レッスンはフィードバックが軸で、それ以外の時間で受講生は練習をしていくと。

久保:週間目標シートなどもあり、コーチと一緒に設定した時間、毎日少しずつ練習を積み重ねます。Disocrd上のbotでプレイ時間などを記録するとカルテに自動的に記載されるシステムも用意しています。

なるがみ:戦闘シーンを自動で切り抜いてくれるソフトを指定してくれるので、動画の提出も簡単で、このようなソフトに詳しくなかったので助かりました。そのソフトはあとから戦闘シーンなどがシークバーに表示されるので、振り返りもしやすかったですね。

久保:キャプチャーソフトは『VALORANT』と『Apex Legends』共通で「Insights Capture」を利用しています。プロのeスポーツチームでも使っているところがあるようですね。

――それは便利ですね。コーチと一緒にどんな練習をするのか話せるのも大きなポイントですね。

なるがみ:私の場合は仕事の合間や休日にやるため、朝から晩までできませんが、学生さんであればもっと多くのメニューがあるんでしょうね。

久保:メニューの多さもそうですが、プロを目指す方にはスクリムの紹介やチームへ所属するためのサポートなども行っています。

――本気でプロを目指す方向けの道も用意されてるんですね!

久保:今回なるがみさんに体験いただいたマンツーマンのレッスンのほかにも、さまざまなロールモデルの方と触れ合えることを大事にするという意味で、特別なゲストをお呼びしたイベントのようなレッスンを実施しています。

SellyさんやMondoさん、うぉっかさんやふらんしすこさんなど、Crazy Raccoonのタレントさんだけでなく、外部チームのコーチやアナリスト、最近ではフィジカルスポーツのメンタルトレーナーをお呼びすることもあります。ゲームへの向き合い方やモチベーションの維持などを週に1回ほどの頻度で開催しています。

◆ゲームの実力と、それを教える力は全く別モノ

――ちなみに、なるがみさんのコーチはどんな方だったんですか?

なるがみ:物腰柔らかく、どんな質問にも根拠付けてすぐに答えてくれました。私は事業コンサルティングなどもしていますが、すぐに自信満々に話すことはとても大事であることを知っているので、安心感がありました(笑)。

久保:コーチの採用には力を入れていたので、しっかりなるがみさんに響いているのはうれしいですね。採用の最初の段階に行うデモコーチングで完璧なコーチングができる方はとても少ないんです。そこから研修やシミュレーションを実施し、実際に採用に至るのは全体の12%ほどです。


なるがみ:ゲームの実力と、それを教える力は全く別モノですよね。その2つをしっかり担保しているCRGSは、受講生の立場からして安心できます。それはロジカルな説明を受けた初回から実感しましたね。

久保:コーチングマニュアルで販売できるくらいには自信を持っています。また、Crazy Raccoonの冠を背負っていて、自分たちが最高峰のコーチであることをしっかりと自覚してコーチングに挑んでほしいということはコーチ陣によく伝えていることです。「CRGSでコーチをしていた」ことが次のキャリアにも繋がっていくような、質の高いサービスにこだわっています。

――ゲームが上手くなるための考え方というのは、普段の仕事と共通する部分はあるのでしょうか?

なるがみ:そうですね。Webサービスなども同様に“ペルソナ”といって、利用ユーザーがどのような反応を示すかシミュレーションをし、ロジックを組み立てて機能追加や改修を行います。このようなPDCAサイクルを回す方法はコーチングと事業では似ているところがありますね。

久保:CRGSの事業が始まったときも、学習が上達するPDCAサイクルを自分の好きなコンテンツを通して身につけていき、その上達過程や学習方法は勉強や仕事でも使えるよね、ということで展開していきました。なるがみさんは最初からPDCAサイクルを持っていたので、コーチングサービスを受けて頂くことでさらにその成長速度の伸びを感じました。

――ちなみに、他のゲームでも活かせそうなところはありましたか?

なるがみ:「ゲームに勝つ要素はエイムの上手さだけじゃないところ」ですね。『レインボーシックス シージ』など他のゲームでも、遮蔽物の使い方やポジション取りの考え方は活かせましたね。

◆『Apex Legends』は“オタクのゴルフ”

――以前なるがみさんは『Apex Legends』を“オタクのゴルフ”と表現されていましたよね。

なるがみ:一昔前、会社や取引先の接待や交流を深めるために「ゴルフ」が一般的でした。今はインターネットの発達によってそれがオンラインに移り変わっています。ITベンチャーや一般企業なども含め、その交流のひとつが『Apex Legends』を含むゲームですよね。

また、若い子たちとの共通の話題を見つけるという意味でも有用です。「初音ミク好きです!」という若い子に「メルトっていいよね」というと「メルトってなんですか…?」と言われて私がおじさんであることを実感しました(笑)。それでも『Apex Legends』は共通の話題として通じるんです。ゲームは年齢を超えたコミュニケーションツールとして有用で、それってつまり“オタクのゴルフ”ということです。

――それがコーチングサービスとの相性も良いと。

なるがみ:ゴルフのコーチングスクールは今でもいろんなところにありますよね。あれと同じ感覚です。あとは、ゲームのコーチングサービスは、特に選手生命の短いeスポーツ選手にとっても、セカンドキャリアを作るという意味で素晴らしいです。

◆プラン新設と無料体験会で、より気軽に試しやすいサービスへ

――2024年4月からは、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の3つの期間から選択できるようになりました。どのような意図があるのでしょうか。

久保:サービスを1年間運営していくなかで、先ほどもお話した通り想定よりも社会人の方が多く、1週間に1回の宿題動画を用意するのが重たく感じてしまうという意見もいただき、よりライトな月2回のコースを用意しました。

また、CRGSはこの先5年、10年と続いていくサービスにしたいと思っています。より多くの方にCRGSのコーチングサービスを受けていただくきっかけ作りという意味もあり、2ヶ月の受けやすいコースを作りました。

なるがみ:私のCRGSの話を聞いた経営者の友達も、半年や1年はちょっと長いという人もいました。ライトプランは紹介する側にとっても嬉しいですね。

――無料体験会も実施していますが、これはなにを体験できるのでしょうか。

久保:CRGSのコーチによる40分のコーチングを体験していただくというものです。サービスの半分ほどの時間ではありますが、前もって送っていただいた動画を元にコーチングを実施します。

――なるがみさんも「1回受けるだけで目に見えて腕が上がる」とおっしゃっていたので、なかなか大盤振る舞いですね。

久保:昨今、英会話やパーソナルトレーナーなど、学習や身体作りなどで人に頼ることは当たり前になっていますが、ゲームではまだまだ普及していません。これからどんどんニーズやマーケットを作っていこうと思っているので、まずはお気軽に受講していただきたいです。

無料体験会申込はこちら(Discordサーバー)

こだわりのコーチ陣と共に、受講生一人ひとりの強みを活かした“上達”するためのPDCAサイクルそのものを学べる「CR Gaming School」。2024年4月から新設された最短2ヶ月からのプランや無料体験会を通じ、まずは気軽にゲームのコーチングを試してみるのも良いでしょう。

CRGS公式サイト:https://cr-gs.jp/
CRGS公式X: https://twitter.com/CrazyRaccoonGS
Crazy Raccoon公式サイト:https://crazyraccoon.jp/
株式会社Game & Co:https://gameandco.co.jp/

<取材・執筆:岡野朔太郎/撮影・編集:曽根健太>

《Okano》

「最高の妥協点で会おう」 Okano

東京在住ゲームメディアライター。プレイレポート・レビュー・コラム・イベント取材・インタビューなどを中心に、コンソールゲーム・PCゲーム・eスポーツについて書きます。好きなモノは『MGS2』と『BF3』と「Official髭男dism」。嫌いなものは湿気とマッチングアプリ。

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