ゲーム開発未経験からプランナーへ。『FGO』開発の一翼を担う若きホープに「ラセングルってどんな会社?」とズバリ聞いてきた

Game*Sparkと4Gamerは6月30日(日)、「とにかくゲーム業界で働きたい!」と志す学生の皆さまに向けた就活イベント「キャリアクエスト ~冒険者から専門職へ~」を開催します。今回はラセングルのプランナー担当者にインタビュー!

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ゲーム開発未経験からプランナーへ。『FGO』開発の一翼を担う若きホープに「ラセングルってどんな会社?」とズバリ聞いてきた
ゲーム開発未経験からプランナーへ。『FGO』開発の一翼を担う若きホープに「ラセングルってどんな会社?」とズバリ聞いてきた 全 11 枚 拡大写真

Game*Sparkと4Gamerは6月30日(日)、「とにかくゲーム業界で働きたい!」と志す学生の皆さまに向けた就活イベント「キャリアクエスト ~冒険者から専門職へ~」を開催します。

本記事ではこちらのイベントにあわせて、実際に現場で働いている方に質問を投げかけた“ゲーム業界を目指す学生のためのインタビュー”をお届けします。

今回のインタビューのお相手は、株式会社ラセングルに新卒で入社後、ゲーム業界の最前線で業務に取り組んでいる久利篤司さん(プランナー、入社4年目)。ラセングルはスマートフォン向けRPG『Fate/Grand Order』や、2D格闘ゲーム『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』などの開発・運営を手掛けています。

なお、本記事はGame*Sparkと4Gamerによって共同制作された連載記事となります。

「キャリアクエスト ~冒険者から専門職へ~」公式HP


未経験からプランナーへ。その理由は「ゲームが好きだった」から

4Gamer: 本日はよろしくお願いいたします。まずは自己紹介をお願いします。

久利篤司さん(以下、久利さん): 久利篤司と申します。よろしくお願いいたします。2020年度の新卒で入社し、現在はクリエイティブDivision GameDesignStudio 第2セクションに所属しており『Fate/Grand Oreder』の開発にプランナーとして携わっています。

4Gamer: 学生時代は、どのような事を学んでいましたか?

久利さん: 大学では、ゲームとはまったく無関係の経営学部ビジネス法学科に在籍しておりまして、主に法律関係を学んでいました。

4Gamer: なるほど。そこから、どうしてゲーム業界に?

久利さん: 就職活動中に自己分析を進めていくうちに、「自分の得意なことってなんだろう?」という疑問が浮かびました。

そこで「自分はゲームが好きだし、ゲームをずっと遊び続けてきた。この経験や知識を生かせるのは、やはりゲーム業界だろう」という考えに至りまして。業界の門を叩いたんです。

4Gamer: 小さい頃から「ゲーム作りがしたい」という夢があったり、個人でゲームを作ったり、仲間とゲームを作ったりというようなこともなく?

久利さん: まったくなかったですね(笑)。就職活動中にUnityを初めて知ったレベルでした。「あんりあるえんじん?ってのがあるんだ」みたいな。

4Gamer: 日常の中でゲームを楽しんでいる方でも開発エンジンまで知っているとは限らないですよね。

久利さん: 当時はどのようにゲームが作られているのかという事に関心があったわけではなく、興味も持っていませんでした。1人のユーザーとして、楽しく目の前のゲームをプレイしている感じで。

4Gamer: どの業界もそうなんでしょうけど、長くいると「普通ってなんだっけ」となりますよね。世間一般で見れば普通ではないことが、いつしか当たり前の普通になっている。

久利さん: ですね。当時は本当に未経験のまま、何も知らずに飛び込んだという感じです(笑)。

4Gamer: どのようなきっかけでエントリーされましたか?

久利さん: 『Fate/Grand Order』の開発・運営会社ということが自身の中では大きかったです。リリース当初からプレイしていましたし、「好きなものだからこそ携わりたい」という気持ちで真っ先に応募しました。その後選考が進み、入社に至りました。

4Gamer: 当時はディライトワークスでしたよね。学生時代にアルバイトやテスターをやっていたとか、何らかの関わりがあったのでしょうか?

久利さん: それもないんです。オフィス内で開催される採用イベントに応募しようとしたら、満席で参加できずだったこともありまして……。何らかの関わりは持ちたかったんですけど、結局面接のみで入社にいたりました。

4Gamer: では、入社前の印象としてはやはり『Fate/Grand Order』を作っている会社の認識が強かった感じですね。

久利さん: そうです。入社前もですし、入社直後もです。オフィス内にマシュやアルトリアのパネルが設置してあり、「あぁ、本当にこの会社で作っているんだ」と(笑)。「知ってはいる」ことなのですが、目の当たりにして実感が湧きました。

描けない、書けない、でも、ゲームは絶対に作りたい

4Gamer: 『Fate/Grand Order』の開発において、具体的にはどのような業務をされているのでしょうか。

久利さん: ゲームデザイナー班におりますので、ゲーム全般の仕様書の作成であったり、期間限定イベントの設計図のようなものを作ったりする業務がメインです。

4Gamer: 未経験で入社されていますが、入社後の1年はどのような教育を受けられたのでしょう。

久利さん: 入社して2か月程新入社員研修を受けました。ゲーム作りの基礎知識であったり、ビジネスマナーを教えていただいて。企画、実装、マーケティングといったゲーム作りの工程も学ばせてもらいました。

4Gamer: プランナーになったのは、ご自身の志望で?

久利さん: はい、プランナー志望でした。ただ、絵も描けないしコードも書けなかったので、プランナーしか選択肢がなかったという理由もあります(笑)。当時のプランナー募集要項に、「企画書を作って提出」する条件があったのですが、もういろいろと調べながら手探りでガーッと作りまして。

4Gamer: なるほど(笑)。ちなみに、どのような内容の企画書だったんでしょう。

久利さん: 当時、麻雀がすごく好きだったので、麻雀とポーカーを掛け合わせたソーシャルゲームのようなものを出しました。面接担当者のウケは良くなかったです(笑)。

4Gamer: まったく未経験のご自身が採用された理由は何だと感じていますか。

久利さん: 情熱ですかね。「なんでもやります。絶対にあきらめません!」という。あとは『Fate/Grand Order』というタイトルがとにかく好きというのを伝えて、だからこそ「絶対にあきらめずに、もうなんでもやる」と。これが伝わって、ご縁があったのかなと考えています。

4Gamer: ディライトワークスを含め、ラセングルが手がけたゲーム作品の中で、もっとも思い入れのあるタイトルはなんでしょう。

久利さん: もちろん『Fate/Grand Order』です。 それが大前提ではあるんですが、先ほどお話した新入社員研修の一環で『ソロッタさん』というボードゲームを作成しました。新卒で入社したのはプランナーだけではないので、各職種のメンバーでチームになって完成を目指します。これを通じて、リアルな業務上のコミュニケーションを学べましたし、企画から販売までという、ゲーム制作の“一連の流れ”を体験できたので、この経験は、間違いなく今の業務に活かされていると感じています。

4Gamer: 「初めて作ったゲーム」ですか!それは思い入れがありますね。続いて、一番印象に残っているお仕事をお聞きしたいです。

久利さん: 2023年のエイプリルフール企画で『Fate/Grail League』という野球のアプリをリリースしたのですが、そのゲームのプランナーを担当させていただきました。かなり豪華にやらせてもらえたんです。

トークパートの設計書の作成であったり、サーヴァントのパラメーターも、すべて設定しました。また、イラストはすべてリヨさんに描き下ろしていただき、声優の関根明良さんによる実況ボイスも導入したんですが、その台本も作成しました。

全体的なプランニングの業務を担当したのですが、ユーザーの皆様から大変ご好評をいただきまして、グッズ化や、侍ジャパンとコラボも実現できました。ちょうど、WBCで侍ジャパンが優勝した直後という影響もあって、時期がマッチしたというのもありますね。

4Gamer: 当時は入社3年目ですよね。「大抜擢!」という印象を受けます。

久利さん: 『Fate/Grand Order』のエイプリルフール企画は若手の社員、それこそ入社したての社員も抜擢されるような体制で進めているんです。

4Gamer: 「新しいものにチャレンジできる環境」があることは素晴らしいですね。

久利さん: はい。いつものルーティンの業務だけではなくて、新しいプロジェクトにチャレンジできる環境があると思います。今でも印象に残っていますね。

4Gamer: では、「初めて壁に当たった瞬間」はどのようなものでしたか。

久利さん: 入社直後はほとんど困難を感じたことがなくてですね……。上司であったり、周囲の先輩から親身にサポートしていただいたこともあって、ゲーム業界は未経験でしたが、情熱でくらいつけば、意外となんとかなったんです。実は、困難に直面したと感じたのは割と最近のことです。1人での仕事に限界を感じまして……。

「他人に頼りたくない、自分がやれることは自分でやりたい」という性格なんですよ。僕が主に担当しているのは、ゲーム内イベント周辺のプランニングなんですが、対応すべき事項が積み重なり、自分だけでは処理できないレベルになってしまったんです。

そこで、チームのメンバーや先輩に協力をお願いした結果、無事にイベントはリリースできたのですが……。あのまま進めていれば、想定していたイベントのリリースはできなかったかもしれません。そういう状況でした。

4Gamer: 初めて「他人に頼った」感じでしょうか。

久利さん: 頼ることは恥、情けない……とまではいかないんですが、ちょっと頼みにくかったんです。ただ、ゲーム開発って個人の情熱や技能はもちろん必要ですが、チーム全員で同じゴールを目指すものでもあるじゃないですか。“共に創る”と書いて“共創”(きょうそう)、これはラセングルが大事にしている言葉です。その意味を強く実感しました。

辛いより楽しいが勝る理由

4Gamer: 仕事の中でやりがいを感じる瞬間、楽しさや嬉しさを感じる瞬間を教えてください。

久利さん: ユーザーの皆様からの反応を見る瞬間でしょうか。ポジティブな意見もネガティブな意見もありますが、「面白かった」「ここは惜しかった」などのフィードバックをいただけるとやりがいを感じます。「なるほどな、こうすればよかったのか」というものが、次に繋がる。もっとタイトルを楽しんでいただくことに繋がる。あまりにトゲトゲしい意見は、どうしても「うっ……」となりますけど(笑)。

ただ、基本的には「学ばせていただいて、次の機会にもっと楽しんでいただく」チャンスだと考えています。だからこそ、「楽しい」が勝りますね。

4Gamer: フィードバックは嬉しいですよね。自分が想定していなかった部分が注目されることもありますし。

久利さん: そうなんです。「これは絶対いいな、喜んでもらえるな」と確信を持ったものが「あれ……?」ということもありますが、その逆もあります。狙った場所から外れた部分に好評をいただくこともあるんです。そこも含めて難しいですけど楽しいですね。

あと、そう簡単に気づかないであろう、本当にちょっとした小ネタを仕込むこともあるんですけど、それに気づいてもらえるとニヤッとしちゃいますね(笑)。

4Gamer: 職場環境はいかがでしょうか。

久利さん: 入社前は、職人気質というか、殺伐とした空間なのかなという印象を勝手に抱いていたのですが、いざ入社してみると全然そんなことはなく。メンバー同士でも仲がいいですし、先輩は優しく教えてくださったり、助けてくれたり。

多忙の時期は、どうしてもコミュニケーションが雑になりがちだと思うんですけど、「チームで作り上げる」という意識が強いので、相手の立場を考えた発言やコミュニケーションを取れるメンバーが多い印象です。

会社とプライベートの相互な関係

4Gamer: 今も、プライベートの時間にゲームはプレイされますか。

久利さん: かなりプレイする方だと思います。もともとゲームが好きなので、ジャンルを問わずに新作のゲームをいろいろとプレイしています。ただ、最近はマルチプレイの作品が多くなりました。不思議と楽しくて。昨晩も、上司や同期のメンバーを誘ってプレイしていました。こういうことはよくありますね。

4Gamer: さすが、ゲーム会社って感じがします!ゲーム会社で働くようになって、ゲームに接する機会は増えましたか。

久利さん: もともと、ゲームが好きというのもありますし、周囲にゲーム好きが集まっているので、自分の知らないゲームなどを教えてもらうことも増えましたね。「この新作やってみようよ」といった具合で。なので、プレイする機会は増えたと思います。

4Gamer: ゲームをプレイしていると、職業病的なものを認識することはあるのでしょうか。

久利さん: どうしてもプランナー的な視点で見てしまうところはあります。「ここの仕様はどう考えられたのだろう」「どれくらいの工数なのかな」みたいな。大学生の頃には絶対になかった視点です。

情熱と夢を持って、いつまでも忘れずにいること

4Gamer: 本当に「ゲームが好きだ」ということが伝わってきました。好きなことを仕事にしているわけですが、実際にはいかがでしょうか。

久利さん: 就職活動中、「好きなことを仕事にするのは辛いぞ」といった話をよく耳にしました。ただ、今思うのは「好きなことを仕事にしても、いいよね」と。自分の好きなものだからこそ、ユーザーの視点に立って考えられ、面白さも追求できる。体験の引き出しも活用できますし、誇りにも、モチベーションにもつながっています。

4Gamer: 逆に、ゲーム以外の経験で、役立っていることはありますか。

久利さん: ありきたりではありますけど、部活でもサークルでもいいので、チームで何かを成し遂げた経験ですね。僕はずっとバスケットボールをやっていたんですが、チームで目標に向かうためのコミュニケーションを学んだと思っています。

4Gamer: 今後、どのようなチャレンジをしていきたいと考えていますか。

久利さん: 直近ですと、まさに新卒で入ってきた新入社員のメンターといいますか、いろいろと業務の事や仕事への向き合い方などを教えているんです。初めての経験なので、全力で取り組みたいなと。手本としてもらえるように、自分自身も成長していきたいと考えています。

4Gamer: 「こういう人に入社してほしい」「これだけは持っていてほしい」というものはありますか。

久利さん: 「ゲームが好き」「このタイトルが好き」という情熱、熱意でしょうか。能力や技術はあとからどうにでもなります。実際に、僕自身も持たざる者として入社してきて、こうしてなんとかできているので(笑)。

4Gamer: それでは、最後に「ゲーム業界へ就職を目指す学生たち」へのアドバイスをお願いします。

久利さん: ゲーム業界に就職するには、「一芸がないといけない、強い武器がないといけない」と考えている人は多いと思うのですが、それ以上に「ゲームが好き、作りたい」という情熱が何より大事だと考えています。繰り返しにはなりますが、僕自身未経験で入社してなんとかなっているので。

就職活動中に業界の方のインタビュー記事を読んだりして、「情熱?夢?何を綺麗ごと言っとるんや!」と思ったこともありますが、実際に入ってみると「ああ、一番大事だな」と感じました。

4Gamer: 説得力がありますね(笑)。ちなみに、その情熱はどのようにアピールするといいでしょうか。

久利さん: 僕の場合は、もう面接で食らいつく勢いで、「なんでもやります!」という感じでした。こういう気持ちは絶対、誰かに伝わり響くはずです。だからこそ、自分の芯から思いをぶつける。これが大事ではないかなと思います。当時、面接官は3人いらっしゃって、1人は「うーん……」という感じだったんですが、2人は「うんうん」って頷いてくれたので。

根性論ではないですけど、そうした気持ちを忘れずに。挑戦することが大切だと考えています。

4Gamer: 本日はありがとうございました。

「キャリアクエスト ~冒険者から専門職へ~」公式HP

《ライター:夏上シキ/カメラマン:大須 晶》

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