■「カセットに名前を書く派」

今は、光学ディスク(PS5など)やカード(ニンテンドースイッチなど)などが、パッケージゲームの主流になっています。ですが、ファミコンの場合は手に乗るサイズ程度のカセット型でゲームが流通していました。
形は違っても、ゲーム機のスロットに挿して遊ぶという点は、現代となんら変わりません。しかし当時は、そのカセットに自分の名前を書く、という人がいました。今現在、光学ディスクやカードに名前を書く例はほとんど見かけないので、若年層から見れば「なぜ?」と疑問に思うことでしょう。

ファミコンに熱中していた子供たちは、新しいゲームに興味が惹かれるものの、お小遣いを貯めるだけではなかなか買えません。そこで彼らが考えたのが、ゲームの貸し借りです。友達同士で違うゲームを貸し合えば、お金をかけることなく次に遊ぶゲームが手元にやってきます。
しかし貸し借りするゲームが増えると、自分のゲームが誰の家にあるのか、逆に自分の家にあるゲームは誰から借りたのか、分からなくなることもありました。中には又貸しする人もおり、状況は複雑さを増すばかりです。

こうした混乱を避けるため、カセットに名前を書き、所有者をはっきりさせる。そんな狙いで、カセットに名前を書く人が少なからず存在しました。
また当時は、自分の名前を明記した方がいい、という向きもありました。子供の所持品に名前を書いておくのはもちろんのこと、「胸に名札をつけて登下校する」といった習慣も根付いていたほどです。
そうした文化の中で育てば、ゲームのカセットに自分の名前を書くのも、さほど不思議な行為ではないと分かります。