◆「ステルス迷彩を再現したい」という、1年越しの願い
話の発端は、ちょうど1年前に開催された「東京ゲームショウ(TGS) 2023」に遡ります。コナミデジタルエンタテインメント(コナミ)の『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1』ブースには作品の世界観をリアルに再現した展示&撮影エリアが設けられ、その雰囲気は非常に素晴らしいものでした。そんな現場を見た筆者は感動すると同時に、一つの夢が思い浮かびました。
それは、「このブースで、ステルス迷彩を着てみたい!」というもの。
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『メタルギア』におけるステルス迷彩といえば、シリーズによって違いはあれど“姿を消す”という効果が有名です。こんな素敵なブースで消えることができたら、どんなに映えることでしょう。(「消えたら映えないじゃん」というツッコミは華麗にスルー)
しかし、当然のことながらステルス迷彩を再現するのが非常に難しい。「いっそ透明なゴミ袋を被ってネタ記事にしようか」という考えも浮かんだのですが、実際に準備したところ、あまりにもチープで……!
というわけで昨年のTGSは、シワシワのゴミ袋を握り締めながら盛り上がっている『メタルギア』ブースを遠巻きに眺めるだけという、とても悔しい気持ちを味わったのでした。嗚呼、愛しきステルス迷彩。
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それから月日は流れ、2024年のTGSコナミブースでも、『メタルギア』の世界を再現することが明らかに。さらに今回は『METAL GEAR SOLD Δ: SNAKE EATER』にちなみ、ジャングルのような雰囲気になっているというのです。
ジャングルといえば、カモフラージュ。そう、ステルス迷彩です。今年こそは、リベンジを!ここから、「ステルス迷彩を手作りして、TGSに潜入したい」という野望が動き出しました。
◆さあ、「ステルス迷彩」をどうやって再現する?
ステルス迷彩はまだまだ未来の技術ではありますが、“なんらかの手段で視覚的に見えにくくさせる”ということ事態は可能なはず。調べるうちに、日本でサイエンスショーを手掛ける米村でんじろう氏が、ステルス迷彩のようなものを紹介している動画を見つけました。
そこから「レンチキュラー」と呼ばれる特殊なシートがあることを知ります。どうやらマジックなどにも使われる様子。さらにAmazonで売ってることも分かりました。さすがAmazon、ステルス迷彩まで売ってるなんて!(言い過ぎ)
さっそくポチります。しかし発送元が海外だったため届くまで時間がかかり、紆余曲折の末に現物が筆者の手元に届いたのは、TGS初日を終えた夜のことでした。
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とりあえず縦の長さが50cmほどなので、シートを3枚繋げてある程度の長さを確保します。本当に姿が消えるのか半信半疑ではありますが、ここまできたら、ぶっつけ本番でやってみるしかありません。
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以下、手作りステルス迷彩の使い方です。
・ステップ1:静かに立ち、心の中で「ステルス…」と3回唱える。
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・ステップ2:上下の服を、なるべく近しい色にする。
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・ステップ3:準備したステルス迷彩を広げ、身体を隠す。
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実際に試してみると、確かにちょっと消えている……ような? ちなみに効果はあくまで真正面から見た場合であり、横から見ると丸見えです。
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色々試したのち、少し薄暗い場所でやったほうが良いのではと思い、TGS会場のすみっこで同様の実験をしたところ、なんか良い感じに透けました。これは、いけるんじゃないか!?
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◆いよいよ、『メタルギア』ブースへ!
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なんだか自信が付いてきた筆者。いよいよ『メタルギア』ブースに乗り込みます。ただし、コナミの関係者様にご迷惑を掛けるわけにはまいりません。良識あるゲームメディアの編集者として、しっかりとプレス受付からアポ取りしましょう。
筆者:「お世話になっております。インサイド編集部です!」
広報さん:「あっ、お世話になっております!」
筆者:「ステルス迷彩を作ってきたので、フォトスポットで撮影をさせて頂きたいのですが」
広報さん:「……んっ? 作った?」
筆者:「ステルス迷彩を作ってきたので、撮影させてください」
広報さん:「た、担当に確認しますので少々お待ちください」
困らせてしまいました。でもその後、ノリノリで撮影許可を頂くことに。ありがとう、ありがとうコナミ。
いよいよ本番です。ジャングルをイメージした『メタルギア』ブースで、手作りのステルス迷彩は効果を発揮するのか。さあ、“潜入”の時間だ!
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パッと見、思ってた以上に消えてます。ステルスなのに周囲からめちゃくちゃ視線を浴びましたが、きっと気のせいです。だって、ステルスなんだもの。
◆実際にステルス迷彩を試してみて
さて、本稿で散々ステルス迷彩と言ってきましたが、ニュアンスとしては「透明マント」と言ったほうが正しいかもしれません。
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良い感じに透けるためには、身体とシートの距離をある程度離すことが重要でした。実際、シートから距離を取りやすい下半身は上手く透けるのですが、シートを持ち上げる手や、それに付随する上半身がどうしても映りがちに。持ち手のようなものがあると、上手くシートと身体の距離が保てそうです。
また、シートの“巻き癖”にも苦労しました。Amazonから届いたシートはポスターのように丸まっており、逆巻きにしたり、伸ばしてベッド下に敷き一晩寝てみたりしたものの、最後まで収まりませんでした。冒頭に紹介したでんじろう氏の動画のように、板状だったらもう少しやりやすかったように思います。
それでも、ステルス迷彩を手作りするという計画にはロマンが詰まっていました。そしてもう一つ、印象的だった思い出があります。それは「ステルス迷彩を作ったんだけど」と本企画を持ちかけると、編集部のメンバーから弊誌のライター陣、広報の方まで誰もが笑顔になったということです。
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それはもちろん、「こいつは何を言ってるんだ」という呆れ半分だったかもしれませんが、ステルス迷彩をTGSで再現できるかもというワクワクを一瞬でも共有できたのなら、筆者はそれだけでとても嬉しい。それは、本記事をここまで読んでくれた皆様も同じです。
現代においてステルス迷彩という技術は、どこかファンタジーで。でもどこかリアルで。ちょうど良い具合に夢と現実の境目にある気がします。少なくとも、瞬間移動や時間旅行よりかは、実現が近いのではないでしょうか。
『メタルギア』シリーズを愛するファンにとって、特別なアイテムであるステルス迷彩。それはこの先、どんな形で実現するのか。もうしばらく、ワクワクは続きそうです。
「東京ゲームショウ 2024」は9月29日まで開催中。「コナミデジタルエンタテインメント」のブースでは、『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』や『SILENT HILL 2』などが展示されています。
¥6,510
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)