
近年、カスタムコントローラー市場は活況を呈しており、PlayStation 5においても多くの「プロ」向けのハイエンドコントローラーが登場しています。そんな中、HexGamingからホール効果モジュール+背面パッドかつDualSenseクローンという要素てんこ盛りの“HexGaming Phantom”が昨年に登場しました。
DualSenseの特徴のアダプティブトリガーやハプティックフィードバックは、プロ向けのカスタムコントローラーでは不要物として排除されていることが多いのですが、HexGaming Phantomはプロ仕様でありつつこれらの機能も搭載している珍しいコントローラーです。これによりDualSense Edgeとほぼ似た性能となっており、価格も重量も近しい位置にいます。
そんなHexGaming Phantomを提供いただいたので、レビューユニットを2ヶ月間使い込んでみた感想をお届けします。
HexGaming Phantomの特徴
プロ仕様のDualSenseカスタムコントローラー
ホール効果スティックとキャリブレーションツールによるドリフト対策
合計4つのマッピング可能な背面ボタン
トリガーはアダプティブトリガーと押し込み幅1.5mmのヘアトリガー切り替え式
滑り止めグリップ
8つのサムスティックが付属
専用キャリングケース同梱
重量:297グラム(例:DualSense Edgeは背面ボタンなしで325グラム
価格:37,790円
高価格に見合った同梱物とキャリングケース

HexGaming Phantomは、非常に丁寧に梱包されており、配送中に大きなダメージを受ける心配はなさそうな印象を受けました。日本よりも扱いが雑なアメリカでも箱に傷一つないまま届きました。

箱を開けると、コントローラー本体に加え、交換可能な8つのサムスティックやキャリブレーション用ツールやデータケーブル、スティック用保護リング、カバー開け用のピック、そしてクイックスタートガイド、USB-Cケーブルやキャリングケースが含まれています。

コントローラー本体のデザインは洗練されており、筆者が選んだスケルトンは内部構造も見えて非常に魅力的です。
重さはサムスティックの選択で前後しますが約297グラムです。筆者はPS5 Proでのプレイ時は無線で接続し、PCではUSB接続していましたが、重量は長時間プレイしていても全く気になりません。
ドリフト問題は絶対に許さないという意思

HexGaming PhantomはPCにつなぐとDualSenseと表示されるように、DualSenseを流用したカスタムコントローラーです。 そのため、PS5では純正コントローラーと全く同じように、アダティブトリガーなどの挙動を再現できます。 しかし、HexGaming Phatomは純正機能だけではなく、多くの革新的な機能を備えています。特にコントローラープレイヤーを苦しめるドリフト問題に対応しています。
スティックドリフト対策として、近年注目を集めているのがホール効果スティックです。 HexGaming Phantomはこの最新技術を積極的に採用しています。
従来のジョイスティックはポテンショメーターという部品を使ってスティックの位置や角度を検知していました。 しかし、長期間の使用により接点の摩耗や劣化といった原因が重なりドリフト問題は発生します。 一方、ホール効果スティックは磁気センサーを利用してスティックの動きを検知しますが、この方式の最大のメリットは物理的な接点がないのでドリフトが発生しづらいこと。

HexGaming公式サイトによると、HexGamingは市場に出回る多くのホール効果スティック搭載コントローラーを徹底的に分析し独自の改良を加えています。 特に、正方形の磁石ではなく、扇形の磁石を採用することで、磁界の変化をよりリニアにし、物理的なスティックの動きとゲーム内の反応とのずれを低減しています。
この結果、HexGaming Phantomはより滑らかで正確な操作感を実現し、従来のジョイスティックに近いフィーリングを維持しながら、スティックドリフトの発生を抑制できる耐久性と安定性が期待できるようになりました。
カスタムキャリブレーション機能

HexGaming Phantomのホール効果スティックは、キャリブレーションツールボックスという備え付けのツールと公式ウェブアプリのGamepad Testerとの連携により、ユーザー自身で精度を細かく調整することが可能です。

調整時はHexGaming Phantom上部のカバーを開けて、コントローラーとキャリブレーションツールボックスをデータケーブルで繋げ、さらにPCとUSB接続します。 出荷時にスティックのキャリブレーションは済ませてありますが、どのサムスティックを使用するかで傾きなどの微妙な数値が食い違うことがあります。 それを自分自身で好みの角度に選択できるわけです。 極端な言い方をするとデッドゾーンをハード側で調整できます。
つまり、ホール効果スティックでドリフトを抑えつつ、もし発生してもキャリブレーションで修正できるという二段構えです。
具体的なキャリブレーションはこちらの公式動画をご参照ください。
背面ボタンの押し心地よし!プロファイル保存よし!トリガー切り替えよし!

背面部分には合計4つのボタンがあり、任意のボタンをセットできます。背面ボタンは柔らかすぎない押し心地で誤爆の心配は少ないです。かといって指先を背面ボタンに押し当てる持ち方だと誤爆しそうなので、筆者は指の腹を添えて握っていました。 マッピング設定も簡単で、設定ボタンと割り当てたいボタンを数秒間押すだけで完了します。
HexGaming Phantomレビュー期間中、筆者は主に『モンハンワイルズ』、『マーベル・ライバルズ』、『Avowed』、『Path of Exile 2』で使用していましたが、プロファイルを最大6種類登録できるので、それぞれのゲームごとにプロファイルを切り替えていました。

対戦シューター系と没入感が大事なシングルプレイゲームのどちらも一つのコントローラーで両立できるという点でも、プロファイル機能は非常に便利でした。背面のLEDライトで現在のプロファイルが一目でわかるのでユーザーフレンドリーな点も優秀です。

トリガー部分は、アダプティブトリガーと押し込み幅1.5mmのデジタルトリガーの任意切り替えが可能で、プロファイル機能とあわせてゲームごとに簡単に操作感を変えられるのが特に気に入りました。グリップ部分には滑り止め加工がほどこされているおかげで長時間の使用でも快適。
バッテリーは無線プレイだと6時間ほどで切れてしまいました。バッテリー容量が1,560mAhなのでDualSenseとほぼ同様のバッテリーライフと考えてよさそうです。
気になった点
その1:スティックの軸
HexGaming Phantomを使用していたうえで気になった点が2つあります。

1つ目は着脱可能なサムスティック。合計8個ものサムスティックが用意されているので好みに合わせてカスタムできるのですが、どのスティックも軸がプラスチックです。 そのため、長時間使用していると円周部とこすり合って削れていくのではという心配があります。
対策としてはゴムのカバーリングが同梱されているのですが、ゴムが円周部に当たった際の感触が慣れるまで不快でした。 できれば軸は金属製が良かったです。

ただ後でサムスティックは別のコントローラーの物を取り付けられると気がついたので、Xbox Elite Wireless Controller Series 2のスティックを引っこ抜いて、PS5クローンとXbox純正コンの悪魔合体で問題が解決しました。
その2:PC必須
もう一つ気になった点はキャリブレーションにPCが必須という点。HexGaming Phantomを使い始めた頃は付属のサムスティックを色々と試していたのですが、軸の長さやカバーリングの有無でデッドゾーンを変えたかった為、何度もキャリブレーションをしていました。 そのたびに、いちいち専用ガジェットを接続してそのうえでPCに繋げてウェブアプリを立ち上げて~という流れが猥雑だと感じていました。
スマホと連携してアプリで調整できればお手軽さは増してHexGaming Phantomのキャリブレーションの利点がさらに輝きます。 そもそもPCを所有していない方はこのコントローラーの魅力を最大限に発揮できないのは非常にもったいないポイント。
まとめ
総合的に見て、HexGaming Phantomは、より高い精度とカスタマイズ性を求めるPS5/PCゲーマーにとって、間違いなく検討する価値のあるコントローラーです。特に、FPSなどのシューターゲームや複雑なアクションゲームを頻繁にプレイし、トリガーレスポンスやボタン配置にこだわりたいユーザーにとって、Phantomは強力なコントローラーとなるでしょう。 日本では公式サイトとAmazonから購入できます。
公式サイトでの販売価格は37,990円(税込)です。
※UPDATE(2025/3/11 19:15):記事のカテゴリを修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございます。