金子一馬 × 画像生成AI × ローグライク!『神魔狩りのツクヨミ』開発チームインタビュー・前編

金子一馬氏が手掛ける『神魔狩りのツクヨミ』がついにお披露目!世界観、そしてコンセプトが特徴的な本作を、金子氏と開発Pへのインタビューを通して迫ります

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金子一馬 × 画像生成AI × ローグライク!『神魔狩りのツクヨミ』開発チームインタビュー・前編
金子一馬 × 画像生成AI × ローグライク!『神魔狩りのツクヨミ』開発チームインタビュー・前編 全 31 枚 拡大写真
左:金子一馬氏 右:齋藤ケビン雄輔氏

人気RPG『女神転生』シリーズのゲームコンセプト・世界観・ストーリー・キャラクターデザインなどを手がけ、独自の解釈による魅力的な悪魔を描くことでファンから“悪魔絵師”と称えられているゲームクリエイター・金子一馬氏。2023年にコロプラに入社した同氏による完全新作として発表されていた『project MASK』が、ローグライクカードゲーム『神魔狩りのツクヨミ』としてついにそのヴェールを脱ぎました。スマートフォンとPC(Steam)で今春にリリース予定です。

本作でキャラクターデザインやコンセプトプランナーを務める金子氏と、開発プロデューサーを務める齋藤ケビン雄輔氏へのメディア合同インタビューを2回にわたってお届けします。インタビュー前編では、ゲームの概要や企画の経緯、世界観などについてうかがいました。


◆金子一馬氏の最新作はローグライクカードゲーム!

――『神魔狩りのツクヨミ』がどのようなゲームであるか、あらためて教えてください。

ケビン:「金子一馬の 創る世界×AI×ローグライク」という三つのキーワードを軸としたゲームです。ローグライクカードゲームは金子さんにとって初挑戦のジャンルであり、AIはみなさんご存じのように最先端の技術ですので、トガった要素を組み合わせて、いかに新たなゲーム体験をお届けできるかに挑戦しました。

金子:世界観やキャラクター、ストーリーはすべて僕が考えていますが、AIをゲームデザインに織り込むのは初めてのことなので、本作を言い表す言葉がまだ見つけられずにいます(笑)。「僕とプレイヤーのみなさんで作り上げていくゲームです」という感じでしょうか。

――ローグライクのカードゲームはまさに今流行のジャンルのひとつですね。

ケビン:僕は以前からデッキ構築型のローグライクゲームが好きで、さまざまなタイトルをずっと遊んできました。その魅力のひとつは「頭の中で考えた戦略が実現したときの気持ちよさ」にあると思います。

一方で、こうしたジャンルはプレイヤー自身の知識の積み重ねによって上達していくゲームが多く、プレイしたことがない方には取っ付きづらいものかと思います 。そこで、本作は間口をより広くするために山札から場に出るカードは最大3枚にしました。この枚数なら1枚1枚の性能を把握しやすいですし、すべてのカードを攻撃にも防御にも使えるので、ローグライクカードゲームが初めての方でも分かりやすいと思います。

金子:僕はこれまでRPGを作ってきましたので、ファンでいてくれている方はRPGを求めているかもしれませんが、あまり食わず嫌いせず遊んでみてもらえたらと思います。

◆現代モノをベースに神話や伝承を乗せた金子氏お得意のスタイル!

――本作を企画した経緯を教えてください。

金子:「金子一馬ならではの世界観やキャラクターによるゲームの企画を立ててほしい」と言われて「ヒットしたら他のメディアにも展開できたらいいな」という期待も込めて壮大な世界観を考案したのが企画の骨子になります。当初はRPGという想定でしたが、企画が採用されて話が具体性を帯びていく過程で「ローグライクカードゲームにするのはどうだろうか」と提案をいただき、今の形になりました。

ケビン: コロプラは「最新のテクノロジーと、独創的なアイデアで“新しい体験”を届ける」というビジョンを掲げていますので、AIを活用した新しい形のゲームを作るというコンセプトも当初から決まっていました。AIは出力するものにランダム性を持たせられますので、ゲームのジャンルでいえばローグライクカードゲームと相性がよいのではと。

――金子さんは、ローグライクカードゲームというジャンルを提案されてどのように感じましたか。

金子:ローグライクが コアなファンの多い ジャンルであるというのは認識していましたので「なるほど、そうくるか」と。僕はRPGを多く手がけてきましたので自分が作るという意味では未知のジャンルになりますが、おもしろい話だと感じました。企業勤めのゲームクリエイターはなかなか挑戦させてもらえないこともありますので、新たなチャレンジをするチャンスをいただけたなと思っています。

――RPGを想定していた当初の企画から変更・修正した部分はあるのでしょうか。

金子:世界観やお話はどういう形にも織り込める形で考えましたので、そこは変わっていません。タワーマンションの中で繰り広げられるお話というのも、最初から決まっていました。

僕は物語の舞台としては現代モノが得意で、モチーフとしては神話、歴史、都市伝説などの伝承が大好きです。その二つを組み合わせて、神話を現代社会に落とし込んだらどうなるだろうか……という自分の得意なスタイルをそのまま形にしたのがこのゲームです。

――舞台をタワーマンションにした理由を教えてください。

金子:散歩が趣味のひとつなので豊洲あたりをウロウロと歩くことが多いのですが、あの辺は高層ビルが建ちならんでいて圧巻なんですよ。それでいて沿岸なので「橋をいくつか落としたらこの辺は孤島みたいになるな……」などと考えることもあって(笑)。

また、最近は広大な世界を冒険するオープンワールドもおなじみになりましたが、僕は元々小さい会社の出身ということもあって限定された空間のなかでサスペンスや人間ドラマを描く思考回路ができているみたいです。

――世界観を作るにあたって、金子さんがもっともこだわっている部分、もっとも大事にしていることを教えてください。

金子:キャラクターの動機付けを一番大事にしています。たとえば、主人公はなぜ戦うのか。作中でなにか大きな問題が発生しているなら、それを解決したいという思いが動機付けになります。僕は物語にある種のリアリティがないとのめり込めないタイプなので、まずは主人公たちがどのような動機付けで動くのかという行動原理をしっかり持たせるようにしています。

◆主人公たちの所属組織ツクヨミは“月をモチーフにした戦隊モノ”!?

――本作のキャラクターデザインはすべて金子さんが手がけているのでしょうか?

金子:はい。キャラクターはすべて僕が描いています。プレイアブルキャラである4人のツクヨミと、彼らと行動をともにする“金鵄(きんし)”と呼ばれる人たちを最初にデザインして、社内でプレゼンしました。

ツクヨミは「十六夜月」、「満月」、「半月」、「残月」など月の満ち欠けの名称を冠しており、「月夜見命与月弓尊面(つくよみにあたえしつくよみのめん)」というマスクを被ることで札に封じられた人ならざるもの――神魔を使役できるようになります。ノリとしては“月レンジャー”というのが近いかもしれません(笑)。

十六夜月のツクヨミ

――ツクヨミたちのデザインコンセプトを教えてください。

金子:僕は特撮やアニメが好きですので、いろいろな作品の要素が自然と混ざっているだろうと思いますが、服装のコンセプトで一番強く影響を受けているのは『仮面ライダー』かもしれませんね。子供の頃にテレビで見ていて、マスクの下から髪の襟足が出ているのがすごくかっこよくて今も印象に残っています。

話が飛ぶようですが、僕はこれまでに「プレイヤーが選んだ選択肢によって主人公の生き方が決まり、ストーリーが分岐する」ゲームを多く手がけてきました。しかし、ローグライクカードゲームというジャンルにおいては、そうした遊び方は足かせになるリスクがあります。ローグライクならではのテンポのよさが阻害されてしまうからです。

そこで本作は「マスクを被ると特殊な力を発揮できる」という設定を膨らませて、異なる強みを持つ4人のツクヨミから1人を選んで遊ぶシステムにしました。キャラごとに異なるストーリーが用意されており、4人全員のストーリーを見ることで話の全体像が見えるようになっています。

満月のツクヨミ
新月のツクヨミ
半月のツクヨミ

――金子さんならではのストーリーにも期待できそうですね。先ほど話に出たマスク「月夜見命与月弓尊面」についてもう少しお聞きしたいのですが、名称はどのような経緯で設定が固まったのでしょうか。

金子:「古事記」においては、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)から生み出された三柱の神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)、月読命(つくよみのみこと)、須佐之男命(すさのおのみこと)を指して三貴士(みはしらのうずのみこ)と呼びます。同じようなネーミングを狙ってこうなりました(笑)。

十六夜月のツクヨミ
画家K

インタビューの前編はここまで。後日公開する後編では、生成AIやゲームの課金方式についてのお話をお届けします!

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※ゲーム画面はすべて開発中のもの(Steam版)です。
※コロプラの「AIポリシー」については下記よりご確認ください。
https://colopl.co.jp/aipolicy/


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《蚩尤》

汎用性あるザク系ライター(が目標) 蚩尤

1979年生まれのファミコン直撃世代。スマホゲームもインディーズも大型タイトルも遊びますが、自分と組ませてしまって申し訳ないという気持ちやエイミングのドヘタさなどからチーム制のPvPやFPS、バトロワが不得手です。寄る年波…! ゲームの紹介記事に企画記事・ビジネス寄りの記事のほか、アニメなど他業種の記事もやれそうだと判断した案件はなんでも請けています。任天堂『ガールズモード』シリーズの新作待機勢。

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