2025年4月30日、英オックスフォード大学はビデオゲームがプレイヤーの精神的健康に良い影響と悪い影響の両方をもたらす13の明確な項目を特定したと発表しました。
ゲームがプレイヤーの精神的健康にもたらす13項目。メリットもデメリットもあり

今回発表されたゲームがプレイヤーの精神的健康に及ぼす13項目は、以下の通りです。
ストレス解消
ゲームは、プレイヤーの現在のニーズに合致する場合、感情のコントロールに役立ちます。しかし、ゲームだけに頼ると、感情のコントロールが困難になり、長期的な回復力が低下する可能性があります。自律性、帰属意識、そして習熟感
ゲームはプレイヤーの自律性、帰属意識、そして習熟感というニーズを満たす一方で、強制感、挫折感、孤独感を抱かせることもあります。より強い一貫性感覚を持つ人(人生を理解可能で、管理可能で、意味のあるものと捉える人)は、ゲームから恩恵を受ける可能性が高く、害を受ける可能性は低くなります。社会的健全性
友人とのマルチプレイヤーゲームは絆を強めますが、見知らぬ人とオンラインでプレイすると、プレイヤーは有害な環境にさらされ、社会的つながりが抑制され、孤独感につながる可能性があります。情熱 vs. 執着
ゲームに対する健全で調和のとれた情熱は、プレイヤーの健康にプラスの影響を与える可能性が高くなります。一方、人生の他の部分で満たされていないニーズによって駆り立てられた強迫的な執着は、マイナスの影響を与える可能性が高くなります。ノスタルジア
ストーリーや登場人物に感情移入することで、意味、感謝、活力が生まれます。多くの場合、これは若い頃のノスタルジアにつながります。エクササイズゲーム
動きを制御し、ある程度の身体活動を伴うビデオゲームは、気分やエネルギーに短期的なプラスの効果をもたらす可能性があります。アイデンティティの発達
ゲームは、様々なアイデンティティを試す時間と空間を提供します。安全で社交的な空間で自己を探求することで、より強い一貫性が生まれ、葛藤するアイデンティティによる苦痛を軽減することができます。認知機能
アクションメカニクスを備えたテンポの速いゲームは、実行機能、作業記憶、注意制御を向上させる可能性があります。治療ゲーム
認知行動療法などの治療をサポートするゲームは、治療に取り組む意欲を高め、継続しやすくなります。置き換え
過度なゲームは、睡眠、仕事、運動、人間関係といった重要な活動を圧迫する可能性があります。これらの活動に費やす時間が減ると、罪悪感、孤独感、疲労感が増し、生活満足度の低下につながります。経済的損害
ゲーム内購入やガチャなどの機能は、過剰な支出やギャンブルのような行動につながり、経済的ストレスや精神不安定を増大させる可能性があります。ゲーム障害
ゲームが強迫的になり日常生活に支障をきたすようになると、不安が高まり、仕事や学校など生活の他の面での機能が低下する可能性があります。性的表現
性的表現を含むゲームコンテンツに触れると、女性の身体に対する満足度が低下し、特に男性の間で女性蔑視的な態度が強まり、女性の自尊心に悪影響を及ぼす可能性があります。
Nick Ballou博士とThomas Hakman氏が行ったこの研究はゲームとメンタルヘルスの影響が単なる相関関係ではなく、確立されたモデリング戦略を用いて因果関係の高い条件を導き出したということで、学術誌「Technology, Mind and Behaviour」に掲載されたということです。
この研究の筆頭著者であるAndrew Przybylski教授は「ゲームがメンタルヘルスにどのような影響を与えるかについては、単一の答えはありません」としながらも、「私たちの枠組みは、ノイズを排除するのに役立ちます。因果関係に焦点を当てることで、この研究がより良い理論構築を促し、最終的にはプレイヤーのデジタルウェルビーイングを向上させることを願っています」と述べています。
各項目を注意深く1個ずつ見ていくと、身につまされるゲーマー(筆者含む)も多いんじゃないか……と思わされる今回発表された研究。やはりゲームは1日1時間……とは言わないものの、ある程度の節度を持って接するのが良いのではないかと改めて思わされます。