『ドラクエI~III』は壮大なチュートリアルだった!? 40年目に突入した名シリーズが果たした役割と功績

初代『ドラゴンクエスト』が大きな節目を迎えました。記念すべき名作と後の作品たちが、当時どのような役割を果たしたのか。この機会に振り返ってみましょう。

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『ドラクエI~III』は壮大なチュートリアルだった!? 40年目に突入した名シリーズが果たした役割と功績
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■『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』:1987年1月26日発売

スーパーファミコン版『ドラゴンクエストI&II』

『ドラゴンクエスト』が丁寧かつシンプルに、RPGの基本と魅力を伝えました。その発売から数えて約8ヶ月後、続編の『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』がリリースされました。

このリリースの早さも、RPGに初めて触れたユーザーには嬉しいポイントでした。『ドラゴンクエスト』でRPGの面白さを知ったら、次の作品を遊びたくなるのは自然な流れです。わずか8ヶ月後なら、まだ1作目の興奮や思い出も色濃いことでしょう。その気持ちのまま、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』が遊べたのは実に幸せな話です。

そして本作では、シリーズ初のパーティープレイを提供しました。武芸に優れており、装備できる武具も多いローレシアの王子、武器攻撃とじゅもんを両立するサマルトリアの王子、防御面は心もとないものの、強力なじゅもんを使いこなす「ムーンブルクの王女」と、役割がそれぞれ明確です。

スーパーファミコン版『ドラゴンクエストI&II』

味方だけでなく敵も複数登場するため、仲間同士の連携は非常に重要です。仲間たちは得意とする面だけでなく、それぞれ弱みもあるため、どのように補い合うか。1作目にはなかった戦略性が、RPGの奥深さを伝えてくれます。その一方で、パーティ編成は固定されており、1作目にもあった情報量の調整が本作でも感じられます。

また、広がりを見せたのは仲間の存在だけではありません。1作目は徒歩と「ルーラ」だけが移動手段でしたが、本作では新たに「船」が登場します。これにより、繋がりのない大陸や島々にも移動できるようになり、冒険の幅も大きく広がりました。

パーティープレイと冒険の拡大を味わい、RPGには予想を超える可能性があることを、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』を通して多くのファミコンユーザーが知ったことでしょう。

■『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』:1988年2月10日発売

ファミコン版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』

1作目でRPGを知り、2作目でRPGの広がりを知ったファミコンユーザーは、その熱意を『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』に向け、社会現象になるほどの大ヒットに繋がりました。

『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』発売日当日には、各ショップに長大の列が作られ、その盛り上がりはニュースや新聞で取り上げられたほどです。1作目と2作目だけで、すでにRPGの面白さは日本中に広まっており、その人気と関心が一気に爆発した瞬間でした。

これだけの期待を集めた『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は、その想いに応える出来映えで登場し、多くのユーザーを魅了します。シリーズ屈指の名作として語る人が今も絶えないほどです。

ファミコン版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』

特に、本作で初めて自由なパーティー編成が可能となった点は、驚きと賞賛をもって迎えられました。勇者だけは必須ながら、残り3人の構成を任意で選べるようになり、そのバリエーションはユーザーによって様々。編成だけで話が大いに盛り上がるほどでした。

『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』では、3人編成でバトルにおける選択肢が増えました。そして『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』では、編成が自由になったことで目的地に向かう道中の選択肢も増し、RPGの面白さが一層広がったと言えるでしょう。

またゲームに慣れてくると、敢えて仲間を連れず、勇者の一人旅を楽しむ人も出始めます。『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』でも、仲間を蘇生させずに疑似的な一人旅に挑むことは可能でしたが、こうしたプレイをユーザーが自分の意志で選択できる点も、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が示したRPGにおける面白さのひとつでしょう。

ファミコン版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』

しかも本作は、シリーズ初の「転職」も実装。このシステムのおかげで、パーティー構成の選択肢が膨大なものになりました。この時に、キャラクターをどうやって強化するか、その試行錯誤を楽しむ「育成」の面白さに目覚めた人も多いはず。

シンプルに、そして丁寧にRPGの核となる部分を伝えた『ドラゴンクエスト』。RPGの広がりと可能性を示した『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』。そして『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』ではRPGの自由さを提示し、ユーザーに新たな世界を提供したのです。



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《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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