【特集】元キャラクター設定ライターが読み解く!『サガ フロンティア2』の命名とキャラクターの素晴らしさについて

サガフロンティア2のキャラクター命名は素晴らしい世界観を反映していて、物語の魅力を引き立てています。その語源を解説しながら、各キャタクターの素晴らしさを紹介します。

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【特集】元キャラクター設定ライターが読み解く!『サガ フロンティア2』の命名とキャラクターの素晴らしさについて
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◆物語を彩るキャラクターたち

・コーデリア・エメリー

コーデリア(Cordelia)は語源がふたつあると言われています。

一つ目は聖ウルスラとも呼ばれるコルドゥーラ (Cordula) でラテン語のcordis (心臓)を語源とする説で、もう一つはケルト語圏では「海の娘・海の宝石・海の星」を意味するという言葉であるという説です。また、天王星の第6衛星や小惑星にもコーディリアの名前が見られたり、シェイクスピアの戯曲リア王にもその名前が見られます。コーデリア以外にもコーディリア、コーディーリアなどと発音することもあり、短縮形でディリィと呼ばれることが一般的なようですが、劇中ではコーディーと呼ばれています。

姓のエメリー(Emery)は「勤勉な人・熱心な人」を意味すると言われています。

そんなコーデリアですが、プレイヤーに大きなトラウマを与えた女性です。シナリオで単独潜入が必要な流れになり、それにコーデリアを派遣すると……非常にショックな出来事が起きてしまいます

いやいや単独潜入だから頼りになるメンバーを派遣するとなったら、そらコーデリア選ぶやろってなります。泣きながらリセットしてやり直しです。リマスター版ではそんな我々のことを知り尽くしているのか、このイベントを回避できれば発生するシナリオが追加されていました。ユーザーの気持ちが分かりすぎでしょう。

初対面なのに二人とも仲が良い。コーデリアは冗談を言うし、ウィルは愛称のコーディー呼びをしている

コーデリアはヴィジランツ(ディガーを護衛する役目)としてウィルのシナリオに大きく関わってくるのですが、ウィルがタイクーンと呼ばれ始める時期からその姿を消してしまいます。その理由は劇中では語られませんが、もしかしてウィルと……という妄想がはかどります。なにせウィルがディガーになってからずっと10年以上も寄り添っていたコーデリアが、なんの理由もなくウィルの側を離れるとは思えません。

彼女は公式設定が少ないにも関わらず、前述のイベントのせいもあるのか、非常に人気のあるキャラクターです。その名前の通り、存在感を放ちつつ熱心な一面を見せてくれるキャラクターでした。なんと言いますか、「実らなかった初恋の人が、一生忘れられない」みたいな気持ちになるキャラクターです。

・グスタフ

名前の説明をするだけで重大なネタバレになるんですが……。言いましたよ。ここから先を読むかはあなたしだいです。

では、ネタバレしますよ。

グスタフはスウェーデン語で、フランス語化するとギュスターヴになります。

つまり、そういうことです。名前の説明をしただけで重大なネタバレになるキャラクターなんて彼ぐらいです

グスタフは物語後半からチラホラ出始めて、最初は「これ誰?」となってしまいましたが、ちょっと整理してみましょう。

ギュスターヴの親友ケルヴィンはギュスターブの妹マリーと結婚しており、その孫がグスタフ……ということは、ギュスターヴ家の血を引いた正統後継者じゃないですか!ギュスターヴ15世様じゃないですか!

グスタフは代々伝わるファイアブランドとギュスターヴの剣を固定装備として持っており、彼の存在でギュスターヴのすべてが報われた気がします。そしてギュスターヴの剣が最後に例のアレを打ち砕く……これで歴史が一つになり、感動しました

余談ですが、彼は先代と似ていることを隠したいために独特の髪型をしているそうなのですが、なんと砂糖水で固めているとか……。彼を虫のいる所に連れて行ってはいけません(連れて行かれてしまうのですが)。

・プルミエール

プルミエール(Premiere)はフランス語で「最初の・初めての」という意味を持つのですが、英語読みの方が我々には馴染みが深いかもしれません。「プレミア」って言葉は日常生活で使いませんか? プルミエールの英語読みがプレミアです。Adobe Premiereさんにはいつもお世話になっております。

オート侯カンタールは23人の子どもを設けた奸雄として描かれていますが、その末っ子としてプルミエールは産まれました。

カンタール自身はプルミエールの存在を認識していなかったり、色々あって親子ほど年の離れた姉に育てられることになったり、色々あって末っ子にも関わらずプルミエールと命名されたようです。そしてその後も、色々あって家出しちゃいました。……色々ありすぎだし、それに家出多くない?(ジニー、グスタフ、プルミエールが家出組)。

幼少期にグスタフに助けてもらったことがリマスター版で描かれるのですが、仲の悪い家系同士のことなのでプルミエール本人は忘れかけていたのですが、グスタフと再会したことで思い出すというシナリオが心を掴まれます。

これ完全にフラグじゃないですか?

・ミーティア

ミーティア(meteor)はギリシャ語のmeteōrosに由来する言葉で、「流星・隕石」を意味します。英語読みで「メテオ」と言われたら理解できる方も多いのではないでしょうか。そうです。ミーティアは石斧をぶん回して隕石のように全てを破壊するのです。あと、すごくいい子。

ギュスターヴとウィルの両輪で描かれるこのゲームにおいて、「孤児院で育った村一番の怪力娘」というシンプルな設定の彼女。単なる一般人がラストバトルのスタメンになるわけですが、非常に強いです。あと、本当にすごくいい子。

シルマール大先生とその弟子ヴァンアーブルに出会ってしまったばかりに、最終的にはナイツ家とエッグのラストバトルに巻き込まれてしまうことになってしまうのでした。ヒドイです。とてもヒドイです

そりゃ言いたくもなるの分かる

まあ巻き込まれた彼女にとっては大変なことですが、持ち前の真向きさと明るさでなんとかなっちゃっている所が好感度上がります。繰り返しますが、すごくいい子です。

ちなみに、劇中では明らかにされていませんが、強力な石斧を残した実父って誰なんでしょう? ミーティアもコーデリアと同じ「赤い頭巾」というファッションにヒントがあるかもしれませんが、ないかもしれません。

・ロベルト・ビラス

ロベルト(Robert)は古代ドイツ語由来の男性名で、「栄光の輝き・名声に満ちた」という意味を持ちます。英語だと「ロバート」、フランス語だと「ロベール」と読みます。政治家やサッカー選手に多い名前で、聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。

ビラスという姓は様々な語源があると言われています。古代ローマ時代に上級階級の住宅を意味するVillaの複数形だったり、ブラジルに多い姓だったり、villusだと絨毛を意味したりと、色々な意味を持つようです。

彼もまたミーティアと同じく巻き込まれた一般人なのですが、グスタフの親友ポジションなので巻き込まれるべくして巻き込まれた感があります。そういえば、誘い受けっぽい言動と言われたら、納得できそうなことも時々しています。

とはいえ、エッグに目をつけられたにも関わらずその非凡な才能で見抜いて勧誘を断るなど、一般人とは言えないほどの能力を見せつけます。ラストパーティでは最大値のLPを誇り、簡単には倒れません。なにこの凄い一般人

ちなみに彼の名前はSF作家の大御所「ロバート・A・ハインライン」を拝借したとプロデューサーの河津秋敏氏が発言されています。そしてその妻がヴァージニアというそうで……。

劇中でジニーはロベルトのことを兄のように慕っており、ロベルトも妹を早くに亡くしているという設定もあるので、もう公式カップルって言われたら私は納得しちゃいます。公式でジニーはタイクーンの称号を得た後のエピソードもあるのですが、そこで「子育てを母親に押し付けて」という記述がありまして、ジニーのパートナーはもしかしてロベルト……? って妄想がはかどります! ありがとうございます!


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《今津 風色》

今津 風色

UI/UXデザイナー、ライター、イラストレーターとしてゲーム制作に関わっていた元業界人。 ゲームは粛々と遊べるゲームが好きで、ローグライク(ライト)やRPGなどを好みます。 趣味は資格取得で、役に立つものから趣味で取ったものまで合計18種類の資格を保有しています(2025年4月現在)。 お猫様が好きで好きで(中略)仕方がないです。お猫様のために生きたい。

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