「本作は単なる性癖のゲームではない」巨大女子大生ADV『SAEKO: Giantess Dating Sim』【開発者インタビュー】

気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、SAFE HAVN STUDIO開発、PC/Linux向けに5月30日にリリースされた日本産の巨大女子大生アドベンチャー『SAEKO: Giantess Dating Sim』開発者へのミニインタビューをお届けします。

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「本作は単なる性癖のゲームではない」巨大女子大生ADV『SAEKO: Giantess Dating Sim』【開発者インタビュー】
「本作は単なる性癖のゲームではない」巨大女子大生ADV『SAEKO: Giantess Dating Sim』【開発者インタビュー】 全 5 枚 拡大写真

気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、SAFE HAVN STUDIO開発、PC/Linux向けに5月30日にリリースされた日本産の巨大女子大生アドベンチャー『SAEKO: Giantess Dating Sim』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、2000年代の日本を舞台に、不思議な能力を持つ少女・冴子と、親指ほどに縮んでしまった小人たちの生活を描くアドベンチャーゲーム。プレイヤーは冴子に引き出しの管理を任された「リン」となり、日中は小人たちの管理を、夜は冴子の話相手を務めることになります。Game*Sparkではレビュー記事も掲載中

『SAEKO: Giantess Dating Sim』は、1,790円(6月13日までは10%オフの1,611円)で配信中


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?

kyp はじめまして。SAFE HAVN STUDIOのkypです。本作では、シナリオ・プログラム・音楽と、一部のイラストを担当しています。『Europa Universalis IV』や『American Truck Simulator』など、普段はシミュレーションゲームをプレイすることが多いのですが、一番好きなゲームとしては、インディーノベルゲームにのめり込む原因となった『VA11 HALL-A: Cyberpunk Bartender Action』を挙げたいと思います。

――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?

kyp 絵や音楽など、本作はあらゆる方向で個性的な作品を目指して作りました。ただ、最大の特徴は「自分が人形サイズにまで小さくされて相対的に巨大な異性に飼われる」という特異なシナリオだと思います。もっとも、この設定は自分のオリジナルではなく、十数年前にネットに投稿されたとある奇譚小説から、作者の許可を得て使用させていただきました。

――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?

kyp 本作はかなり色々な作品の影響を受けています。一番大きな媒体は小説で、私は昔からエログロの登場する小説を読むのが好きだったので、その尖った読書体験をゲームに持ち込むというのが1つの目標になりました。それから、『VA11 HALL-A: Cyberpunk Bartender Action』『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』などの海外ビジュアルノベルも、ゲームの方向性を決める際には大きな手本になりました。BGMは、主に「Chord Marauders」というレーベルの音楽性を参考にしています。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。

kyp 本作には仲間の小人と話す「昼」パートと、巨大な冴子と話す「夜」パートがあります。2023年、最初にゲームを発表した際には、この「夜」パートの背景は全然違いました(現在のタイトル画面に似た画角です)。当時はカメラが少し引き気味で、話しながら「冴子」の表情も常に見えていたんです。

でも、開発を続けるごとに「どこか足りない」という違和感が芽生え始め、ある日ピクセルアート担当のkohに頼んで、新しい構図を何個か考えてもらったんです。その中で一番迫力のあったラフをもらい、さらに顔すら映らなくなるくらい、Clip Studio上で身体の一部分だけを3~4倍に拡大して書き出しました。そのコラージュのような画像をゲームに組み込んだら、以前とは段違いなほどの迫力が生まれ、これが正解だとはっきり分かったんです。そうして現在の「夜」パートの画角が出来上がりました。

――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。

kyp 本作はかなり独特なゲームなのですが、その理由の1つは「大学生ごろの自分だけを理想のプレイヤーとして考えていた」という点にあります。9割の人にとっては微妙な表現だけど、大学生ごろの自分は大喜びするだろうから、これで行こう、みたいな。

なので、ユーザーからの反応は概ね「刺さる人には刺さる」みたいな感じです。特に冴子のキャラクターやエンディングの展開は、性癖というのも少し違う、一部の人間に向けたメッセージが込められています。そのメッセージが刺さったのか、SNS上で数日本作のことしか呟かなくなってしまったような人を見かけると、とても嬉しいですね。

――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。

kyp 本作はノベルゲームなので、一度体験していただいた本編を大きく変更することは今後ないと思います。ただ、本編以外で世界観を補うコンテンツがあればいいなと思っているので、色々追加でできることを模索中です。

――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?

kyp はい!収益化の有無にかかわらず、配信や二次創作は全て大歓迎です。ガイドラインもあるので、よろしければご確認ください。

――最後に読者にメッセージをお願いします。

kyp このたびは、貴重なインタビューの機会をいただきありがとうございます。まずは無事にゲームをリリースすることができ、ほっとしているところです。本作は間違いなく人を選ぶゲームではあると思うのですが、もし何らかの素質があれば、深く突き刺さって忘れられないゲーム体験を提供できるはずです。ストアページの説明やスクリーンショットを見て、もし少しでも興味が湧いたら、ためらわずに本作の世界に飛び込んできてみてほしいです。

あと、リリース後の良い機会なので声を大にして言いますが、本作は単なる性癖のゲームではないです!最後までプレイしていただいた方には分かると思いますが、「欲望ってなんだろう」「人を愛するってなんだろう」みたいなテーマについて、自分なりに考えてきた結果を詰めたつもりです。「巨大な女子大生が……」みたいなテーマそのものには興味が持てない人でも、プレイしていただけたらきっと何かを持ち帰れるのではないかと思います。ぜひプレイしてみてください!

――ありがとうございました。

◆「注目インディーミニ問答」について

本連載は、リリース直後インディーデベロッパーメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。

《Chandler》

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