
6月5日、ニンテンドースイッチ2本体と同時にスクウェア・エニックスより『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー(『BDFF』) HDリマスター』がリリースされました。2012年にニンテンドー3DSでリリースされた本作が、どのような姿で令和によみがえったのか?本稿では、序盤を遊んでのインプレッションをお届けします。
メインストーリーはシリアスながら一行のノリは案外軽い
『BDFF』は、土・水・火・風4つのクリスタルが調和をもたらす世界を舞台に、4人の“光の戦士”の冒険を描く物語です。筆者は2011年頃に本作(の3DS版)を初めて知ったとき「『ファイナルファンタジーV』のリブート作のようなものかな?」という第一印象を抱きました。
「清楚で高貴な身分のアニエス」「記憶喪失の青年・リングアベル」「男勝りな性格のイデア」という仲間たちの設定や、『FFV』でおなじみのジョブシステム、アビリティシステムが本作でも採用されていると知ってそう感じたのですが、実際にプレイして、その印象がよい意味で大きく裏切られたのを覚えています。

昔話はほどほどに、HDリマスター版のインプレッションに移りましょう。主人公のティズはノルエンデ村で暮らす羊飼いの少年でしたが、ある日突然出現した謎の大穴に村全体が飲み込まれ、一瞬にして弟と故郷を失います。
そんな矢先に彼が出会ったのが、風のクリスタルに仕える巫女のアニエスです。彼女が大穴を消す術を模索していると知り、ティズはアニエスを“何も残されていない自分が生きる希望”として支えようと決心します。

このようにメインシナリオはシリアスな雰囲気ですが、残る旅の仲間となるリングアベルとイデアが序盤で加わると、パーティーの雰囲気が一気に明るくもなるのが本作のユニークなところ。4人のさまざまなかけあいを楽しめる「パーティーチャット」では、コミカルなやりとりも目立ちます。パーティーチャットは街中、フィールド、ダンジョンとさまざまな場所で発生し、シリアスなストーリーの一服の清涼剤のようにプレイヤーを楽しませてくれます。



戦略と戦術それぞれに楽しみがあるバトル
RPGといえば、バトルに楽しみを見出す人も多いでしょう。本作は「戦略(強敵との戦いにどのようなパーティーで挑むか)」と「戦術(戦闘中にどういうコマンドを選んで戦うか)」それぞれに核となる楽しみが用意されており、「戦略」の部分を担うのがジョブシステムです。

回復魔法を得意とする白魔道士、武器にさまざまな属性を付与して戦う魔法剣士、さまざまな歌で味方全体を強化するスーパースターなど、メインシナリオ/サブシナリオの進行に応じて新たなジョブを獲得することで、パーティー編成の幅が大きく広がっていきます。

そして「戦術」を担うのが、タイトルにもなっている「ブレイブ」と「デフォルト」です。ブレイブは毎ターン1ずつ自動回復する行動回数「BP」をどれだけ使用するか決めるコマンドで、BPを4消費すれば1ターンで4回連続行動が可能に。ただし、そのターンで敵を倒せなければ、そのキャラはBPが回復するまでまったく行動できなくなります。

ブレイブと対になるデフォルトは、防御しつつ自分のBPを1増加させるコマンド。白魔道士がデフォルトしてBPをためておけばいざという時に回復魔法を連発でき、攻撃職がデフォルトしておけば、数ターンで効果が切れるバフやデバフを重ねた状態で目を見張るような大ダメージを与えることも可能になります。
また、ブレイブはザコモンスター戦でボス戦とは異なる活用の仕方が用意されており、全員で一気呵成に攻撃すれば敵を1ターンでスピーディーにしとめられるほか、そうすることで経験値、ピーク(ピークは本作の通貨の単位)、アビリティを覚えるためのジョブポイントの取得量にボーナスがかかるようになっています。

ザコ戦では気軽に使うことができて、ボス戦ではここぞというときの重要な一手として機能するブレイブは、バトルにさまざまな楽しみをもたらしてくれます。
また、本作は原作『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』のアッパーバージョンである『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』準拠に調整されている箇所も多く、バトルのエンカウント率を50%刻みで設定できるのもそのひとつです(50%~200%まで/ゲーム中で条件を満たすと「0%」と「400%」も解放)。
「今日はガッツリとバトルして“稼ぎ”をしよう」「今日はバトルは少なめにして、ストーリーを進めよう」というような、さまざまなプレイスタイルに対応しているのもうれしいところです。ブレイブとデフォルトともども、こういったメリハリの効いた仕様が本作を遊びやすいものにしています。
すれちがい通信要素「ノルエンデ村復興」も形を変えて換装
HDリマスター版をプレイしていて個人的に嬉しかったのは、3DS版にあった「ノルエンデ村復興」が、形を変えて残っていたことです。これはDS/3DSシリーズの本体に備わった機能「すれちがい通信」を活用したコンテンツで、「すれちがった他のプレイヤーたちを新たなノルエンデ村の住民として招待し、村の復興を手伝ってもらう」というリアルタイム連動ミニゲームとなっています。

本作では「ある程度の時間が経過するたびに、各地の街にすれちがい専用のキャラが出現する」ようになっており、ニンテンドースイッチ2に即した機能に換装されました。筆者が3DS版を遊んでいた頃は、ゲーム本編をプレイする余裕がない時でもすれちがい通信だけチェックして村の復興をちまちまと進めていたものですが、HDリマスター版もほとんど同じプレイフィールで復興を楽しめています。

ノルエンデ村復興は報酬も用意されており、各ショップのレベルが上がるとストーリーで訪れる店の品物よりも強力な武器や防具、アクセサリーなどを購入できるようになります。それらをいつ活用する(いつ購入する)かは各人のお好みで、というところでしょうか。


筆者はスイッチ2を27インチのWQHDモニターに接続して遊んでいますが、本作で街を訪れたときの引きのカット(カメラワーク)による雰囲気のよさはこのくらい大画面でも損なわれることがなく、全体的に丁寧なリマスター作品であると感じます。

ニンテンドースイッチ2専用ソフト『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター』は、パッケージ版/ダウンロード版ともに税込4950円で発売中です。Game*Sparkでは、リマスター版ならではの新要素も含めたクリアレビューも後日掲載予定です。

