「にじさんじ」のANYCOLOR、営業利益2.6倍のロケットスタート―好調の裏で問われる「230億円の現金」の使い道【ゲーム企業の決算を読む】

「にじさんじ」のANYCOLORの業績拡大に弾みがつきました。

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「にじさんじ」のANYCOLOR、営業利益2.6倍のロケットスタート―好調の裏で問われる「230億円の現金」の使い道【ゲーム企業の決算を読む】
「にじさんじ」のANYCOLOR、営業利益2.6倍のロケットスタート―好調の裏で問われる「230億円の現金」の使い道【ゲーム企業の決算を読む】 全 1 枚 拡大写真

「にじさんじ」のANYCOLORの業績拡大に弾みがつきました。

2026年4月期第1四半期(2025年5月1日~2025年7月31日)の売上高は予想を上回り、前年同期間の2倍。営業利益はおよそ2.6倍となりました。早くも通期業績の上方修正を発表し、売上高を2%、営業利益を8%程度上乗せしました。

主力のコマースが好調なことに加え、「にじさんじ WORLD TOUR 2025」などイベントも好調。前期の業績停滞要因だったグッズの供給問題を乗り越え、製造プロセスも一層強化されています。足元の課題が解消されており、ネガティブ要因を払拭しています。

大型ツアーの売上が予想を大きく上回る

第1四半期の売上高は前年同期間比112.1%増の157億6,800万円、営業利益は同157.6%増の70億300万円でした。ANYCOLORは期初に第1四半期の売上高を上限で146億円、営業利益を57億5,000万円と予想していました。予想も大きく上回って第1四半期を通過しています。

売上は2025年4月期2Q(2024年8月1日~2024年10月31日)からの伸びが顕著。ANYCOLORはグッズの発送遅延に見舞われ、2025年4月期1Q(2024年5月1日~2024年7月31日)の売上が伸び悩みました。2Q以降も遅れが生じて繰り延べが発生したものの、製造プロセスから発送までの管理体制を徹底してこれを克服します。

決算説明資料より筆者作成

2025年4月期2Q以降は、繰り延べによる売上増であるようにも見えましたが、2026年4月期第1四半期の売上が想定を上回っていることからも、事業活動そのものが好調である様子が伺えます。

前期の遅延を受けているとはいえ、コマースの売上は2.2倍の103億9,400万円に急拡大しています。予想では上限でも100億円でした。グッズ販売の力強さが衰える気配がありません。

背景にはイベントの好調があるでしょう。「にじさんじ」7周年を記念した史上最大のライブイベント「にじさんじ WORLD TOUR 2025」を今年5月から仙台で開始。これ以降、おおむね1ヶ月ごとに東京や横浜、神戸、福岡などの各都市で実施します。

イベントの売上高は21億1,700万円。前期はイベントの中止や延期などが重なって2,100万円ほどでした。大型イベント効果で100倍に拡大しています。

第1四半期の決算の一番のポイントは、営業利益率は44.4%と高いことです。通常、大型イベントは多額の経費がかかるために利益を押し下げる要因になっていました。ANYCOLORはイベントが見通しを大きく上振れたと説明していますが、コストを跳ね返すほど力強い売上があったのではないでしょうか。

海外攻略という最後の砦を攻略することができるか?


《不破聡》

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