『FFT イヴァリース クロニクルズ』名作SRPGの“面白さ”は令和でも色褪せず!“変わらぬ魅力”とそれを支える“システムの変化”の相乗効果【プレイレポ】

9月30日にリリースされる『ファイナルファンタジータクティクス - イヴァリース クロニクルズ』。かつての名作SRPGは、かつて魅力を今の時代に蘇らせることができるのか? 先行プレイを通して味わった体験と実感をお届けします。

ゲーム プレイレポート
『FFT イヴァリース クロニクルズ』名作SRPGの“面白さ”は令和でも色褪せず!“変わらぬ魅力”とそれを支える“システムの変化”の相乗効果【プレイレポ】
『FFT イヴァリース クロニクルズ』名作SRPGの“面白さ”は令和でも色褪せず!“変わらぬ魅力”とそれを支える“システムの変化”の相乗効果【プレイレポ】 全 20 枚 拡大写真

■「つまみ食い」で繰り返す小さな達成感が、プレイ意欲を大いに高める

ジョブチェンジを一般的なゲームに当てはめれば、いわゆる「転職」に近い要素です。そして多くのゲームで、転職にはかなりの手間がかかりがち。しかし『FFT イヴァリース クロニクルズ』の場合、序盤のチャプター1を普通に遊んでいるだけでも、いくつものジョブにチェンジできるペースでゲームが進行します。

もちろん、各ジョブを極めよう(=全アビリティの取得)と思ったら相応の時間がかかります。しかし、本作のゲームを順当に進めるという意味では、ジョブを極める行為は過剰な育成で、時間的にもかなりの遠回りです。

オリジナル版も同様ですが、『FFT イヴァリース クロニクルズ』はジョブを極める手もあるものの、それぞれの美味しいアビリティだけつまみ食いし、次々とジョブを乗り換えていいゲームシステムになっています。

取得したアビリティは、装備枠の制限こそありますが、別のジョブに乗り換えても使用できます。攻撃魔法を得意とする「黒魔道士」と回復のエキスパート「白魔道士」を兼ねるという至極便利なキャラクターも、つまみ食いをすれば序盤時点で達成可能です。

つまみ食いなので使える魔法の数は限られますが、序盤は最大MPも低いため、上級の魔法を覚えても消費MPが足りないか、1発撃っておしまいになります。それなら、基本的な魔法しか持たずとも、攻撃・HP回復・蘇生の魔法をひとりで行えるキャラがいた方が、戦闘はグッと楽になることでしょう。

「つまみ食い=中途半端」というイメージを持たれがちですが、『FFT イヴァリース クロニクルズ』では立派な戦略のひとつ。また、「育成に時間がかかる」というのはある程度の完成形までを含めた話で、直近のジョブチェンジや狙ったアビリティの取得に限れば、それほど大きな手間はありません。

育成におけるひとつひとつの目標は達成しやすく、そのたびに達成感があり、戦闘における恩恵もすぐ実感できます。そうなると、「今度はあれが欲しい」と次の欲が生まれ、さらに達成し、恩恵を受ける。この小さな満足感のサイクルが早く回るため、「もどかしさ」を感じてもそれはネガティブにはならず、むしろプレイ意欲へと繋がってくれます。

また、このサイクルで得たジョブやアビリティが増えるほど敗北は遠ざかり、勝利の喜びが占める割合が増えていきます。あの時感じた「苛立ち」も、勝利の快感をより味わうための良質なスパイスに一変しました。

タイパは時間の絶対値も重要なポイントですが、大事なのは時間が過ぎた後に「充実していた」と実感できるかどうか。1時間も使ってしまったと思うか、気づけば1時間があっという間だったと感じるか。この点、『FFT イヴァリース クロニクルズ』のプレイ体験は圧倒的に後者で、それを促す仕組みがゲームサイクルとして促されていたように実感しました。

長々と説明を交えましたが、「令和のゲーム環境に慣れた身でも、『FFT イヴァリース クロニクルズ』のプレイは楽しかった」というシンプルなまとめを、その答えとさせてください。

なお、エンハンスドモードではバランス調整が行われており、ジョブポイントの入手量や一部アビリティの使い勝手が変わっているとのこと。この調整による変化も、良質なサイクルを生み出す一助となったのかもしれません。



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《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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