「ディースリー・パブリッシャー」(以下、D3P)がこれまでどんなゲームを展開してきたのか。真っ先に思い浮かぶ代表作は、人によってかなり異なることでしょう。
初代PSやPS2時代を体験した人なら、格安路線で定番系からユニークなタイトルまで多彩に広がった『SIMPLEシリーズ』が印象深いでしょうし、その『SIMPLE』シリーズから飛び出し、単独のシリーズとして確立した『お姉チャンバラ』や『地球防衛軍』なども代表的な作品です。
さらに、胸いっぱいのローグライクRPG『オメガラビリンス』、TSPと美少女の組み合わせが刺激的な『バレットガールズ』、大人の社交場を舞台とした恋愛ADV『ドリームクラブ』などを挙げる人もいるはず。また、『Vitamin』シリーズをはじめとする乙女ゲームもあり、ジャンルのみならず方向性も実に多彩です。
マルチな活躍ぶりは今も変わらないものの、前述したシリーズの複数作品に共通している「美少女アクション」が、近年かなり少なくなっています。D3Pの美少女アクションを求めている人にとっては、ここ数年は物足りない時間が続いていると言っていいでしょう。

しかし、この状況を打破するタイトルが、2025年10月23日にいよいよ登場します。その名は、『ゼンシンマシンガール』。タイトルの時点でかなり説明済みですが、全身を武装・機械化した「マシンガール」が、敵地に乗り込んで暴れまくる爽快系アクションゲームです。
D3Pの美少女アクションを幅広く遊んできた筆者にとっても、『ゼンシンマシンガール』の登場は嬉しいばかり。ただし、完成度も当然気になります。ファンだからこそ、しっかり見極めたい。そんな気持ちで、「東京ゲームショウ2025」に出展されていた本作の試遊プレイに挑みました。
■スイッチ2でも『ゼンシンマシンガール』の試遊プレイは快適

本作は、ニンテンドースイッチ2/PS5/PC(Steam、Epic Games Store)向けのアクションゲームですが、試遊ではスイッチ2版とPS5が用意されています。特にアクション系はゲーム機のスペック次第でプレイ感が変わることが多いため、今回はスイッチ2版をチョイスしました。
取材とはいえ他に試遊している人もいるため、両方のバージョンをプレイして比較することはできないものの、隣(PS5版)の画面をチラ見しつつ遊んでみたところ、少なくともパッと見て分かるほどの違いは感じません。スイッチ2版でもアクションは機敏ですし、描画も大きな問題は感じません。

正確な比較ではないため、検証すれば違いも明確になるのでしょうが、少なくとも試遊プレイの範囲で、ゲーム機の性能面で著しい懸念を感じる点はなかったように思います。
PS5版ならプレイ環境が安定しているでしょうし、スイッチ2版は場所を選ばずに遊べる携帯モードの存在が嬉しいところ。PS5版とスイッチ2版のどちらを選んでも、『ゼンシンマシンガール』を楽しむには十分でしょう。
■可愛い美少女+気持ちよいアクション性! オレたち(の一部)の「D3P」が帰ってきた

本作における戦いの舞台は、悪徳企業「メターナルジョブズ」の超高層ビルです。このビルは入るたびに構造が変わる、いわばローグライクなダンジョンになっており、状況に応じて立ち回りを柔軟に変化させるのも醍醐味のひとつです。
操作するキャラは「荒吐リョウコ」と「南麻布アケミ」のどちらかを選択します。選ばなかった方は、敵から攻撃を受けて一旦リタイヤするという物語上の演出も。


ちなみにふたりの見た目は、金髪系のギャルJKと黒髪ロングの清楚系JK。3Dモデルも可愛らしく仕上がっており、D3Pらしいデザインに思わずニッコリです。
もちろん、良いのは見た目だけではありません。肝となるアクションでは、時にパワフルな、時にスタイリッシュなモーションを繰り広げ、操作していて楽しい“動きの気持ちよさ”をしっかりと感じさせてくれます。

今回のプレイではアケミを選びましたが、彼女自身の動きもさることながら、攻撃が敵にヒットする感覚や倒すと爆散するビジュアルなど、プレイヤーの気持ちを盛り上げてくれる演出が随所に込められているのも大きなポイントでしょう。
攻撃は、近接と銃撃の2種類を使い分けるのが基本です。しかも、近接ならチェーンソーにブレード、アックス、銃撃もガトリングやライフル、ショットガンと、それぞれ使い勝手や強みが異なる複数のカテゴリーが用意されています。
ちなみに前述の武器カテゴリーは、今回の試遊で直接体験した範囲のもの。これ以外の武器カテゴリーも用意されていると思われます。
初期装備している武器は最低限の能力なので、超高層ビルの攻略中に武器を持ち替えていく要素もあります。ただし、武器は持ち替える形になるため、プレイヤーの取捨選択が攻略を大きく左右することでしょう。
■ストレス溜まりがちなあなたに贈る「オフィスぶっ壊しアクション」!

今回の試遊では、攻撃アクションの気持ちよさに最も手ごたえを感じましたが、ダッシュやスライディング、ジャンプといった移動アクションも一通り揃っています。さらに、攻撃は近接と銃撃がメインですが、ドローンによる攻撃や、ゲージを消費して発動する必殺技的な要素もあります。
超高層ビルは全100階建てで、その内部は遊ぶたびに変化します。試遊だけでは1/10にも満たずにプレイ終了となりましたが、恒常的な能力の強化要素もあるため、製品版では繰り返して遊ぶことでより高見へと到達できることでしょう。時間の限られた試遊プレイでしたが、ともかく美少女アクションが心地よく、許されるものならずっと遊んでいたいと思ったほどです。

最序盤を超えた後の難易度などはまだ分かりませんが、試遊で体感した心地よさがずっと続くのであれば、『ゼンシンマシンガール』はD3Pの美少女アクションとして新たな代表作になるかもしれません。それくらいの可能性を、感じることができました。
また、美少女好きだけでなく、爽快なアクションを求める人にも向いていることでしょう。戦いの舞台が悪徳企業のビルなので、机に椅子、書類にPCなどがオフィスを所狭しと置かれていますが、そうしたオブジェクトも破壊可能です。


リアル世界では、どれだけストレスが溜まっても、オフィスをぶち壊すわけにはいきません。しかし、『ゼンシンマシンガール』の中なら、咎める人は誰もおらず、思う存分破壊の限りを尽くせます。
そして、敵と一緒にオフィスをめちゃくちゃにしたい社会人にも、『ゼンシンマシンガール』をこっそりお勧めしておきます。