
人気配信者のゲーム配信を見に行ったら、自分には受け入れられないタイプのゲームだった……そんな投稿がSNSを騒がせています。
ゲーム上の注意喚起が配信視聴者に届くとは限らない?「実況・配信」時代ならではの問題

この議論は、とある人気配信者が『サイレントヒルf』の実況配信を行ったことに端を発しています。
しかし配信のいち視聴者が何の事前情報もなしにその実況配信で写された、ゲームの内容にショックを受け、体調を崩したのだといいます。該当の投稿はその是非を含めて多くの議論となりました。
18歳未満が購入できないCERO:Z(18才以上のみ対象)のレーティングを持つ同作は、ショッキングな内容などを含み、
このゲームには、性差別や児童虐待、いじめ、薬物による幻覚、拷問、強い暴力表現が含まれています。本作は1960年代を舞台としているため、当時の世相や慣習に基づいた表現となっており、制作会社や個人の価値観を反映したものではありません。
といった形で公式ホームページやゲームの冒頭でも注意喚起されています。
本作の動画配信ガイドラインには、
本ゲームには、性差別や児童虐待、いじめ、薬物による幻覚、拷問、強い暴力表現が含まれます。対象年齢未満の方や配慮が必要な方に向けて、プレー動画等の冒頭における注意喚起画面の表示や、動画投稿サイトの警告表示設定等を推奨いたします。
という一文がありますが、ゲーム内のものだけでなく、そういった警告表記も該当の配信動画には記載されていませんでした。
もちろん、『サイレントヒル』シリーズは恐怖描写があるシリーズであることを知らずに実況動画を見に行ってショックを受けたというのは自業自得である……という声もあるでしょう。しかしながら、上記の配信ガイドラインに記されている注意喚起の掲載を無視して実況動画を配信した側の責任を問う声も生じています。
一方で、同作では古風な男女感などが演出・テーマの一環として存在しており、それに対する過激なポジショントークが大元の投稿の真意であったのでないか、とする声もあります。ただし、このケースであっても、特定の表現に大きな嫌悪感を抱く人間が、そうと知らず受動的にそういった表現を目の当たりにしてしまい、誰も幸せにならない議論を引き起こしてしまう危険性や、そういった可能性に対しどのような取り組みが行えるかなど課題は残ります。
いずれにしても、配信において視聴者にはゲームの注意喚起が伝わらないケースがあること、配信視聴にはレーティングがないこと、また「ゲームの配信」ではなく「ゲームをする配信者の姿」こそを強く受容する視聴者が多くなった現代を考えれば、今後このような議論はSNSにおける「風物詩」となっていくのかもしれません。