◆業界が盛り上がるほど「好きなものをやり続ける情熱」を
ハタノ氏:ありがとうございます。では最後に、今後の展望についてお聞かせいただければと思います。
ゲームIPの可能性はさらに広がっていくと思いますが、川勝さんはIPについてどんな未来を描いていますか?
川勝氏:IPとは、いろんな方たちと一緒にコラボレーションしたりとか、ファンの皆さんと一緒に育てたりするものだなと思っています。そして、その先頭を切って「これはどうですか」と提案するのが原作者だと思います。
SNSやネットがこれだけ流行ってくると世界でリーチする可能性も高いですし、我々の想像を超えるようなIPの活用の仕方もたくさんご提案いただくことがあるので、もっともっと広がっていくと思いますよ。あとはやっぱり、IPは大事にされた方が良いですね。「属人性に紐づいた世界観は模倣できない」ということを皆様にもぜひ大事にしていただきたいです。
ハタノ氏:ありがとうございます。水谷さんはこれからのIP展開について、ゲーム業界全体の課題と考えることや、期待しているテクノロジーなどはありますか?
水谷氏:そうですね。アニメ化はグローバルにリーチできるので、『グノーシア』がさらに世界的に盛り上がれば良いなと思っています。世界的ブームを起こせる可能性がゲームに加えてアニメ化にはあるので、大変期待していますね。
僕は、テクノロジーが世の中を引っ張っていくことってあまりなかったかなと感じています。最後に変なことを言いますが、「世界観とキャラクターが大事」と言いつつ、もしかしたら数年後にキャラクターが立って、世界観が素晴らしいゲームが山ほど出てきてしまうと、プレイヤーでもある僕は、ちょっとつまらなく感じてくるかもしれない(笑)。
だから『テトリス』みたいな世界観は無いけれど、システムがとんでもなく素晴らしいゲームに心惹かれることもあるので、やっぱりインディー界隈ではそういう「IP展開とか知らねぇよ」みたいな画期的なゲームを見たいですね。
また、僕は実況やサブスクサービスのことも考えると、今度はどんどん「ゲームを買い切りで購入するユーザーは減っていくのでは」と思っています。単品でゲーム買うことのハードルが高くなっている中で、それでも買い切りゲームの素晴らしさを守っていきたいですね。
川勝氏:僕もひっくり返すようで申し訳ないのですが、基本的にゲーム自体が人気だったり、コンテンツにファンがついたりすれば、その方々がどんな展開でもコンテンツを見つけてくれるんですよね。そういう優しいコミュニケーションを、皆さんのファンの方と一緒に作れたら最高だと思います。

ハタノ氏:締めくくりに、若いクリエイターに向けて、一言メッセージをお願いします。
川勝氏:「もの作りは楽しいな」と思うこと、好きなものをやり続けることは大事です。よくIPがヒットする、しないとビジネスでは言われますが、ヒットするかどうかは基本運の要素が大きい……よね、水谷さん。
水谷氏:大きいです!
川勝氏:ですよね。なら、どれだけいろんなものを出し続けていくかが大事。制作物を出し続けるためには好きで作り続けないと当たりくじが引けないわけです。好きでもの作りをずっとされている方が最も強いなという風に思っているので、クリエイターの皆様はぜひ楽しんでコンテンツを作っていただきたいです。
水谷氏:今は、インディーゲーム業界が過去最高に盛り上がっています。我々が『グノーシア』の前に『メゾンド魔王』というゲームを販売していたのが15年ぐらい前なのですが、それと比べると現在ってすごく恵まれた状態だし、その分競争は激しくなっているとも思います。
売り場が大きくなったことで、大手と同じ状態で並ぶので、情熱をかなり燃やさないと、人の心を動かすのはますます厳しくなってきています。我々も精一杯頑張っておりますので、クリエイターの皆様には全力でもの作りをしていただけると良いかなと思います。
ハタノ氏:本日はありがとうございました!
「OSAKA INDIE GAMES SUMMIT2025」のステージイベント「IPを広げるためにするべき事とは?」は、公式YouTubeチャンネルにてアーカイブが公開中です。気になる方は、ぜひ動画も見てみてください。
またGame*Sparkでは、OIGS2025のレポート記事を多数掲載中です。TVアニメ「グノーシア」に関連した特集記事も掲載しているので、あわせてご覧ください。