『SILENT HILL f』の舞台を聖地巡礼してみた―ゲームの世界まんまの昭和レトロな「筋骨めぐり」に大興奮!Steam Deckで遊ぶ“最適プレイスポット”も探してみたぞ【前編】

岐阜県下呂市を一泊二日のぶらり旅。

ゲーム 特集
『SILENT HILL f』の舞台を聖地巡礼してみた―ゲームの世界まんまの昭和レトロな「筋骨めぐり」に大興奮!Steam Deckで遊ぶ“最適プレイスポット”も探してみたぞ【前編】
『SILENT HILL f』の舞台を聖地巡礼してみた―ゲームの世界まんまの昭和レトロな「筋骨めぐり」に大興奮!Steam Deckで遊ぶ“最適プレイスポット”も探してみたぞ【前編】 全 95 枚 拡大写真

本稿はゲーム内容に関する記述を含んでいます。

閲覧の際にはご注意ください。

2025年9月25日に発売されたシリーズ最新作『SILENT HILL f』は、初週の出荷本数がリメイク版『SILETN HILL 2』のペースを上回る最速100万本を突破したり、登場キャラクター「狐面の男」がSNSで話題になるなど、今最も注目すべき作品です。



『SILENT HILL f』は、従来のアメリカの田舎町を舞台とした作品群から大きく舵を切り、日本を舞台に選んだ点で大きな話題をあつめました。舞台のひとつである架空の町「戎ヶ丘(えびすがおか)」のモデルとして明確に示されているのが、岐阜県下呂市金山町に実在する「筋骨エリア」と呼ばれる路地空間。

今回筆者は、そんな『SILENT HILL f』をさらに深堀りするため、実際に岐阜県下呂市金山町を訪れ一泊二日の取材を敢行し、数々の“聖地スポット”を巡礼。本稿では、「筋骨エリア」をはじめ金山町全体の魅力を前編・後編に分けたっぷりとお届けいたします!

◆『SILENT HILL f』の舞台「岐阜県下呂市金山町」ってどんなとこ?

まずは、岐阜県下呂市金山町こと「飛騨金山」とは、いったいどんな場所なのかざっくりとご紹介します。

金山町全体マップ

岐阜県下呂市金山町は、下呂市最南端に位置する自然豊かな山里で、かつて飛騨街道の宿場町として栄えた歴史を持っています。飛騨川と馬瀬川の合流地点にあり、縄文時代の「金山巨石群」や「中山七里」といった景勝地が多くあり、現在では古い町並みを残す「筋骨めぐり」がとくに人気で、昭和の雰囲気が感じられる随一のエリアです。

詳細マップ
JR飛騨高山駅

前編でフィーチャーする「筋骨エリア」は、金山町中心部に存在します。町の中心部には、旅館や民泊施設、温泉施設、商店や小学校など、町の機能がぎゅっと詰まっており、JR飛騨金山駅周辺エリアを指します。

鎮守山観音堂

他には、筋骨の裏手にある小高い丘「鎮守山」があり、日本書紀にも登場する異形の存在「両面宿儺」が祀られています。さらに、作中に登場する神社のモデルと指摘されている「祖師谷八幡宮」は、北エリアに位置しており、『SILENT HILL f』の世界観に繋がるような史跡が多数点在しているのも特徴的です。

総面積の9割が森林ということで、その豊かな自然環境も魅力の一つ

町の中心部以外にも、北エリアには岩屋ダムや“金山巨石群”と呼ばれるパワースポットを有する「岩屋岩陰遺跡」、西エリアには鶏の置物を奉納する独特な「子守金神社」や“黄金姫伝説”に由来する壮観な四つの滝を見ることができる「横谷峡」など、歴史と伝承に紐づいたさまざまなアクティビティを内包しており、『SILENT HILL f』を抜きにしても、観光地として本当に素晴らしい場所だと思います。

さらに詳しい情報は、こちらの「飛騨高山観光情報サイト」をご覧ください。

◆一泊二日のぶらり取材旅にいざ出発!

去る10月某日、愛車のVitz(15年落ち)に乗り込みいざ出発!一泊二日の弾丸ツアーかつ筆者は中国地方在住のため、前日の夜21時頃に出て岐阜近くのSAで仮眠を取り、朝方下呂市に向かうという計画です。

天気予報を確認すると、筆者が滞在する2日間はずっと曇天もしくは雨の様子。早くも先行きが不安になりますが、とにかく車を走らせます。ルートは山陽自動車道(吹田・山口線)をひたすら進み、大阪方面へ向かいます。そして名神高速道路を経由し、だいたい6時間ほどかかる見込み。

ドライブ自体は好きなので苦にはならないのですが、本業の仕事を終えてそのまま出発したので、眠気と疲労感がヤバい。筆者はこれを、ケン・イシイやThe Prodigy、Jon Bertlanなど90年代テクノ/ハウスを爆音で流し無事に乗り切りました。

今旅の装備品

ちなみに、今旅の取材で使用した機材はこちら。まず、「Steam Deck」はマストアイテムで、これがあれば現地でも思う存分『SILENT HILL f』を堪能できます。ついでにパッケージ版(PS5)の本作もお守り代わりに持参しました。

また、旅の記録を残すため、動画用に小さくてもパワフルなアクションカメラ「Osmo Action 5 Pro(DJI)」、スチル撮影用に「Fujifilm X-T5」、そして全天球カメラ「Insta360 X3」を用意して万全の態勢で臨みます。できればドローンも持ってきたかったのですが、天候を考慮して断念。

車を走らせて約5時間ほどが経過し、時刻は午前3時前。そろそろ体力の限界だったので名神高速にある養老SAで仮眠することにしました。

そして目が覚めたのが午前9時ごろで、そこから1時間半ほど山道を上り、ようやく国道41号線沿いにある「ドライブイン飛山」という道の駅に到着。あ~~疲れた!

実は今回の取材にあたり、金山町観光協会の方々が主催・実行する「筋骨めぐり」ガイドツアーに参加することにしました。「筋骨(きんこつ)めぐり」とは、岐阜県下呂市の飛騨金山宿にある、複雑に絡み合った細い路地を散策する観光ツアーです。手つかずの昭和レトロな街並や路地裏探検を思う存分味わうことができるのが魅力的です。

筋骨エリア自体は公道にあたるのでフリー散策も楽しめるとのことですが、とりあえずガイド付きで案内してもらって全体を把握しようと思います。

ガイド料金は、6名までの参加で3,000円という破格のお値段。当初はボランティアとして2017年に発足した「筋骨ガイドの会」ですが、それにしても安すぎる…。ガイドツアー所要時間は、最短60分コース90~120分 コースがあり、筆者は60分コースにしてもらいました。

さあ、集合予定時間の11時が近づいたので案内所で待機。これから未知の「筋骨めぐり」体験が待っています……!!

【ガイドお申込み受付】
金山町観光協会
TEL.080-3637-2201
TEL.0576-32-3544

◆まるでゲームの世界!没入感ヤバすぎる「筋骨めぐり」に大興奮

作中ひときわ有名な階段のモデル

★「筋骨めぐり」がスタート!

気さくな人柄のベテラン案内人・岡戸さん

そしていよいよ11時。案内所で待っていると「金山町観光協会」の服を着た方が来られました。案内役は、ベテランガイドの「岡戸孝明さん」です。岡戸さんは、長年この筋骨めぐりの案内人としてご活躍されており、温和なお人柄と圧倒的な知識量とユーモアを交えた軽妙な語り口が特徴的で、まさにその道のプロといった感じでした。

それもそのはずで、筋骨めぐりが注目されて以来、岡戸さんはNHKをはじめさまざまなメディアからの取材を受けてきたらしく、淀みのない説明や迷いなく案内してくれる信頼感が非常に頼もしい方でした。

筋骨バッジ

まずは軽く挨拶をしたあと、今回の取材のことを話すと快く撮影許可を頂きました。ありがとうございます!そして、筋骨ガイドのしおりや「筋骨めぐり証」という超レアなバッジまでもらえることに。

もちろん岡戸さんも『SILENT HILL f』をご存知のようです。

本格的に路地を散策する前に、金山町北部エリアにあるパワースポット「金山巨石群」についての説明を受けます。金山巨石群は、縄文時代の史跡で岩に刻まれたくぼみや筋を利用し、太陽の動きを観測して暦を測っていたと考えられており、“日本のストーンヘンジ”とも呼ばれる太陽暦としての機能を持っているとのこと。明瞭でわかりやすく、話を聞いているだけで楽しいひとときです。

★筋骨入り口~ポンプ式井戸

ここが入り口

ドライブイン飛山から出て国道41号の横断歩道を渡り、しばらく歩くとすぐ右手側に細い路地があり、そこが「筋骨入り口」になります。一見何の変哲もない細い道なので、言われないと分かりません。

宿場町のパネル

そもそも「筋骨」とは、飛騨地方の言葉で複雑に入り組んだ細い公道のことを指します。人間の「筋」や「骨」が絡み合った様子から筋骨と名付けれました。また、かつては宿場町の「金山宿」として栄えたものの、四方を敵に囲まれていたため、複雑かつ“どこにでも抜けられる裏路地”が誕生した歴史的背景があります。

この一本道をひたすらに歩いていきます。両脇には畑がありますが、通路は狭く家と家の距離が非常に近い。岡戸さん曰く、皆が限られた土地の中で商売し生活するためには「間口」を分け合わなければならないので、こうした構造になったということです。

そして狭い路地を抜けて大通りへ。このあたりは昔ながらの家屋が並んでいてとてもノスタルジーな雰囲気です。その大通りからまた左に曲がり筋骨に入ります。すると…

ポンプ式井戸

レトロなポンプ式の井戸を発見!岡戸さんの話によると、この一帯はかつて川底だったため、ちょっと穴を掘るだけで水が出てくるのだとか。実はこのポンプは現役で、住民はみんなここで大量に水を汲みに来るそうです。

そのまんま同じ

それにしても、ゲーム内に登場するポンプとそっくりで、実際に比較してみるとこの通り。筋骨めぐりの良いところは、こんなふうにゲームと現実世界の繋がりを探す楽しみがあることです。

思いの外冷たい井戸水

せっかくなので試しに水を出してみました。出し方はとてもシンプルでレバーを上に引くだけ。それだけなのに、水が出てくるたびに嬉しくて大はしゃぎ!いや~ほんと楽しいですね。

★銭湯跡~レトロ雑貨店(1号店)

筋骨めぐりはまだまだ続きます。小川に掛かった小さな橋をわたり、駐車場を抜けた先には…

昭和をビンビン感じる素敵な銭湯がありました。この元銭湯は「旭湯」といい、大正時代に開業し昭和63年まで営業したそうで、近隣住民にとっては欠かせない場所でした。

ちなみに、見学できるのは男湯のみかつ、見学にはガイドの同伴が必要となるため、ご注意ください。

番台さんの詰め所
レトロなポスター群
脱衣所の使い方を学ぶ

早速中に入ってみると、その手つかずのレトロ感に圧倒されます。赤軍派の指名手配ポスターが張ってあったり、番台さんが座っていた詰め所には、算盤がそのまま置いてあったり…時が止まったような雰囲気が素晴らしすぎる。

そして湯船の方へ。最盛期はたくさんの人々が利用したみたいですが、回転率を高めるために「立ち湯」形式だったそうです。つまり、ゆったりと腰を据えて湯に浸かることはできず、中腰になって楽しんでいたとのこと。

また、浴槽のタイルはすべて手書きであり、この柄自体日本で初めてデザインされたもので非常に貴重なものだと岡戸さんがおっしゃていました。

「古もん屋」1号店
繭の汚れ落とし機
石原裕次郎の写真集

「旭湯」でのノスタルジー気分をたっぷり堪能したのち、次に案内されたのが岡戸さん自身が経営する雑貨店「古もん屋」1号店。店内にはところ狭しと、あらゆる昭和レトロな品々が並んでいます。

なかでも、往年の大スターの写真集や手巻き式の汚れ落とし機、レコードプレイヤー、火鉢、足踏みミシンなど娯楽雑貨から生活必需品まで、当時の生活文化を知れる貴重なアイテムがいっぱい。ここがもしゲーム内なら、おそらくキーアイテムとか何かの資料が入手できるかもしれませんね。

★水路沿い~ハウルの動く城

雑貨店を離れ、ふたたび狭い筋骨路地へと向かいます。ここら辺から、とくに『SILENT HIL f』さながらの雰囲気を色濃く感じられる反映したに変わっていきます。

この路地を流れる水路は、明治時代から断続的に洪水に見舞われてきたそう。土手の上に建てられた住居は実は違法建築ばかりらしく、土地の奥行きがないため1階にあたる部分が「地下」に相当し洗濯や食事を行い、2階が居酒屋などの商売スペース、そして3階が居間という特殊な構造になっています

ここでロケーション比較してみましょう。切り立ったフェンス、流れる水路、家と路地をつなぐ短い架け橋など、ゲーム内の「戎川町」のモデルとなっているのは一目瞭然ですね。

特殊な洗い場
水神を祀る祠

こうした特殊な生活事情のため、昔は食器などを洗えなかったので、こちらの「共同洗い場」を使用していたとのこと。火かき棒のようなもので栓を抜くと、水が流れて溜まっていく仕組み。筆者も実際にやらせてもらいましたが、ポコポコと泡が湧きどんどん水かさが増してくる様子はとても興味深く、生活者の知恵が詰まっていると感服しました。

化け物との初遭遇シーン

先へ進もうとすると、岡戸さんが路地の方を指さし「ここの奥が『SILENT HILL』の舞台」とポツリ。岡戸さんによると、制作スタッフの方々がここで一日中撮影したり、録音したりしていたそうです。すげぇ…!ここがまさに聖地スポットなんですね!! さらに曰く、ロケハンは冬の季節に行われたようで、恐ろしい雰囲気がかなりあったらしい。予期せぬ貴重なこぼれ話が聞けて大満足です。

コウモリのマークが付いた家屋

聖地をズンズン進んでいきます。途中、不思議なマークが付いた場所を発見。話によると、「コウモリ」のマークが付いている家屋は違法売春をやっていた空間で、違法ゆえに目立たず商売するために発案されたものだと言います。

ハウルの動く城

続いてやって来たのは、茶色のバラックが特徴的な建築物。このツギハギされ飛び出た異様な佇まいが、宮崎駿監督の「ハウルの動く城」のようだとして、写真家や絵師に特に人気があるスポットだそうです。実物を見てみると、たしかにひときわ目立っており、朽ち果てた雰囲気が『SILENT HILL f』の世界観とめちゃくちゃマッチしていました。

★石段~レトロ雑貨2号店

ハウルの動く城から直進するのではなく、ここで右に曲がると…

ついに出ました聖地中の聖地!例の「石段」です!!

コンセプトアートとして印象的なこのイメージ画像は、『SILENT HILL f』を象徴する一枚として鮮烈。そう、この主人公雛子が立っている場所が、まさにこの石段をモデルにしているのです。

比較してみると、もうそっくりそのまま再現されています。岡戸さんによると、この階段の景色を制作陣がえらい気に入ったらしく、『SILENT HILL f』のコンセプトに影響を与えたとおっしゃられていました。また、再現度が高いため、ここで雛子のコスプレ写真がよく撮られているそうです。それはファン心理としてめっちゃわかります。

なんだコイツは

なぜなら、筆者も一枚記念に撮ったので。実際、聖地に来るとテンションが爆上がりしちゃいますよね。汚い絵面でスミマセン…ご勘弁を。

ちなみに、石段の場所は「ハウルの動く城」のすぐ近くと覚えておけば迷わずたどり着けると思います。

明治時代の茶碗をゲット!

階段を上りきった先に、岡戸さんが経営する雑貨店「古もん屋」2号店があるので立ち寄ります。ちょうど新しいお茶碗を探していたため、軒先に置いてあった年代もののお茶碗をセットで購入しました。小ぶりな器が可愛らしいです。なんと、サービスで小皿も2枚オマケしてくれました。ありがとうございます…!

★商店街散策~帰路

元旅館の壁画

最後は、地元の商店街を訪れて散策しながら帰路につきます。筋骨路地だけでなく、大通りには荘厳な日本画が描かれた元旅館や、老舗の理髪店など見どころがたくさんあります。

奥飛騨酒造
会席料理「魚忠」

他にも、鮎料理を出してくれる会席料理店「魚忠」や、米製のウォッカ(!)も醸造している老舗酒造「奥飛騨酒造」など、さまざまな地元商店が金山町を支えていることが実感できます。

こうして、約2時間半(本当は60分)もの「筋骨めぐり」も終わりが見えてきました。出発地点のドライブイン飛山に到着し、解散。

と思いきや、何やら岡戸さんに呼ばれます。

竹製スプーン

実は岡戸さんは、ハンドメイドで竹製の箸やスプーンなどを自ら制作・販売もしているらしく、自慢のコレクションを特別に見せていただきました。

色合いやデザイン、手作り感がめちゃくちゃ良い…!!何でも器用にこなせる本当に凄い方です。結局、その素晴らしいクオリティに魅了され小型スプーンを2本購入したのでした。

岡戸さんは終始ニコニコしていらっしゃる非常に気さくな方で、サービス精神も旺盛な本当に素敵なガイドさんでした。またいつか、是非お会いしてみたいです。

「筋骨めぐり」を体験して思ったのは、単純に『SILENT HILL f』の聖地スポットに訪れるだけのものではなく、金山町自体が歩んできた歴史を知り、感じることができる貴重な経験でした。本当に今回訪れて良かったと思います。

★オマケ─SNSで話題沸騰!「最恐の階段」へ行ってみた

境橋

筋骨エリアを外れて商店街を散策中、岡戸さんと一緒に向かったのが美しい馬瀬川に架かる「境橋」。この橋は岐阜県の飛騨と美濃を分ける境界になっていて、向こう側が飛騨の入り口で、そこに伊能忠敬が起点を定めた測量水準点があるのだとか。

「最恐の階段」

なぜここを訪ねたのかというと、橋のほとりにある「角度がエグい」と噂の“最恐の階段”を見るため。ご覧ください、このほぼ垂直に伸びた姿を。遠目に見ると階段というか、まるでハシゴみたいですね。この異様な風景がSNSでバズり、果ては各テレビ局も特集を組むほど一時話題沸騰となりました。

目の前で見るとさらにヤバい

高所恐怖症の筆者ですが、せっかく来たので実際に降りてみることに。遠目でもヤバかったのに、目の前から見下ろすとさらに角度がエグい。しかも結構な段数があります。

ガクブルよ

すでにもう冷や汗をかいてますが、意を決して一歩踏み出します…!うぉおおマジで怖ぇ。一応安全対策として、錆びた手すりが付いているのでそれを掴みながら慎重に下ります。

馬瀬川

なんとか滑り落ちずに降りることに成功。そこには、馬瀬川の美しすぎる清流が一面に広がっていました。ちなみに、この川では鮎漁が盛んで、先に紹介した「魚忠」のご主人がちょうど居合わせており、鮎網を上げるところを見学させてもらえました。

下から見るとそうでもない

ということで、「最恐の階段」に挑んでみたのでした。筋骨エリアとはまた違った種類の恐怖を味わえるので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか

ちなみに、Googleマップで「最恐の階段」と調べてみると……。

★全天球カメラで筋骨エリアを360°体験!

今回、全天球カメラでも各スポットを撮影しました。360度で見る筋骨エリアの迫力を存分にお楽しみください!操作は、PCの場合カーソルを写真に重ねると、そのままグリグリと全方向に動かせます。また、「ウルトラワイド」や「球状」など、さまざま画角で閲覧することも可能です。お試しあれ!

<一枚目:「ハウルの動く城」前の路地>

<二枚目:銭湯跡>

<三枚目:石段>

◆Steam Deckで遊ぶ"最適スポット”を探せ!

銭湯にて

やはりゲームライターたるもの、常住坐臥いつ何時もゲームをプレイすべし!という勝手な信念のもと、取材先だろうが構わず『SILENT HILL f』で遊ぶ筆者。

ちょうどいいことに本作は、スーパー携帯ゲーム機「Steam Deck」との互換性があり、しっかりとプレイ可能なのです。せっかくモデルになった舞台へ来ているということで、

『SILENT HILL f』をプレイするにはどこが“最適スポット”なのか?
in 金山町

と題して町をうろつき、一番没入感のあるプレイスポットを探しにいこうと思います!



あ、ちなみに筆者は以前リメイク版『SILENT HILL 2』で同じことやってます。成長しませんね。良かったらこちらも読んでみてください。

今回持参したのは、解像度1280 x 800 7インチのLCDディスプレイ、ジャイロ6軸IMU、ストレージ256GB NVMe SSDを搭載したSteam Deck。

プレイ中、多少フレームレートが落ちる場面もありましたが、美しさと悍ましさが同居する『SILENT HILL f』の世界をLCDディスプレイが鮮やかに映し出し、6軸ジャイロの精密で快適なスティック操作とNVMe SSDの高速読み込みのおかげで圧倒的な没入感を持って遊べます。他のモデルと比較してもお手頃価格なので、旅のお供に最適のゲーミングデバイスだと思います。

まず向かったのは、先ほど紹介した「ハウルの動く城」と呼ばれる増改築された姿が異様な建物で、筋骨エリアの中でも人気スポットです。

これを背景にプレイしてみると…確かにかなり没入感があります。たとえば、ゲーム序盤で訪れる「戎川三丁目」付近はまさに現実の筋骨とシンクロする風景が再現されており、よく観察してみるとこのハウルの城をモデルにしたような建物も発見できるので、また違った角度でゲームを楽しめます。

ただし周りは畑で座ったりする場所もなく、落ち着いてプレイできない。まあ当然っちゃ当然ですが…ということで、素晴らしいロケーションではあるものの「最適スポット」とは言えません。

続いてやってきたのは、筋骨エリアを流れる水路。こちらも同様に、ゲーム序盤で訪れる特徴的な場所で、現実世界をベースに、さらに複雑な迷路のように再現されている作中屈指の名ロケーションです。

この水路付近でしばらくプレイしてみましたが、現実とのシンクロ率も高めで没入感もまずまずで悪くありません。しかし、通路が狭く、地元住民や観光客が断続的に行き来するため、なかなか腰を据えてプレイすることが難しい。筆者が一方的に邪魔になってるだけなので文句は言えませんが、「最適スポット」にはなりませんでした。

3箇所目に選んだのは、昭和63年まで営業していた「銭湯跡」。作中には直接登場しませんが、まるで時間が止まったかのようなレトロ空間が心地よく、一度は訪れてみたい場所です。

ここでのプレイフィールはかなり良好。というのも、銭湯のレトロな雰囲気が本編の時代設定ともリンクして没入感があることと、雨などを気にせずゆったりと落ち着いてプレイに集中できるからです。

とはいえ、公共の場であると同時に筋骨エリアの中でも特別「映える」人気スポットであるため長居はできません。というわけで、“推しスポット”ではありますが、最適スポットには至らず…。次に行きましょう。

例の場所

そして最後にやってきたのは、主人公雛子がバケモノに遭遇するシーンで著名な「石段」です。配管の位置や石垣の壁の質感まで見事にそっくり再現されており、ここでコスプレ写真を撮っている人がいることも。

この階段でのプレイはやはり格別で圧倒的な没入感があります。ゲーム内で同じ場所を訪れてその再現度を比較してみるのも良し、実際に階段を歩いてみて主人公になりきってみるも良し、といろんな角度で楽しめる最高のロケーションです…!石段に座って遊べるのもポイント高し。

というわけで、「最適スポットin金山町」は……

「石段」に決定!!

しようと思ったんですが、よく考えてみるとここも日常的な生活空間かつ人気スポット。人の往来が結構あり、「すみません、すぐどきます」なんてこともしばしばで、あまり落ち着いてプレイすることはできません。なので、ファンにとって完璧な場所ではあるのですが、「ゲームを遊ぶ場所」としてはどうなのか?と疑問が湧いてきました。

喫茶店「レインボー」

そこで筆者は、休憩も兼ねて老舗喫茶店「レインボー」に入店。ここも昭和感が色濃く残る昔ながらのカフェで、薄い緑色のテーブルや椅子、店内の広々とした空間がとてもステキなホット一息つける場所です。

川沿いの景色も素晴らしいし、ブレンド珈琲や小倉トーストなどの軽食がどれも美味しい。何より、レインボーのまったりとした雰囲気はよそ者である筆者にも優しく、ゆっくりとSteam Deckでプレイすることが出来ました。

そんなわけで、栄えある『SILENT HILL f』最適スポットNo.1は、改めてこの喫茶「レインボー」に大決定。金山町にお越しの際は、ぜひSteam Deck片手に立ち寄ってみてください。

店名:喫茶レインボー
所在地:〒509-1614 岐阜県下呂市金山町大船渡598-1
営業時間:8:00~17:00
駐車場:あり

◆昭和レトロ感がたまらない!素敵な古民家に泊まってみた

居酒屋兼宿泊施設「恩家」(※撮影許可は頂いています)

1日目の取材が一通り終わり、ようやく日も暮れてきました。向かった先は「筋骨」路地にほど近い、「飛騨金山 古民家宿 恩家 ーおんやー」。今日はここで疲れた体をゆっくりと癒やし明日の取材に備えます。ちなみに、撮影許可は頂いております。

この「恩家」は、昭和元年に建てられた今年築100年にもなる古民家で、もともと“助産所”として機能し多くの地元民が生まれたとのこと。それゆえ、金山町の人々から今も昔も愛されている大切な場所だそうです。

そして地元の職人の手で丁寧に改装が行われ、2022年12月に恩家が誕生しました。注目すべき点は、一階に居酒屋を併設しており、地酒や地元食材を使った美味しい料理を振る舞ってくれること。つまり、宿泊施設と居酒屋を兼ねたステキな旅館なのです。

2階の客室通路。真っ赤な絨毯が印象的だ
昔ながらの蛇口式も良き雰囲気

客間のある2階は、『SILENT HILL f』のようなおぞましい雰囲気はもちろん全然なく、清潔で静かな佇まいでしたが、施設内の至るところに昭和レトロなノスタルジーを感じます。それがどことなく60年代を舞台にした『SILENT HILL f』の世界観と図らずもリンクするような感覚になり、不思議な気持ちになりましたね。

客室

古民家とはいえ、客室は全室個室となっており、インターネット環境やテレビ、エアコン、冷蔵庫、空気清浄機などの生活家電も備わっており快適に過ごせました。

部屋は畳張りで、襖で仕切られており和のテイストを存分に味わえます。ただし、鍵が掛けられないので貴重品は都度持ち運ぶ必要がありますが、これも古民家に宿泊する醍醐味の一つだと割り切りました。

一階は居酒屋スペース

ひとっ風呂浴びて汗を流したあとは、そろそろ晩御飯のお時間です。先ほど書いたとおり、一階部分は居酒屋スペースとなっているので、手間が省けてめちゃくちゃ助かる…!しかも夜中3時まで営業しているため、もし寝付けない場合は飲み直すことも可能なんです。

豊富なメニュー
このだし巻きがとにかくウマかった!

料理は、サラダや鉄板焼き、一品料理、だし巻きなどから、揚げ物、ご飯物、デザートまで、子供から大人の広い世代が楽しめる豊富なメニューが取り揃えてあります。筆者はお腹が減っていたので、片っ端から頼んでみましたが、もう一品一品が本当に美味しい。

とくに、「だし巻き」は絶品。外はフワッと中はトロ~リした理想的な味で3回おかわりしちゃいました。もちろん、他の唐揚げや釜飯とかもめちゃくちゃ美味しかったですよ。心残りがあるとすれば、「飛騨牛」が食べたかった…!ちょっと良いお値段がしたので、諸般の理由(懐事情)により断念しました。

乾杯!

普段はまったくお酒を飲まない(飲めない)筆者ですが、今日ばかりは特別。移動時間を含め丸1日取材を頑張った自分にキリンビールで乾杯!くぅ~~染みるっ…!犯罪的なうまさだっ…!(カイジ風に)これで、明日も頑張れそうです。

ということで、本来なら今日撮った写真の整理や、本稿の下準備などをしたかったのですがけっきょく睡魔に勝てず就寝。おやすみなさい……。

こうして長かった取材1日目が終わったのでした。

店名:飛騨金山 古民家居酒屋「恩家」
所在地:〒509-1622 岐阜県下呂市金山町金山1940-8
営業時間:火~日 17:00~24:00 定休日:月曜日
TEL:(0576)74-1249
公式サイト:https://onya.co.jp/



さていかがだったでしょうか!金山町の歴史ある町並みの雰囲気と空気感はとにかく「素晴らしい」のひと言。とくに「筋骨めぐり」での体験は『SILENT HILL f』を遊ぶうえで、さらに没入感を高めてくれるとなぁと改めて実感しました。機会があれば、ぜひ一度は訪れてみて欲しい「AAA級」の観光地です。

そして特集は後編へと続きます…!そちらもどうぞ読んでもらえると幸いです。ご意見、ご感想もコメ欄にてお待ちしております。



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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《DOOMKID》

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