配信技術研究所株式会社は11月7日、ライブ配信を活用した新しい広告ソリューション「SCOP(スコップ)」の正式版をローンチしました。
正式ローンチに合わせて、東京・中野の「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」にてローンチパーティーを開催。参加したストリーマー「SCOPPER(スコッパー)」やスポンサー企業の担当者、そして業界関係者らが集結。SCOPの目指すビジョンと、ライブ配信を軸にした広告の新しい形が示されました。
◆“熱量”でプロモーション SCOPが描くマーケティングの進化
SCOPは、ストリーマーが自発的にブランドを応援し、ファンとのリアルタイムな熱量を共有することで「共感からの伝播」を生み出すマーケティングソリューションです。2024年4月に実証を開始し、約1年を経て今回の正式ローンチへと至りました。

代表の牧野耕志氏は冒頭のプレゼンテーションで、ライブ配信という趣味の世界と、社会・経済の世界に距離があるそう。また現在のライブ配信文化では、文化的な単一化や、ゲーム配信文化と社会との間に相互認識や共通言語が存在することを課題に上げつつ、「趣味や表現活動としてストリーミングやゲームを行っている多くの方々が、より社会に貢献したり、経済的に貢献できるようにする手助けを、SCOP実現できないか」と語りました。
SCOPにはこの1年で234名ものストリーマーが参加。いずれも、参加には作文審査を経ており、やる気やパッション、熱量、ブランドセーフティが確保されているかが重視。参加基準に活動の規模は関わらないとのこと。

参加配信者の総視聴時間は1億7千万分を突破。年間で約196%という成長を遂げており、すでに日本国内の配信者事務所と比べても第6位の視聴規模を誇るまでに成長しています。

企業スポンサー数も11社に拡大しています。オンライン・オフラインを交えた交流イベントも定期的に開催され、単なる広告マッチングの枠を超えたコミュニティが形成されつつあるとのことです。
◆正式版が示す次のステージ テクノロジー×熱量で双方向の共創を
ベータ版から大きく進化した正式版SCOPでは、広告主とストリーマーの双方向コミュニケーションをさらに強化するウェブプラットフォームを搭載しています。
広告主は専用ダッシュボードで配信中のエンゲージメントやクリック数、インプレッションなどをリアルタイムで確認できるほか、出稿管理も一元化。各ストリーマーの成果が可視化され、データドリブンな運用が可能になりました。

ストリーマー側には、広告主が配信を視聴中であることを示す「〇〇社 襲来中」という通知や、広告主から“スーパーいいね”を受け取ると演出が発生する機能も搭載。これにより、配信中にスポンサーの存在を感じながらテンションを高める仕掛けが生まれます。



また、広告主はクイズ形式で商品知識を確認できる「予習クイズ」機能を設定でき、クイズをクリアしたストリーマーはインセンティブが変わります。熱意や理解度に応じた報酬設計によって、ブランドに真摯に向き合うストリーマーを集めやすくなるのが特徴です。
牧野氏は「従来のインフルエンサーマーケティングは、台本やオリエンシートがあり、それに基づいてインフルエンサーができる限りのことをするという形式でした。しかし、趣味でゲームをしている人で、台本を考えながらプレイしている人はいません。文化や言語の違いがここにあり、配信は論理(左脳)ではなく、パッション(右脳)で行われているのです。だからこそ、自身が広告や商材に対してアクションを起こし、ファンを巻き込んだ時に、どれだけ迅速にレスポンスが得られるかが明確でなければならなく、このようなツールを用意しました」と語りました。
◆「トライする勇気を」 ストリーマー代表・スタンミじゃぱんさんが語る
イベント後半では、「コミュニティリーダーズトーク」と題してストリーマーの「スタンミじゃぱん」さんがスピーチを行いました。
「配信者にとって一番大事なのは、熱量です。もしその熱が冷めてしまったら、どんな企画も意味がなくなってしまう。だからこそ、自分の中に眠る『棘』を磨いてほしい」

SNSが発達し、常時接続の時代に「考える時間を奪われている」と語るスタンミさんは、「ノートとペンだけを持って1時間考える時間をつくってみてほしい」としつつ、「SCOPという集団は、挑戦を笑わない集団です。失敗を恐れずにトライして、自分の個性を探してほしい」と呼びかけました。
続いて企業パートでは、SCOPを活用した2つの導入事例が紹介されました。
最初に登壇した味の素株式会社の野中氏は、eスポーツ事業の一環として行った「スープDELI」キャンペーンを振り返ります。
3週間ほどのプロモーションの中で、配信者独自の「アレンジレシピ」を考案したり、美しく撮影したりと「表現の仕方や熱量が、想定以上のスピードと大きさで広まった」とし、。eスポーツに近い私だけでなく、本体の事業部にも魅力を感じてもらえるサービスだと実感」と語りました。

また、次に登壇したGMOペパボ株式会社の和田氏は、「ロリポップ! for Gamers」での取り組みを紹介。配信者の能動的な発信により指名検索数は3.6倍に増加したほか、売上やブランド認知にも直結したとのこと。
これまで個人クリエイターと企業の間には実務的な壁があったとし、その点でSCOP運営が真摯に対応してくれたそう。「広告主と広告媒体という関係以上に、対等のパートナーとして一緒に成長していきたい」としています。

◆目標は2,000人コミュニティ
最後に牧野氏から、今後の展開として「SCOPPERコミュニティを2,000人規模に拡大する」という目標が発表されました。
牧野氏は、2,000人が参加することで市場調査やイベントなど、様々なことが構想出来るとし、「我々がどんなに「暗い部屋でゲームをやっているだけの存在」だと思われていようと、2000人いれば社会に影響を与えるだけの力を得られる」と今後のビジョンを明かしています。



