
『キングダムカム・デリバランス II(Kingdom Come: Deliverance II)』の英語翻訳を担当するMax Hejtmanek氏は3月28日、海外掲示板Redditにて「今後はすべての翻訳にAIが使用される」と告げられ、開発元のWarhorse Studiosから解雇されたことを明かしました。
「仕事をすぐに失うとは想像していなかった」
Hejtmanek氏は2022年7月からWarhorseに所属し、チェコ語から英語への翻訳兼編集者およびボイスオーバー(VO)ディレクターなどを担当。主に『キングダムカム・デリバランス II』とDLCの翻訳を務めていたようです。
同氏の投稿によれば、2026年3月27日、何の予告もなく会議に呼ばれ「来月から会社の効率化と経費削減のため、今後はすべての翻訳にAIが使用される」と告げられ、職を失ったそうです。AIを使った翻訳についての議論はこれまで社内で何度も出てきたが、Hejtmanek氏は常に強く反対してきたこと、そして自身の仕事はスタジオで十分に評価されているので、すぐに職を失うことはないだろう(可能性は何度も頭をよぎったが)と「私は甘く考えていました」と述べています。
「翻訳はAIに置き換わる」現実を指摘する声
この投稿には2,600件ほどのコメントが寄せられ、なかには投稿者が本当にWarhorseに勤務していた人物なのか疑いを抱くユーザーもいましたが、RedditのモデレーターがMax Hejtmanek氏本人である確認を取り、LinkedInでも同氏の職歴から退職したことが明らかになっています。
Redditユーザーからは「悲しいことに、翻訳という職業はアルゴリズムやAIに急速に取って代わられつつあります。既存よりはるかに作業が早く、ほとんどの言語において“必要十分”な出来栄えだからです。そのため映画やTV番組の字幕は、すでに品質が低下し始めています」「今回の解雇はあまりにも愚かだ。AIによる翻訳支援には考慮する余地があるが、質を保証できないのに、ゲーム全体の演出をAIの表現力に賭けるというのは正気の沙汰ではない」など、AIによる翻訳サポートの有用性を認めつつ、すべてをAIに委ねることには否定的な意見が大方です。
また日本語と英語、フィンランド語と英語のように文法や表現方法において乖離が大きい言語を、AI翻訳任せにするのは今の技術では難しく、「人間の管理下にあってこそAIは本来の性能を発揮できる」にもかかわらず、企業は利益のみ重視し、品質をおろそかにしているといった意見も寄せられています。

あまりの反響に圧倒されたというHejtmanek氏ですが、「Warhorseとの秘密保持契約を破るつもりはないし、復職を求めたり、法的措置を取るつもりもありません」とし、投稿の理由を「AIの利用拡大はゲーム業界をはじめとする多くの人々に大きな影響を与えていること。ゲーム業界の裏側で何が起こっているのかを、より多くの人に知ってもらうこと」だと説明。
「スタジオ関係者に嫌がらせをしたり、Steamで彼らのゲームにネガティブなレビュー爆撃を仕掛けたりしないでください」と、同氏は注意を促しています。
『キングダムカム・デリバランス II(Kingdom Come: Deliverance II)』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|Sにて発売中です。





