■夜になると一変する空気。『夜廻』チームらしい恐怖も健在

平和な日常だけを楽しみたい人向けに、『ほの暮しの庭』では「あんしん暮しモード」が用意されています。一方で、本作ならではのホラー要素も体験したいなら、「ほの暮しモード」を選ぶことになります。
このモードでも、昼間は比較的穏やかです。村人との間で意見がぶつかったり、不穏さが漂う展開を迎えることはありますが、基本的には人間同士の関係性の範囲に収まっています。

しかし、夜になると状況は一変。『ほの暮しの庭』における直接的なホラー要素は、深夜の外出によって本格化します。村の掟を破って夜中に外へ出ると、懐中電灯の光に照らされた怪しげな“影”のような存在と遭遇。試遊体験の場でなければ、思わず声を上げていたかもしれません。
そこにただ漂っているだけのモノもいれば、執拗にこちらを追い回してくるモノも存在します。主人公はか弱い少女なので、こちらにできることは逃げることだけ。『夜廻』シリーズで培われた「追われる恐怖」は、本作にもしっかりと受け継がれていました。

しかも登場するモノは、探索を続けるたびに新たな存在と遭遇することが多く、それぞれ見た目も行動パターンも違っています。そのため、外出するたびに「次は何が出てくるのだろう」という緊張感が常にありました。
ゲームだからと開き直って近づいてみると、こちらに気づいていないのか、のんびり移動しているモノもいます。しかし、油断して後を追っていると、別のモノに見つかって慌てて逃げ回る羽目になることもありました。恐怖と好奇心のバランスが絶妙です。

ちなみに、深夜の探索中もゲーム内時間はリアルタイムで進み続けます。そのため、昼間と同じように目的を持って行動した方が良さそうです。
なお、モノに追いつかれてしまうと主人公は気絶し、その日の探索は終了となります。ただし、今回確認した範囲では、大きなペナルティらしきものはなく、家に戻って朝を迎えました。

また、怪異から逃げ切った場合でも、AM6時頃になると主人公は眠気に耐えられなくなり、自動的に探索は終了。襲われるにせよ、逃げ切るにせよ、夜の行動には限界があるため、怖さに負けずしっかりと探索したいものです。

こちらは余談ですが、夜中でも釣りは可能でした。実際に魚が釣れるところまでは確認できませんでしたが、「夜の川で何が釣れるのだろう」と考えるだけでも、妙な怖さがあります。
■恐ろしいのは「夜」だけではなく……

夜にしか見つからないアイテムなどもあるため、物語を追う上で深夜探索は避けて通れない要素になりそうです。しかし、夜の探索は確かに怖いのですが、本作の不気味さは夜中だけでなく、昼の日常にも潜んでいました。
村には「掟を守らせようとする側」と、「村の秘密に踏み込もうとする側」が存在しているようで、それぞれがぶつかることもあります。住民同士でも意見が分かれている「村の掟」の先に、一体何があるのでしょうか。

夜に現れるモノは、確かに恐ろしい存在です。しかし、住人が頑なに守ろうとしている「村の掟」の方が、むしろ恐ろしいのではないか――そんな予感も抱かせます。
昼は穏やかで、夜は恐ろしい。しかし、その両者の間に横たわる謎こそが、『ほの暮しの庭』の物語に潜む最も大きな闇なのかもしれません。
■生活シミュレーションもホラーも、本気で作られている

『夜廻』チームによる新作ということで、夜の探索には大きな期待を寄せていましたが、その部分は期待通りの仕上がりでした。追われる恐怖はもちろん、「何かがおかしい」という不穏な気配が常に漂っており、和風ホラーらしい“目に見えない怖さ”も十分に味わえます。
一方で、今回の試遊で改めて驚かされたのは、生活シミュレーション部分の作り込みです。農業や畜産、建築、DIY、狩猟、釣り、交流といった多彩な要素に加え、それらを支える便利なシステムまで整備されており、「村で暮らす毎日」を自分のペースで楽しめる作品になっていました。

穏やかな日常と、恐ろしい夜。そして、その狭間に潜む数々の謎。『ほの暮しの庭』は、ホラーゲームとしても生活シミュレーションとしても成立させようとする、意欲的な作品だと実感しました。製品版ではどのような物語が待っているのか、期待がますます膨らみます。
試遊プレイのレポートは以上となりますが、本作の魅力や制作の裏側について、企画・ゲームデザインを担当した溝上侑氏と、開発責任者の勝又美桜氏に詳しい話を伺いました。そのインタビューの一部始終も、併せてご覧ください。

