
8月1日・2日にわたって「FGO Fes. 2026」が行われており、ステージイベント「Fate/Grand Order スタッフトーク」にて、『Fate/Grand Order』(以下、FGO)に関する開発の裏話が明かされました。
まずは、長きにわたって展開した「冠位戴冠戦」では、特別なサーヴァントや演出がたびたび話題となりました。今回は、初回に登場した新免武蔵守藤原玄信について、その制作秘話を開発スタッフが語ります。
■武蔵の「実装されなかったもうひとつの表情」も公開!


武蔵はすでにサーヴァントとして登場していたため、「グランド戦ということで一層迫力のあるかたちでの制作」となった模様。実装されている武蔵のモーションをベースとしながらも、「特に宝具は正面カットインも入れて一から作り直し、美しく且つパワフルに。エフェクトの大きさや色味、カットインのタイミングなどの微調整を何度も繰り返しました」と、並々ならぬ力が注がれたことがうかがえます。
加えて、「グランド戦はここまでやらなければならない、という大筋の基準を決めることができた」と、武蔵の制作がひとつの基準になったと語られました。

また、「冠位戴冠戦」の武蔵制作にあたり、武蔵のキャラクターデザインを担当したこやまひろかず氏のコメントも届きました。そして、コメントで触れている「もうひとつの表情パターン」も、別案ラフとしてお披露目されました。

◆冠位戴冠戦での宝具演出向けのカットイラストについて、武蔵の表情や目力がとても印象的でした。描くにあたってこだわった点などありますでしょうか?
こやま氏:奈須、武内から特にオーダーはありませんでしたが、コンテをそのまま、とにかく格好良く仕上げることに全振りしました。背後の仁王は重厚感が敵しかったので、アニメ塗りではなく厚塗りで描き上げました。
それとご好評をいだだきました表情にも気を配りました。当初、全身のカットをアップにして顔を表示していましたが、せっかくの顔のアップが解像度的に残念な見た目になっていたので、新たに高解像度で描き起こして差し替えてもらいました。
表情に関しては、前を見据えた現在の表情と、武蔵自身の内面に意識を向けた敵を敵として見ていない表情の2パターンを描いて、奈須さんに見てもらいました。
結果わかりやすく目力を見せる現在のものに決まったわけですが、差分として残しても良かったのかもしれませんね。

◆様々な表情を見せる宮本武蔵ですが、描くにあたって意識している点などはありますか?
こやま氏:フェスや水着イベントなどのお祭り感重視の場合、とにかく奔放で元気よく5:かわいく3:かっこよく2、くらいの塩梅でしょうか。
とはいえ武蔵は、どの要素に強く振っても大丈夫なので、とても描きやすいし楽しいです。
今回の学生服は、キャライメージ的には可愛らしすぎるシルエットになってしまったかもしれません。もっとアレンジを楽しんでも良かったのかも?

◆マスターのみなさまへメッセージ
こやま氏:第2部が大団円を迎えてすでに半年余りとなりますが、マスターのみなさまにおかれましては本当にお疲れ様でした。
困難も喜びも悲しみも安らぎも、マスターそれぞれが思い出に刻んで乗り越えて、今日に至ったのだと思います。
この先何年経っても思い起こしてもらえる体験になっていれば何よりです。……なんですが。
まだもう少しだけ続くんじゃよって偉い人が言ってます。
■「カルデアン・フロラリア あなたの花が咲く頃に」アニメーションのこだわり
冠位戴冠戦に関する話が一区切りつくと、続いて「カルデアン・フロラリア あなたの花が咲く頃に」に合わせて作られたニメーション制作の裏話へと移ります。
まずは、ユーザーが普段見る機会のない絵コンテを公開。コンテながら着色もされており、完成版のCMを想像しやすいものになっています。


このアニメーションについて、監督・コンテ・原画その他幅広く務めたpuccapucca02氏が、こだわりや工夫についてコメントしました。

◆コンテでのこだわり・意図
puccapucca02氏:「終章後のマスターの癒しになるような」というコンセプトで企画をいただいていたため、全体的にゆっくり優しい日常が流れるようなテンポ感を目指しました。
具体的には、絵本や紙芝居を見ているような雰囲気になればいいなと思い、キャラクターの演技も激しいアクションは控えています。
イベントシナリオについても、終章で何かを得て何かを失ったマスター達と重なるところも多かったのではないかと思います。
花が散ったあとに残る種のように、切ないけれどその先に光が少し見えるような意識でまとめたいと思いました。

◆映像ルックの工夫や難航した点について
puccapucca02氏:コンテで思い描いていた雰囲気を表現すべく、淡くて繊細なアナログチックな方向性を目指しました。
昔の水彩画や紙の質感などを参考にしているのですが、デジタル主流&通常の制作フローのもとでは完全再現は難しく、各セクションの皆さんにご協力を仰いだ形となります。
鉛筆調線画をプランから追究してくださった動画さん、細かい塗りにもご対応いただいた仕上げさん、水彩への寄せを意識してくださった美術さん、デジタルすぎないニュートラルさを目指してくださった撮影さん。また、そういった全セクションの密な連携を許してくださった制作さん。
皆さんの創意工夫に支えられて可能となったルックだと思います。

◆最終的な仕上がりについて
puccapucca02氏:視聴者の皆さんからは「ほっこりした」というお声をいただいたり、武内さんからは「優しいお爺のよう」とのコメントをいただきまして、現場としても当初のコンセプトに沿えたようで励みになりました。
最後のシーンは花咲爺たちに贈るものでもあり、マスターの皆さんに贈るものにもなっていたなら嬉しいです。
武蔵の制作秘話からアニメーションの演出意図まで、多くの裏話が飛び出した今回のスタッフトーク。『FGO』の世界を支えるクリエイターたちのこだわりが垣間見えるステージイベントとなりました。



