『アストラエ・オラティオ』領地宣言はフィーバータイム、“ブルマ”はチーム全体の趣味!? 開発ディレクターのイム氏へのインタビューをお届け【TGS2026】

6つのロールがあり、編成も重要な戦略になるのだとか。

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『アストラエ・オラティオ』領地宣言はフィーバータイム、“ブルマ”はチーム全体の趣味!? 開発ディレクターのイム氏へのインタビューをお届け【TGS2026】
『アストラエ・オラティオ』領地宣言はフィーバータイム、“ブルマ”はチーム全体の趣味!? 開発ディレクターのイム氏へのインタビューをお届け【TGS2026】 全 18 枚 拡大写真

'89年の東京を舞台にした、日常の裏側にある神秘を描く新伝奇魔法RPG、『アストラエ・オラティオ』。現実と魔法が共存する世界で、プレイヤーは“特区庁”の公務員・主任となり、さまざまな人物や事件に出会う――という物語が展開されます。

2026年9月17日~20日にかけて千葉県・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2026では、本作のブースが出展されており開発陣も来日。そこでインサイドでは、ゲームディレクターであるイム・ジョンギュ(Lim Jonggyu)氏にインタビューを敢行しました。本稿では、その模様をお届けします。

画像左がイム・ジョンギュ氏。お気に入りのキャラクターである花盛百杏のパネルとともに。

◆西部劇なら砂漠なのと同じく、“新伝奇といえば東京”だった

──本日はお時間ありがとうございます。まずイムさんがどういった形で本作に携わられているのか、お聞きしてもよろしいでしょうか。

イム・ジョンギュ氏(以下、イム氏)ゲーム全体のディレクションを担当しています。シナリオとアートが作り上げた世界を実際にプレイするゲームにつなげ、ゲームサービスを通じてユーザーの方々に体験を届けることが自分の役割です。

──ありがとうございます。本作は日本のユーザーからの反響もかなり大きく、TGSのブースも盛況でした。こういった盛り上がりについての感想をお聞きしてもよろしいですか。

イム氏多くの関心を寄せてくださっていて、ありがたく思っています! なかでもキャラクターたちにはすごく多くの反応をいただいていて、ありがたいですね。ゲームプレイや物語にまで魅力を感じていただけるよう、本編では様々なコンテンツを提供していく予定ですのでお楽しみに。

──ユーザーの反応だと、“文京の薔薇”メンバーはとくに大きな反響がありましたよね。

イム氏ある意味こちらで狙ったとおりの反響だったので、すごくうれしいです(笑)。

──狙い通り?

イム氏まずはオーソドックスなキャラから紹介した後、一度印象をガラリと返るために大きなインパクトを与えるキャラとして紹介したのが“文教の薔薇”のメンバーでした。狙い通りの爆発を起こしてくれたので、満足しています。

──なるほど(笑)。あの衝撃はたしかに“爆発”だったかと。あとは舞台が“東京”であるというのは、日本のユーザーに大きなインパクトを与えたかと思います。なぜ舞台をそこに?

イム氏“新伝奇といえば東京”だからです。

メディアセッションでもお話ししましたが、新伝奇というジャンルを選択したのであれば、東京は欠かせない要素だと思いました。例えば西部劇だとアメリカの砂漠、ノワールジャンルだとシカゴや香港の裏路地……ジャンルによって、思い浮かぶ都市があると思うんですよ。それと同じで、新伝奇といえば東京なんです。

──なるほど。そう言われるとしっくりきますね。

イム氏そもそも私たちは、新伝奇そのものをそのまま再現するのではなく、再解釈してアレンジすることを目指しているんです。そのためにも軸となるものはちゃんと固めておかなければならない。だからこそ東京という絶対の舞台を軸として置いて、そこからいろいろなものをアレンジしていきたいと思っています。

TGS2026のブースにも東京タワーが。

──期待しています! 試遊では各所に日本のパロディが含まれていましたが、開発陣に日本のコンテンツが好きな方が多かったりするのでしょうか。

イム氏そうですね。いま開発しているメンバーたちは90年代とか2000年代にたくさんのコンテンツに触れていた人が多くて。だからこそ自分たちが良かったと感じたものを再解釈して、皆さんにも感じていただきたい。その良さを共有したいという気持ちがあります。

──具体的にどういったコンテンツに触れられてきたのかなどをお聞きしても。

イム氏いろいろとありすぎて特定の作品を出すのは難しいんですが……ライトノベルや漫画だと、『灼眼のシャナ』とか『とある魔術の禁書目録』でしょうか。あとは『空の境界』とか、『ブギーポップは笑わない』とか。

──おお、個人的に新伝奇と言えば『空の境界』のイメージがあったので納得です。あとはやはりライトノベルが中心と。

イム氏 韓国は昔、日本のカルチャーが正式に輸入できなかったんです。そのあたりが開放されてからは、日本のアニメだったり、コミックだったり、ゲームだったりがたくさん入ってきて、2000年代にはライトノベルが流行したんです。なのでその影響は多分に受けていますね。

あとはゲームだと、『鉄拳』や『ストリートファイター』などのすこし古い対戦格闘ゲームの影響は大きいですね。とくにバトルシステムなどは。

──実際、『アストラエ・オラティオ』のバトルシステムは独特ですよね。あれはどういうところを目指したものなのでしょう。

イム氏我々Dynamis Oneという開発会社は、美少女キャラクターに特化したゲーム会社なんです。なので「キャラクターの魅力をたくさん見せたい!」というところから、それに適したジャンルを探していきました。

そこで一番初めに思い浮かんだのが“対戦アクションゲーム”だったんです。動きや技、戦う方法、そういったものでキャラクターの個性を表現できるのがぴったりだと思いました。

──なるほど。そこで『鉄拳』や『ストリートファイター』などのお話につながってくるわけですね。

イム氏とはいえ『アストラエ・オラティオ』というゲームはPvPではありません。参考にしたのは、コンボを組んでユーザーが自ら“キャラクターを動かすかっこよさ”を作り上げていく部分です。

開発者たちがあらかじめ作ったかっこいい映像を見せるのも、それはそれで良いとは思うんですが、やっぱり自分が考えた通りにコンボがつながったときの気持ちよさは格別ですからね。そういった良さを生み出せるよう、注力して作りました。

──実際、プレイしていてリアルタイムに進行する中で行動を選んでいく形式は斬新でおもしろかったです。とはいえ要素が複雑なので、離脱するユーザーも多そうだとも感じました。

イム氏ゲームとしてはキャラクターを集めるのもひとつの目的ですからね。なので簡単に操作できつつ、そこに戦略性を加えるために行動リソースとなるポイントを入れたバトルシステムになっています。

TGS2026のデモ版では直接プレイしてほしい思いがあったのでロックしていましたが、オート機能に関しても実装しています。カウンターなどの要素もフルオートで実行できるので、操作が難しいと感じる方はそちらを使っていただければと。

──行動の選択肢が多いので、オート戦闘と手動の戦闘ではプレイの感覚に大きな差異が出そうですが。

イム氏その問題は認識していて、オートと手動の中間ぐらいにあたるものが実装できないか考えています。例えば操作をさらに簡単にできるようなワンボタン機能……『ストリートファイター6』に実装されているモダン操作のようなものです。まだ内容は検討中ですが、いずれはそういったものを実装したいです。

──あと戦闘で言えば、先ほど言われていたカウンターの要素も独特ですよね。急にゲージにあわせてボタンを押す必要が出てきてびっくりしました。

イム氏……半分冗談ではあるのですが、個人的にはいまよりもっと難しくてもいいんじゃないかと思うんですよね。周りからは反対されているのですが……。私としては、倍速くらいでちょうどいいんじゃないかと思っています(笑)。

──(笑)。自分も思っていたより遅いなと感じたのでわかります。思っていたより早い位置で押しちゃうことが何度かありました。

──あとはほかのコンテンツについても質問したいのですが、PvPコンテンツなどは考えられているのでしょうか。

イム氏 小規模なものも含めて、現状は何もありません。PvEに特化させていければと思っています。

ただ、個人的にPvPコンテンツ自体は好きなので、何かしら本格的に遊べるものを実装できたらいいなとは思っています

──フレンドやギルドといった要素など、プレイヤー同士で交流できるものはありますか?

イム氏そういった一般的なソーシャルゲームにあるものは実装する予定です。ゲームを通じてコミュニケーションが取れるようなものは重要だと思っていますので、そういった機能は実装しようと考えています。

──そういえば、TGS2026での試遊版ビルドだとチュートリアル的な画面に行ったときに“港区少女たちのまほ活”メンバーたちがスクール水着で出迎えられたのでびっくりしました。なぜあそこに水着の美少女を配置しようと……?

イム氏(笑)。あれはユーザーの参入ハードルを下げるためですね。『アストラエ・オラティオ』は独特なゲームシステムをしていますから、慣れないユーザーも多いと思うんです。だから最初始めるときに「こういうキャラクターがたくさんいて、活躍するので頑張ってください」と。ハードルを乗り越えるためのエネルギーを与えるために配置しました。

──ありがとうございます。それと、アンナだけはスクール水着ではなく競泳水着でしたが、これは今後もキャラクターごとに違った水着が見れると考えてよろしいのでしょうか。

イム氏 ご指摘いただいた部分は、うちのイラストレーターさんたちのすばらしいところですね。同じグループでも、ひとりずつに向き合ってちょっとした特徴を出してくれるんです。ほかのグループもそういった要素はあると思いますので、ご期待ください。

◆領地宣言は“フィーバータイム”。ゲームとしては編成の比重が高め

──本作は3人を編成して戦闘を行いますが、戦闘自体は相手との1対1となるように設計されていますよね。これはどういった意図があってのものですか?

イム氏 まず最も重要視したのは、キャラクターをいかにかっこよく見せるのかという部分です。プラットフォームがスマートフォンですので、画面が小さい中で複数のキャラクターが同時に動いたりすると視線が分散してしまって集中できなくなる。なので、キャラクターは1対1で戦うのがいいと考えました。スマートフォンでも操作しやすい、シンプルな形になっています。

──編成の時点では、どのように戦略性がありますか?

イム氏バフやデバフをどうするのか、入れ替わりの順番をどうするかというところから戦略が生まれます。とくに敵の行動パターンを推測したうえで、「味方とのシナジーをどのように組み合わせるか」を考えながらプレイするのが大きなポイントになります。

──ゲームとしては、バトル中のプレイングと編成、どちらのほうが戦略的な重要度が高いのでしょう。

イム氏ユーザーのプレイ段階によって変わると考えています。初期段階ではキャラクター数も多くはないでしょうから、プレイングのほうが大きいでしょう。ただ、自分の所有するキャラクターが多くなり、敵の種類が多様化すれば、編成の比重がどんどん増えていくと考えています。

ただ、こういったモバイルゲームでは高難度なチャレンジコンテンツなどもありますよね。そこではまたプレイ中の戦略性が重要になってくるようになっています。なので、やはり段階によって変化すると思っていただければ。

比率を全体的に言うならば、編成が7、プレイングが3ですね。編成のほうが重要なゲームにはなると思います。

──ありがとうございます。であればキャラごとの特徴は、どういった形で区分されているのでしょう。いわゆる“ロール(役割)”のようなシステムがあるのかが気になります。

イム氏タンク、ダメージディーラー(DPS)、サポーターという基本的なもの。そこから私たちのゲームならではの特徴として、“ブレイカー”と“アンカー”というものがあります。そしてダメージディーラーは、フィールドに出ている敵に高いダメージを与えるアタッカーと、フィールドにいる敵だけでなく、後ろで待機している敵まで攻撃できるスイーパーの2種類に分かれているので、合計6種類ですね。

──タンク、アタッカー、スイーパー、サポーター、ブレイカー、アンカーと。では独自要素であるブレイカーとアンカーについて、もう少し詳しく伺えますか?

イム氏ブレイカーは、敵を制御する役割です。戦闘ではブレイクゲージというものがあるのですが、そのゲージを大きく削ることができます。ブレイク状態では、敵の特殊な行動なども制御することが可能です。

アンカーは、固有の領地を持つクラスです。“領地宣言”を使って強力なフィールド効果を提供する役割を持ちます。今回のデモ版では、三声瑠奈がそれにあたります。

──領地宣言についてもお伺いしたいです。正直な話をすると、TGS2026のデモ版では効果があまりよくわからなかったと言いますか……。

イム氏領地宣言は、ゲームプレイの中でもかなり重要な機能のひとつですね。キャラクターごとに発動条件が異なり、各キャラクターの特性をうまく活用したときに与えられる“フィーバータイム”のようなものだと思っていただけると。

──発動条件が異なるのですか?

イム氏例えば、ブレイカーなら「敵のブレイクを2回発生させたら発動」するとか、サポーターなら「バフをうまく撒けたら発動」するとか……。アンカーに関しては領地宣言自体がロール自体の特色になっているので、いろいろな条件が重なると発動できるようになります。

──条件はロールごとに固定なのでしょうか。それともキャラクターごと?

イム氏同じブレイカーでも、ブレイク状態にする回数が違ったりします。1回でも領地宣言が発動できるようになるキャラクターがいたり、2回や3回のキャラクターがいたり。だいたいの方向性はロールごとに分かれていますが、一部例外となるキャラクターも存在します。

非常に強力なキャラクター固有の能力ですので、ぜひ今後もまたプレイできるタイミングがあれば、期待していただければと思います。

──CBTでは、そういった条件なども確認できると思っていいのでしょうか。

イム氏はい。各キャラクターに発動までのチュートリアルも用意していますよ。

──なるほど。それにしても“領地宣言”っていう言葉はちょっと不思議ですよね。一般的な必殺技っぽさがないというか。

イム氏本作は新伝奇以外のテーマとして“行政”というものがあります。その行政に関連するコンテンツとして、領地や地域の管理というものがあるんです。その領地という要素を戦闘にまで拡張した結果生まれた単語であり、シナリオディレクターのセンスが結実したものだと思っています。ロマンがありますよね(笑)。

──では“領地宣言”という行為自体、シナリオ上重要なものなんでしょうか。となるとアンカーのクラスになっているキャラクターは、物語的に特別な立ち位置になっているような気がしてならないのですが。

イム氏それに関しては……ちょっといま話すわけにはいきませんね。ぜひとも本編のシナリオを楽しみにしてください!

◆シナリオはグループごとに展開される形式。CBTでもその一端が

──今回のTGS2026で体験できたシナリオは、本編においてどういった位置にあたるのでしょう。

イム氏CBTで体験できるところの、いわゆる0話ですね。まだ1話にも行っていない、プロローグにあたるところです。

──「ここで終わるの!? もっと見せてよ!」という気持ちになったので、すごく楽しみです(笑)。

イム氏狙い通りですね(笑)。

──メインストーリー以外にも、キャラクター固有のシナリオは用意されているのでしょうか。

イム氏“自由時間”という、90年代の恋愛シミュレーションゲームみたいなコンテンツを用意しています。誰と時間を過ごして、どういう関係を築いていくのか……そういったことが楽しめるコンテンツになっています。

──今回のTGS2026デモ版で0話のシナリオを読んだとき、空気感を味わってパッと思い浮かんだのが“新海誠”監督だったんですよね。実際、どういった雰囲気や方向性を目指しているのでしょうか。

イム氏そこはシナリオディレクターさんの領域ですので、説明するのは難しいですね。ただ、そのシナリオディレクターさんはセンスがとても良い方なんです。コメディとシリアスによるギャップの作りかたとか、適切なセリフの入れ方とか。本編にもたくさん良いシーンがありますので、楽しみにしてもらえればと思います。

──触れられる日が楽しみです! あとストーリーで言えば、期間限定イベントのようなものでもシナリオを用意されていたりするのでしょうか。

イム氏 その辺りはCBTでどのようにサービスを提供しようとしているかがわかっていただけるかなと思います。シナリオ以外にも、シナリオに紐づいたさまざまなコンテンツをパッケージングして提供することを考えています。

──実際、CBTではどういったことを体験できるのでしょう。

イム氏 今回のCBTに関しては、3日間くらいのプレイサイクルを作ることを考えています。ゲーム本編にあたるものをすべてお見せすることはできないのですが、それでも一通りは。例えばストーリーを読んで、バトルをして、キャラクターを成長させて、あるキャラクターの日常をちょっと覗き込んでみる……みたいな、ひと通りのサイクルが体験できるように準備しています。

──シナリオはどれぐらいの量用意されているのでしょう。

イム氏この世界についてある程度理解できるようなボリュームのシナリオは用意しています。プロローグパートなどは全部楽しめるようになっていますよ。

──キャラクターやグループごとの物語も見られると思っていいのでしょうか。

イム氏そもそもメインのシナリオ自体、グループや地域単位での進行になっています。“メインシナリオ”という固定の流れが1本あるというよりは、様々な地域での話が並行して進んでいくようなものだと思っていただければ。

──なるほど、非常に気になりますね……。キービジュアルも印象的ですが、こちらもストーリーに関わってくると思ってよいのでしょうか。

イム氏 それもストーリーを読んでいただくと、「キービジュアルはこういうことだったのか!」と分かってくるかと思います。

──あとストーリーやPVで1点気になったのですが……。

イム氏……? はい。

──ブルマは誰の趣味なんですか?

イム氏(笑)。誰かひとりというより、全員の好みですね。すばらしいチームによる仕事です。

──信頼に足る、すばらしい現場だと思います。それでは最後に本作を楽しみにしているユーザーの方々へ向けて、メッセージをお願いいたします。

イム氏 『アストラエ・オラティオ』はこのTGSでやっと第一歩を踏み出したところです。皆さんに見せたいシナリオやキャラクター、世界観などをたくさん用意していますので、ぜひ楽しんで遊んでいただければと思います。まずはこの近日中に開催されるCBTを、なにとぞよろしくお願いします

──ありがとうございました!

《オクドス熊田》

オクドス熊田

1998年生まれ。川に潜って魚を捕ったりゲームしたりテキストサイトを読んだりしていたらいつのまにかフリーライターになっていた。現在は紙面、web問わずいろいろと活動中。好きなレーンはTOPレーン。ソウルチャンピオンはタム・ケンチ。

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