『餓狼CotW』Switch2版リリース記念でSNK本社ツアーに潜入! 『東リベ』コラボや「背中を焼かれながら」月1でキャラ追加を続ける開発チームに迫るインタビューもお届け

『餓狼伝説 City of the Wolves』のSwitch2版の発売を記念してSNKの大阪本社に潜入! 開発陣を直撃した

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『餓狼CotW』Switch2版リリース記念でSNK本社ツアーに潜入! 『東リベ』コラボや「背中を焼かれながら」月1でキャラ追加を続ける開発チームに迫るインタビューもお届け
『餓狼CotW』Switch2版リリース記念でSNK本社ツアーに潜入! 『東リベ』コラボや「背中を焼かれながら」月1でキャラ追加を続ける開発チームに迫るインタビューもお届け 全 23 枚 拡大写真

2026年10月22日(木)、『餓狼伝説 City of the Wolves(以下、CotW)』のNintendo Switch 2版が発売されます。

シリーズ26年ぶりの新作として2025年に発売された『餓狼伝説CotW』は既に大きな人気を獲得しており、現在展開されているシーズン3「DESTINED FOR REVENGE」では驚異の「毎月の新キャラリリース」を継続中。

懐かしのキャラクターだけでなく、10月には『東京リベンジャーズ』からドラケンとマイキーが、そして12月には『鉄拳8』から麗奈が参戦と、コラボキャラクターの登場も大きな話題を呼んでいます。

今回はそんな『餓狼伝説CotW』を開発しているSNKの大阪本社で開催されたメディアツアーの模様をレポート。貴重な社内の光景に加え、気になる開発の裏側も次々と飛び出した開発者へのインタビューもお届けします。

最新のモーキャプから懐かしのギターまで、SNK本社を見学

ということで、やってきたのは新大阪のSNK本社。エントランスにはいきなり歴代作品のポスターやフィギュア、そしてネオジオ本体などファン垂涎の展示エリアが設けられており「ゲーム会社に来た!」感覚をいっぱいに味わえます。

貴重なものばかり

2023年に移転したばかりとあって真新しい内装が印象的な社内は、いたるところにパッケージやアーケードゲーム機が展示されるなど遊び心が満載。会議室にも「覇王丸」「庵」「ギース」など歴代SNKキャラクターたちの名前がつけられており、それに合わせた内装になっているのも、SNKならではですね。

社内では「じゃあ14時に不知火舞で」という会話も当たり前とのこと

そして、今回の社内見学ツアーではさらに実際に開発を行っているエリアも見せていただけることに。まずはモーションキャプチャースタジオを見学します。

こちらはロビーの目の前なのですが、なんと従来はエントランスだったというエリア。巨大なLEDモニターがあるのもそのためで、こちらは映像のレビュー用に役立てられているのだとか。

正面に巨大なモニターがあるとアクターさんにとっても便利

スタジオ内には44機の高性能カメラが備わっており、モーションキャプチャースタジオとしての能力は最高峰。実際に『餓狼伝説CotW』の開発にも活用されており、より生身のような「解像度の高い」アクションが実現可能に。もちろんゲームならではの超人的な動きなど手付けアニメーションを活用するシーンも多く、これらを併用することで幅広い表現が可能になっています。

『餓狼伝説 CotW』だけでなく他タイトルでの活用も始まっているとのことでしたので、今後のSNKタイトルのモーションは「大阪本社のモーキャプで撮影したのでは?」という目線でも楽しめるのではないでしょうか。

以前からスタジオを借りてモーションキャプチャーを活用しており、その効果を実感した上で自社スタジオを構えることになったそう

続いてはサウンドスタジオも見学。デバッグルームに録音ブース、そしてコントロールルームによって構成されており、スタジオ内での収録だけでなく東京や海外の拠点とのリモート収録も行われるなど、まさにSNKサウンド制作の中心地と言える場所です。

楽器や音響設備に加え、フォーリーサウンド制作の小道具もさまざまに収納されており、実は「草薙京のジャケットが擦れる音はずっと同じ衣装を使って収録している」と、意外な裏話も聞かせていただきました。

「SNK新世界楽曲雑技団」のステッカーが貼られたギターも

社内ツアーの締めくくりには、さまざまなチームの皆さんがそれぞれの“島”で開発に取り組んでいる開発エリアにも潜入。今まさに開発が行われている緊張感ある現場で、『餓狼伝説CotW』クリエイター陣の仕事場を見学させていただける、貴重な機会となりました。

開発陣勢揃いの合同インタビューをお届け

さらに今回はSwitch2版のリリースを記念した合同インタビューを実施。SNKの『餓狼伝説 CotW』チームと、そして移植を手がけたヘキサドライブチームの皆さんへのインタビューとの豪華な2部構成でお届けします。

インタビュー参加スタッフ(ジャパンスタジオ統括本部 第1スタジオより)

  • 近谷 駿斗氏(ディレクター)

  • 山田 清範氏(メインプログラマー)

  • 山本 哲也氏(アートディレクター)

  • 林 竜也氏(Switch2版ディレクション)

  • 山添 浩史氏(サウンドディレクター)

Switch2版には「ヒール問題」解決の不知火舞のクラシックコスも

――まずはSwitch2版について、近谷ディレクターから簡単に紹介いただけますか?

近谷:『餓狼伝説 CotW』は昨年発売させていただいたタイトルで、この度10月22日にSwitch2でも発売となります。登場キャラクター数なども既に発売されている他機種版と同じで、動作も60fpsが確保されていますので、「外で持ち歩いてみんなでワイワイ楽しめる対戦ができる『餓狼伝説』」になっております。

――Switch2版では予約特典として「クラシック 不知火舞」のコスチュームが登場しますね。

既にリリース済みのプラットフォームでも舞、そしてテリー・ボガードのクラシックコスチュームは同時に有償DLCとして配信される

近谷:今作の舞はライダースジャケットにハイヒールという衣装になっておりますので、クラシックコスチュームの忍装束にそのままモデルを利用すると(足袋とヒールの差で)足がどうしても浮いてしまうのが問題になっていたのですが、それをアートチームともたくさん相談して、なんとか解決してリリースできることになりました。

山本:忍装束は要望も多かったですし、今作で新しい舞のイメージが定着できたかなというところへ、アレンジコスチュームとして出させていただくことになりました。

――ヒール問題ですが、具体的にはどういった風に解決されたのでしょうか。

山本:かかとが上がっている靴とそうでない場合では歩幅などが変わるので、どちらの場合でも同じ距離だけ進むようにモーションを調整しています。移動値が変わってしまうと性能も変わってしまうので、そこは細心の注意を払いました。

近谷:モーションだけでも軽く数百個はありますよね。

山本:そうですね(苦笑)。

山添:アレンジコスチュームでは衣装もレザージャケットから着物に変わりますし、足音も変わるので、サウンドでの差し替え作業もそれなりにありましたね。

『餓狼伝説 CtoW』の舞はライダースーツとヒールが印象的(画像はYouTubeより)

――舞のコスチューム実現のためにかなりの苦労があったのですね……! Switch2版では他プラットフォームとの違いなどはあるのでしょうか。

近谷:まず違いとしては、Switch2ならではの機能としてamiiboに対応しているので、持っていらっしゃる方は一度スキャンしてみてもらえると良いのではないでしょうか。

一方で、皆さんが気になる大きなポイントと思われる実際に操作する際のプレイフィールについては、既存の機種版と差が出ないように色々と調整していただいたので、ほぼ同じ感覚で遊べるかなと思っています。

『東リベ』や『鉄拳8』など、コラボの裏側は……?

――そして、Switch2版の発売と同タイミングの10月22日には『東京リベンジャーズ(東リベ)』とのコラボキャラクターとして「佐野万次郎(マイキー)」と「龍宮寺 堅(ドラケン)」が参戦します。通常の『餓狼伝説』のキャラクター作りに比べて、何か違いはありましたか?

近谷:テリーやロック(・ハワード)と言った過去作に登場したキャラクターですと、20年以上前の前作と比較して「いかに現代風に表現するか」という考えが作り方のポイントになっていくのですが、 こと今回のコラボにおいてはまずルックに合わせた調整もしなければいけませんし、いかに本人たちの雰囲気を消さないような戦い方でキャラクターを立てるかという部分を考えました。

例えばマイキーなら蹴り技がすごく強いというベースがあるので、それを戦いながら感じてもらえるようにしていますし、ドラケンは根性のある喧嘩スタイルと言いますか、かなりパワフルで力強い印象があったので、そこをREVアクセルなど本作のシステムに合わせた上で表現できるように頑張りました。

山本:コラボの際はIPからキャラクターをお借りすることになりますので、モデリングでは原作やアニメの雰囲気をしっかり再現できるように作成しています。今回ですと顔は特にどの角度から見ても原作の雰囲気を損なわないよう注力していますね。

山本氏の仕事風景(©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会)

あとは動きについても、マイキーもドラケンも『餓狼伝説』のキャラと違って「パワーウェイブ」のような派手なエフェクトの技を持っているキャラクターではないので、個性をいかに必殺技として落とし込むかは色々と模索しました。

最終的にはエフェクトで差別化を図ろうという考えになり、マイキーであれば蹴り技主体なので砂煙があがる演出を取り入れていますし、マイキーは赤と黒のエフェクトで少し日本らしい感じにしつつ、ドラケンは原作のイメージカラーに合わせてピンクのちょっと派手なエフェクトにするなど、(特徴を)落とし込みながら作っていきましたね。

――12月には『鉄拳8』から「麗奈」がコラボ参戦することも発表されました。今回の『東リベ』コラボを含めて幅広いコラボを展開されていますが、こういったコラボの経緯や背景などを可能な範囲で教えていただけますか。

近谷:やはり『餓狼伝説』シリーズは長く続いている作品ですので、必然的にファン層も長く支えてくださる方が多くなっています。そこで新しい方々にも『餓狼伝説』に興味を持ってもらうためにはどうしたら良いんだろうと色々と考えながら、現代の漫画やアニメが候補に挙がって「『東京リベンジャーズ』が良いんじゃないか」という決まり方をすることもありますね。

他にも既に『ストリートファイター』シリーズとのコラボが実現していますし、『鉄拳』シリーズも『7』でSNKからギースがコラボ参戦したこともありました。そういったシナジーや色々な条件の中から、楽しんでもらえるキャラクターは誰が良いのかなと選んでいくこともあります。

――新しいファン層の獲得や認知に繋がっている実感はありますか。

近谷:今がSNSの時代で良かったと言いますか、検索をかければ色々な反応が見られますので「このキャラで戦って楽しかった」「この技めっちゃかっこよかった」というリアクションも目にしています。普段SNKのことを呟かない人たちからのリアクションもあるところを見ると、やっぱコラボは裾野を広げることに繋がっているんだなと感じますし、この経験を経て勉強できることも色々とありますので、挑戦して良かったなと思っています。

△Adoさんとのコラボムービーなど、ゲーム外でもさまざまなアプローチを展開

――今回の『東リベ』コラボをきっかけに初めて格闘ゲームに触れてみようという人に向けて、何かメッセージをいただけますか?

近谷:格闘ゲームはどうしても難しいイメージがあったり、なんなら「難しいことができて初めて一人前だよね」という風潮もあったりと、色々なハードルがあるとは思います。ただ、その辺は気にせずに、自分で使っていて「いかに楽しいか」「いかに気持ちいいか」だけを見て、まずはキャラクターを触ってみて欲しいですね。

今作は(ワンボタンで必殺技、ボタン連打でコンボが出せる)スマートスタイルもあるので、ボタンを連打しているだけで敵を倒せるようにはなりますし、そこからREVゲージなどのシステムに触れていってもらえたらと思います。

そこで「面白いな」「自分、このゲームいけるな」って思えたなら難しい要素に飛び込んでくのもひとつの楽しみ方かなと思うので、まずは「新キャラクターが出たんだ。1回触ってみよう」「楽しいな。他のキャラも見てみよう」となってくれるのが一番嬉しいですね。

お気に入りの作品で彩ってある、近谷氏のデスク

山添:『餓狼伝説』ユーザー視点からすると「『東リベ』から暴走族の2人がやってきた」というコラボになりますが、『東リベ』ファンの方からすると自分たちの好きなキャラクター、マイキーとドラケンが違う世界に参戦した格好になりますよね。

今回はアニメの劇伴で使われてる曲をジュークボックスに実装しているので、馴染みのあるアニメの“アガる”曲をバックに、違う世界の人たちと戦う姿を味わうという視点で楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています。

――今回はドラケンとマイキーの参戦ですが、こういった場合のコラボの人選はSNKさんによるものなのでしょうか?

近谷:まずはSNK側から提案させていただきますが、先方さんにも当然「このキャラクターはこういうイメージなのでダメです」というルールもあるので、提案から話し合いをして決めていくイメージが一番近いですかね。

山田:それで言うと、マイキーはOKが出たんですね。

近谷:許してもらいました(笑)。僕らも原作の漫画を読んでいるので、表現を上手く変えて原作が好きな方も少しは納得していただけるような努力は入れています。

山本:格闘ゲームである都合上、まったく女性を殴らないのは難しかったのですが、どこかにそういうネタを仕込めたらなと思い、今回は(必殺技の演出が男性キャラクターと女性キャラクター相手とで異なる演出を)やらせていただきました。

――『東リベ』がコラボできるとなると、他にもあらゆるコラボが可能なのではとファンの期待値も高まっていると思いますが、今後に期待しても大丈夫でしょうか。

近谷:そうですね。変な言い方ですが「想像するのは自由」ですので、ぜひ「これが来たら楽しいだろうな」と想像してもらって、もし本当に実装されたらすごいなと盛り上がりますし、予想が当たらずとも「未来永劫絶対にあり得ない」なんてことはありません。戦ってみたいキャラクターを想像しながら遊んでもらえると、楽しい待ち方になるのではないでしょうか。

写真右から近谷氏、山田氏、山本氏

――SNKさん的にも、ファンの皆さんの予想や想像は良い楽しみ方として認識されているということですね。

近谷:そうですね。これまでも『ストリートファイター』や『北斗の拳』コラボがあったので、シーズン3「DESTINED FOR REVENGE」のシークレット枠が出た時には「この人だ」「いや、あの人だろう」と想像されているのを見ていました。中には「REVENGE」というキーワードからヒントを得て、すごく鋭いことを言っている人もいましたね。

山田:あれは楽しかったよね(笑)。

近谷:「こういうキャラクターが望まれているよね」という状況は常に見てはいますし、そのキャラクターたちを『餓狼伝説』の世界に合わせて出せるかを考えています。例えば、めっちゃ武器を使うキャラクターなら『サムライスピリッツ』の方が合うんじゃないかな?とか、そういった選び方の目線はありますね。

――他社のIPコラボとは逆に、SNK作品からの登場も数多くありますが、そこには何かライン設定や基準などがあるのでしょうか。

近谷:これは将来的にどのキャラクターが可能性がある・絶対にないみたいな話ではないのですが、基本的には武器を使うキャラクターは入れない方が良いんじゃないかというルールのようなものが『餓狼伝説』には存在します。

例えば『月華の剣士』とのコラボなら『サムライスピリッツ』の方がシナジーがあると思いますし、八神庵も出せはするでしょうけれど、そうなると『ザ・キング・オブ・ファイターズ(KOF)』との垣根がなくなっていきますよね。そういった部分をどう捉えていくかは、今後考えていくことかなとも思っています。

「止まったら焼かれる」思いで走り続ける“月1”のキャラ追加

――そうしたコラボもそうですし、Switch2版にも取りかかりながら今年は「毎月新規キャラクター追加」というとんでもないスケジュールで進行されています。かなり大変な作業と思われるのですが、ぜひ各部門の皆さんの「ここが大変」というお話を聞かせていただきたいです。

近谷:大変だったなということはいっぱいありますね(笑)。少しベクトルは違うんですが、「今世に出ているもの」と「今作っているもの」の乖離がどんどん進んでいくのが難しいですよね。やりたいことから逆算して色々とスケジュールを決めていかなければいけませんし、求められているものがあったとしても決定から実装に至ると何ヶ月もかかるので、その時間のギャップには毎回考えさせられています。

――確かにそこは難しいですね。プログラマー目線ではいかがですか。

山田:本当に1日1日の時間が切羽詰まっていると言いますか……(笑)。いかに早く作れるかは常に考えつつ、でも失敗もできないので、技術的な話ではないですが「1日を大事に大事に」という感覚になりますよね。

近谷:キャラの追加だけじゃなく、僕らから「このシステムを新しく入れたいんだけど」みたいな要望もありますからね。

△アップデートによって機能も随時追加されている

山田:やれるだけやってみて、残り時間を見てやりくりしながら続けていますね。

山本:アートも同じくで、やっぱり月に1体追加となると1バージョンでのスケジュールがめちゃくちゃタイトなので、進行管理のスタッフにもきっちり細かく「ここまでにアートを締めて、ここで実装するよう調整するよ」とお願いしています。毎月これが繰り返されていて、色々なスタッフの頑張りもあってなんとか配信できているなと思いますね(笑)。

キャラ配信以外の部分でも新しいアートの素材が必要になったり新仕様が必要になったりということがあるので、1日を大事にやっていく感じですね。

林:Switch2移植の視点ですと、毎月1キャラクター追加っていう過密なスケジュールを組んでる中で、新プラットフォームに対応するラインを組む大変さもありますし、Switch2への対応によってUnreal Engineのバージョン更新の作業もあって、これを合間に入れていくのはなかなかにトリッキーでしたね。

キャラクターだけでなくUIの大幅改変が入ることもあって、Switch2版の開発でもそれに巻き戻って対応して……という苦労はありました。

林氏

――ありがとうございます。サウンドチームとしてはいかがですか

山添:同じく月1での追加はご想像の通りめちゃくちゃ大変で、複数のキャラクター開発が並行して走っているので、データ管理や差異が出ないように注意するのも難しかったですね。ただ、もう月1での配信は決まっているのでそれは最低限と言いますか、それ以外にもそれぞれのバージョンの試作もありますし……。

これをこなすのでヘトヘトではあるんですが、それでも「なんかできへんか」と探すことは心がけようとは思っていて、例えばブルー・マリーの配信タイミングではサウンドが自主的に「歌を乗せよう」と発案しました。作業中は「通常の配信でめちゃくちゃ大変やのに、なんでこんなんやるって言い出したんや」と思いもしたんですが(笑)、完成版を見たユーザーが喜んでくれたら、やった甲斐があったなと思えました。少しでもサウンド面から貢献できるものはないか、同時に考えるようにしています。

――キャラクター参戦時にはアニメーショントレーラーが公開されることもありますよね。

近谷:アニメはまた専門のチームが動いていて、「このキャラクターが出ますよ!」というタイミングで最大限アピールできるような形をとってもらっています。となると必然的に全キャラ欲しいところではあるんですが(笑)。

山添:月に1体のキャラクターだと普通の収録をこなすだけでもテキスト量が膨大なので収録時間が長くなるんですが、さらにアニメの収録があると収録だけでエラいことになってますね。台詞は翻訳もあるので膨大な作業量になっていますけれど、アニメもやっぱり喜んでもらえるので、やればやるだけの価値はあると感じています。

山添氏(サウンドスタジオにて)

林:ショートムービーとかも、発表のかなりギリギリに仕上がってくることがありますよね。いつもそれを横で見ています(笑)。

△舞のダンスも話題になったロングアニメーショントレーラー

――なるほど。もしかしてSNKさんの中には月1配信を可能にする裏技があるのかもしれないと思っていたのですが、大変であることには変わりないのですね。

近谷:慣れてきてはいますけれど「ずっと背中に炎が迫っていて、止まったら焼かれる」と思いながら走っていることには変わりないですね。背中が熱いのはずっとです(笑)。

――もう月1体が余裕になったから『東リベ』コラボが2体同時になったのかと思いました。

近谷:いえいえ(笑)。2体登場するのも、ずっと「どうするどうする?」と話し合いながらやってきた感じです。

――このペースのアップデートはいつまで継続したいと考えていますか?

近谷:できる限りやりたいなとは思っています。やっぱ色んなキャラクターを見たいと言っていただけるのが1番大きいかなと思っていて、それが「年に〇体」と縛ってしまうと「その色んなキャラクターが出せるまでに何年かかんねん!」となってしまうじゃないですか。

――キャラクターが増えるほどバランス調整も大変になってくるとは思いますが。

近谷:これは、もう「頑張る」以外ないですね。何か楽になるツールが生まれてくることはないですからね。

調整に関してはeスポーツシーンも存在するので、大きな大会があるタイミングに被らないようにするなどの兼ね合いも発生します。今のうちから「来年の1月を目指しましょうか」とか「じゃあその半年後の8月は……でもEVOがあるな」とスケジュールを見ながら規模感と調整の内容を決めていくみたいな感じです。

――大会が詰まっている時期だと大規模な調整は控えるということですね。

近谷:そうですね。選手が(大会へ向かう)飛行機に乗っている間に別の性能に変わってしまったら、それまで練習してきたことが……ということもあると思うので。ただ、実際は1月から12月まで大会のない月というのはほぼ無いので、そこは塩梅を見ながらですね。

調整チームの方たちが日頃から色々と大会などの情報やランクマッチのデータなどを見つつ「今は誰が強くて、もうちょっとこうしたらいいんじゃないか」と常々話し合いながら、大きなところに合わせていく。といったイメージを持っていただけると(実情に)近いかなと思います。

――ここまでコラボを中心に聞いてきましたが、11月に追加されるラオコーンは1994年公開の劇場アニメ『餓狼伝説 -THE MOTION PICTURE-』からの登場です。今では「忘れられたキャラクター」とも思えたのですが、逆にここにフォーカスしようとなった背景はなんだったのでしょうか。

近谷:きっかけは、大張(正己)監督が主体となってギースのアニメーションを制作できるとなったことですね。ちょうど『餓狼伝説 CotW』にはボスキャラクター、ヒール的なキャラクターが多くないので、昔のアニメからの登場ではラオコーンは非常に大きなアイデアになるのではと考えたんです。そこで大張監督にも打診をして、制作できる運びとなりました。

恐らく当時の映画を見ていた人たちはラオコーンとテリーが戦うところが見たかったはずです。その当時の夢を、すんごい時間かかっちゃいましたけれど、叶えられれば喜んでもらえるんじゃないかなと。

社内エントランスには歴代作品のパッケージやグッズも

――実際の反響はいかがでしたか。

近谷:やっぱり「ラオコーンだ!」という反応は多かったですし、ちょこちょこ「どうすんねやろ?」という意見もありましたね。映画を知っている人ほど「ラオコーン相手にどうやって戦って、どうやって勝つんだろう」と期待してもらっているなと、見ていて感じました。

――今後はラオコーンのような、これまで限られた登場だったキャラクターの可能性も考えられますか。

近谷:一概には言えないのですが、『餓狼伝説』のキャラクターを全員並べたとして、まずローンチや前作で出ている優先度の高いキャラクターが登場しますよね。そこから『KOF』など既に出番があったキャラクターよりも、どちらかと言えば「初3D化」になるようなキャラクターを優先して選んでいきます。そしてまた『KOF』で登場していても有名で多くの人が待っているキャラクターも列に並べて再び選考して……といった感じ(の選ばれ方)ですかね。

ユーザーの皆さんがどんなキャラクターを待っているだろうとか、今まで3Dモデルになったことがないとか、すごくいい設定を持ってるのに出てこれていないから出したいとか……。どのキャラクターにもすごい熱量で声が届いてはいるので、その中からどういう風に選んでいくかという話になりますね。

――お話いただける範囲で、候補についても触れていただくことは可能ですか?

近谷:それこそ、例えば秦兄弟など秘伝書関係のキャラクター、女性キャラクターが少ないので千堂つぐみやシャンフェイ(李香緋)もありますし、悪役がもうちょっと欲しいので山崎(竜二)など、本当に色々なキャラクターがもちろん候補の中にいます。

悩みどころは、例えばタン(・フー・ルー)先生を出したいとなったとして「今何歳なの!?」みたいな(時系列の)問題ですよね。そういった色々な制約と言いますか、考え方も加味しなければいけません。

――そして、もちろん完全新規のキャラクターという可能性もありますよね。

近谷:そうですね。ローンチでもジョー・東の弟子であるブリチャ、カインの下にいたボックス・リーパーと2人登場していますが、お話の中では牙王などのキャラクターも出てきていますし、彼らを表にどんどん出していきたいなっていう気持ちもありますね。

――ありがとうございます。今後の展開に期待しています。

ギースとクラウザーがハードルに⁉ Switch2移植秘話

インタビューの後編では、『餓狼伝説CotW』のSwitch2移植をSNKと協力して手がけたヘキサドライブより代表の松下氏、そしてエンジニアのおふたりにも参加していただき、気になるSwitch2版の最適化についてもお話を聞きました。

インタビュー参加スタッフ(株式会社ヘキサドライブより)

  • 松下 正和氏(代表取締役社長兼CEO)

  • 栗比 真志氏(リードプログラマー)

  • 兼高 空氏(プログラマー)

プレイヤー目線でこだわった「プレイフィール」と「60fps」

――改めて、この度Switch2版を開発・リリースすることになった背景をお伺いできますか。

林:やはり新規のユーザー獲得が一番の目的です。既にリリースされているハードと比べてもSwitch2は若いユーザーが多いので、そういった層にも『餓狼伝説 CotW』をアピールするためにも、開発が決まりました。

――前半のインタビューと共通する内容もあると思いますが、改めてSwitch2への移植で技術的に苦労した点などあれば教えていただけますか。

栗比:一番最初に苦労した点が、『餓狼伝説CotW』で使用していたゲームエンジンのバージョンがSwitch2に対応していなかったため、まずはエンジンのバージョンアップから始まったことですね。

最新のバージョンを使用してアップデートを行っていたんですが、色々と問題が発生し、その解決に結構な時間を要しました。しかも、修正が終わったと思いきや、その期間に本編(※ここではリリース済みの他機種版のこと)はまたバージョンが進んでいるので、またその差分を追いかけることになるのも大変でしたね。

兼高:私も同じですね。やはり運営型のゲームですので、バージョンが上がるにつれて弊社での開発環境との差が生まれて、そこに追いつくよう対応を入れていくんですが、その度にビルドエラーや想定しない挙動などが発生してしまい、ひとつずつチェックをしながらバグを潰していった作業で苦労がありました。

写真左から、松下氏、栗比氏、兼高氏。兼高氏の「FATAL FURY」シャツは自前なのだとか

――移植の準備と言いますか、最序盤の段階でまず大変だったんですね。

兼高:そうですね。そしてSwitch2版として動作するようになったタイミングで、次は格闘ゲームなので60fpsで動くようにしなければいけないのですが、最初に動かしてみると低いフレームレートしか出ない場面もあり、改善のための対策を入れようにも本編の負荷軽減とマッチしない部分もあったんです。

そこで一部はSwitch2版専用の対策を入れることになったのですが、本編で動いてる処理に影響を与えないように入れないといけないので、工夫が必要でした。

――やはり機種が異なるとメモリなどの環境も異なるので、難しさがあったのでしょうか。

栗比:今回はメモリに関してはそこまで大きな問題ではなかったのですが、基本的にはフレームレートの担保と、クロスプレイ時に遅延が発生しないようにするところを重視していました。他機種版と同じ体感で遊べるように、色々と工夫がありました。

兼高:まずは絶対に60fpsを担保することがメインで掲げた目標ではあったのですが、かといって画面がボケボケの状態で出していい訳でもないので、既存のグラフィック処理に加えてSwitch2版ではDLSSを導入しました。グラフィックで描画されたものにAIによるアップスケーリングを加えて映像を綺麗にする技術で、本編の見た目と比べながら動的解像度とDLSSのバランスを調整しています。

――Switch2は操作デバイスの選択肢がかなり多いプラットフォームでもありますが、そこへの対応はいかがでしたか。

兼高:「スティックとそれぞれの親指にボタンが4つ、人差し指(と中指)にもボタンが4つ」というのがよくあるゲームパッドの構造ですが、Switch2版ではJoy-Con 2を横持ちすることで人差し指のボタン数が減ってしまうのが課題でした。

『餓狼伝説 CotW』はアーケードスタイルとスマートスタイルの2種類の操作方法があり、このうちアーケードスタイルの方はボタン数が減っても問題なかったのですが、スマートスタイルではボタンが減ることで割り振れない操作が出てくるんです。

「おすそ分け通信」などJoy-Con 2を横持ちでプレイするユーザー層を考え、簡単にコンボが出せるスマートコンボボタンは絶対に必要で、REVブロウボタンも欲しいはずと、独自のキーアサインを検討しました。もちろん、コンフィグから自由に割り当てを変更できますので、プレイヤーさんが独自の操作スタイルを探していただくのも可能になっています。

――バージョンを追いかける作業のお話もありましたが、発売後は同時にアップデートされていくんですね。

林:そうですね。既に本編もSwitch2対応版になっているので。それまでが大変でした(笑)。

松下:現場もずっとプレイしてたもんね。

兼高:そうですね。自分は元々『餓狼伝説CotW』をリリースからプレイしていた人間だったので、今回の移植のお話が来たときは「自分の経験が生きるかもしれない!」と興奮しましたね(笑)。

移植ではありますが、やはり格闘ゲーマーとして大事にしたい部分は自分のプレイヤー目線での意見として開発メンバーと話しながら進めていました。例えば「出先でもトレーニングモードで技の研究をしたいな」というニーズがあったとして、プレイフィールが変わってしまっては意味がないですよね。Switch2という持ち歩ける機種で遊べる意味を損ねてしまわないよう、そういったところはこだわりました。

――60fpsの担保、そしてプレイフィールの維持という観点で難しかったキャラクターなどはありましたか?

兼高:(ナイトメア)ギースや(ヴォルフガング・)クラウザーはちょっと苦労しました。REVアクセルを使うと残像が発生するのですが、特にこの2キャラクターの時はどうしても重たくなる現象が発生してしまい、そこは栗比やSNKさんとも相談しつつ対応を進めていきました。

林:この2キャラクターはポリゴン数の多いモデルなので、事前に重いだろうなとは分かっていたんですが、やっぱりでしたね。

(画像はYouTubeより)

兼高:全キャラクターを全ステージで使用してのパフォーマンス計測を弊社でも行って、そこで発覚しましたね。

栗比:Switch2は手に持って遊ぶ「携帯モード」だと少しスペックが落ちてしまうので、その状況でギースvsギースの対戦でREVアクセルを使うと60fpsを保てなかったんです。「外出先でも60fpsで遊べる」を担保するため、特にテストではギースとクラウザーをいろんなステージで戦わせて検証しました。

――無事にその状況でも60fpsが担保できるようになったんですね。

栗比:対策として、分身のモデルを見た目に差が出ない範囲で軽量化し、負荷を抑える調整を入れています。

兼高: 青いフィルターがかかったような分身なので、幸いにもポリゴン数を下げても見た目に大きな差異は出ないと発見したんですよね。もちろん、その他の全キャラでもREVアクセルをやってみて見た目に変化がないことを確認し、(動作の)重たいステージでも60fpsかつ見た目にも問題がないことが計測できたので、この最適化を入れました。

Switch2版にも全ステージを収録(画像はYouTubeより)

林:ヘキサドライブさんはSwitchへの移植経験も豊富でしたし、安心できると思ってお願いしました。後発のプラットフォームなので、本編に影響が出ないようアセットの変更はなしという条件でしたが、処理技術で改善していくよう頑張っていただき、助かりましたね。

松下:弊社としてもSNKさんとは初タッグのお仕事でしたし、格闘ゲーム好きの社員も多かったのですがジャンルとしては初挑戦でしたので、我々としても良い経験になると思い(相談を受けて)嬉しかったです。

一般的なアプローチとしてこのような場合において、プレイフィールに影響しない範囲で可変フレームレートを採用するケースもあります。ただ、何度も出ているように格闘ゲームとして60fpsは必須なので、開発チームはこだわって取り組んでいました。

――ありがとうございます。ちなみに、兼高さんのプレイヤーとしての持ちキャラを伺っても?

兼高:この服装でちょっと気まずいのですが、クリスティアーノ・ロナウドです。

一同:(笑)。

△発表時にはサッカー界でも話題となった「クリスティアーノ・ロナウド参戦」

兼高:発表時のインパクトもありましたし、実際に使ってみるとボール捌きによる遊びの幅が広いのが唯一無二の体験で、なおかつトリッキーすぎず、すごく丁寧に作られいて、ハマっちゃいました。今は“スマートロナウド”でレジェンダリーウルフまでランクを上げられました。対戦者も募集しています(笑)。

――それでは最後にSwitch2から『餓狼伝説 CtoW』を遊ぶという方に向けて、メッセージをお願いします。

近谷:発売当初から「携帯機で遊びたい」というご意見は耳にしておりまして、遂にSwitch2でリリースできるようになりました。初めての格闘ゲームという方も、あまり難しい印象を持たずに一旦触ってみたり友達と一緒に戦ってみたりと楽しんでいただけたらなと思います。ぜひ、よろしくお願いします!

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《ハル飯田》

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