【E3 07】本気の注目作品が並んだエレクトロニック・アーツ新作レポート
世界最大のゲームパブリッシャー、エレクトロニックアーツ(EA)。しかし筆者は投資家ではなくゲーマーなので、これまでEAブランドに強く心を揺さぶられることはなかった。ドル箱の「EA SPORTS」や、「ハリー・ポッター」シリーズをはじめとする映画ゲームなど、手堅いが面白みの薄い大作ゲームを連発する会社、という印象が強かったのだ。
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「バーンアウト パラダイス」のマップシステムが大きな力を発揮するのがオンラインのマルチプレイヤーモード。実はこのゲームではオンラインとスタンドアロンの明確な区別がない。オンライン状態にしておくと、他のプレイヤーがどんどんマップ上にアクセスしてきて、1マップ8人まで対戦できるのだ(もちろんシングル専用にもできる)。いわゆるロビー機能がなく、ダイレクトにマップ上にログインし、好きなときにログアウトできるというわけだ。
ここで役に立つのが、すべての通りに名前がつけられ、状況が更新される点。「**通りでバトル」なんて情報交換も簡単にできる。
しかもボイスチャットだけでなく、CCDカメラにも対応しており、レースに負けて悔しがっている相手プレイヤーの表情をキャプチャして収集可能だ。この対戦相手の写真収集が従来のトロフィー収集に相当する面もあり、オンラインで遊ぶことがゲームを極めるためにも大きく関係してきそうだ。
もちろん本シリーズの特徴である「クラッシュモード」もパワーアップしている。なんと、路上のどこでも車を前方にジャンプ回転させ、周囲の車を巻き込んでクラッシュできるのだ。交差点の渋滞箇所などでクラッシュをおこすと迫力満点。ハイウェイからジャンプして渋滞に飛び込み、クラッシュ連鎖などもできる。クラッシュで自車がどんどん破壊されていき、最後には鉄くずの塊になる、などの自虐的な遊びも可能だ。物理エンジンの無駄遣い、アメリカンでスパルタンなバカさ加減が楽しい。
さて、マップがオープンフィールドになると、いわゆる「ステージクリア」の概念がなくなるため、ゲームにメリハリがなくなったり、難易度上昇のループが設定しづらくなりがち。作り手側も、この点にはかなり留意しているようだ。
本ゲームはEAの子会社となったクライテリオンソフトウェアが開発しており、同社クリエイティブディレクターで初代「バーンアウト」の発案者でもあるアレックス・ウォード氏によって開発が主導されている。実はウォード氏は大の日本ゲームフリークで、洋ゲーに見られる大味な展開や難易度設定の甘さなどが許せず、親切丁寧な作り込みや、遊びやすさの追求が信条とのことだった。確かに前作「バーンアウト リベンジ」を遊んだときは、洋ゲーなのに、どこか和ゲーの香りがしたものだった。これなら本作も期待してよさそうだ。
ちなみにEAタイトルはマルチプラットフォーム展開が基本なため、本作のようにPS3・PC・Xbox360タイトルの場合は、Xbox360を基準に作られる。しかし、本作はPSプラットフォームが得意なクライテリオンらしく、珍しくPS3を基本に開発されているとのことだった。公式には発売日未定だが、年末の米国発売もありそう。
最後にもう1作、これも革新的なゲームプレイが楽しめるタイトルを紹介しよう。それが政府に雇われた2人の傭兵が大暴れするミリタリーアクション「アーミー・オブ・トゥー」だ。Xbox360とPS3で、米国では今冬に発売が予定されている。
《小野憲史》
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