オンラインゲーム一週間『「開発中止」乱発への危機感』

急激に気温が下がり、着るものの選択に苦労する10月第一週は、カジュアルゲームに関する印象的なニュースが多く見られました。

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急激に気温が下がり、着るものの選択に苦労する10月第一週は、カジュアルゲームに関する印象的なニュースが多く見られました。

ジークレストは、オンラインゲーム『ビーストマスター(BEAST MASTER)』の開発を中止すると発表しました。ドラゴンやペガサスに乗ったキャラクターが戦う横スクロールシューティングで、多人数プレイやアバターといったオンラインゲームならではのフィーチャーが導入される予定でした。中止の理由は技術的なものとのこと。横スクロールシューティングは、現在数が少なくなりつつあるジャンルだけに、オンラインでの復活が期待されていましたが、残念な結果となってしまいました。

開発中止のニュースは、運営会社だけではなく、プレイヤー感情、ひいては「オンラインゲーム」というジャンルそのものの雰囲気に影響します。お金を取っていないからいい、○○テストだからいい、という種類の問題ではありません。開発中止は苦渋の選択であり、抜き差しならない事情があるのは確かです。そこを敢えて少々オーバーに言うならば、「タイトルを発表したからにはプレイヤーの期待に応える義務が発生している」といっても過言ではないでしょう。βテスト(正式サービス開始前のテストプレイ)が行われたものの、再度開発状態となった『ラグナロクオンライン2』『とぅいんくる』、正式サービスに至らなかった『天元突破グレンラガン超絶発掘ONLINE』など、近年はトラブル絡みのオンラインゲームが増えつつあります。今後はこのようなお知らせが一件でも減ることを祈るばかりです。

MMORPGなどの長時間プレイを必要とするものから、気軽にプレイできるカジュアルゲームを増やすというのは、近年のオンラインゲームの流れ。10月1日(月)はカジュアルゲームのサービスが相次いでスタートしています。

エムゲームは、ゲームポータルサイト「エムゲームポータル」において、Flashゲームのサービスを開始。インディソフトウェアは、ゲームポータルサイト「アドゲー天国」をリニューアルし、Flashゲームを拡充。コールドブレスは、双六をモチーフとしたFlashゲーム『Puppet Guardian(パペットガーディアン)』のサービスを開始しました。

Flashゲームは、Flash Playerがあれば面倒な手順なく、気軽にゲームを楽しめるのが特徴。専門知識が必要だったオンラインゲームも、ついにインストール作業さえ不要に。カジュアルゲームは、ようやく本当の「カジュアル」になりつつあるといえるでしょう。

「エムゲームポータル」「アドゲー天国」では無料かつ登録不要でプレイ可能ですが、『Puppet Guardian』は他のゲームにキャラクターやアイテムを持ち込めるのがウリになっており、正反対の方向性であるのも面白いところ。前者2つが広告収入や集客目的であるのに対し、「Puppet Guardian」はアイテム課金によりゲーム単体で収入を得られる構造となっています。ここには、「カジュアル」さに対する、送り手側の試行錯誤が見てとれます。

インストールが不要であること、内容が分かりやすいこと、どちらも「カジュアル」として受け入れられています。しかし、お金が必要となること、アイテムやキャラクターに思い入れが発生することは「カジュアル」であるかどうかはまだ明らかになっていません。そうした意味で、カジュアルゲームの形態でアイテムやキャラクターの価値を問う「Puppet Guardian」「バルビレッジ」のアプローチは面白いものといえるでしょう。

専門知識を必要とし、コミュニティへの入門が必要となる、ヘヴィなオンラインゲームで手に入れたものこそに価値があるのか。それとも、有料無料を問わず、ゲームの中で手に入れたもの全てに価値が認められるのか。何が人を惹きつけるのか、人は何によってゲームに留まるのか、というわけで、これは家庭用ゲーム機にも通じる命題。ニンテンドーDSでは「実用系ゲーム」という形での回答が行われたのですが、オンラインゲームではどのような答えが出てくるのでしょうか。
Flashゲーム自体がまだ新しいジャンルだけに、今後、どのような試みが行われるかが注目されるところです。

《水口真》

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