【ゲームニュース一週間】-万能コントローラーが問いかける「手触り」
今週はソニーが出願した「ユニバーサル・コントローラー」が話題を集めました。
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「ユニバーサル・コントローラー」は、どんなゲーム機にも対応できるコントローラー。物理的なパッドやボタンを用意するのではなく、触って操作できるタッチパネル上にパッドやボタンを表示することで様々なゲーム機のコントローラーに変身します。
USPTO(米国特許商標庁)には、プレイステーションシリーズを思わせる「○△□×」ボタンが表示されている図と、Xbox360を思わせる「XYAB」ボタンが表示されている図に加え、「PlayStation」「NINTENDO」「Xbox」と書かれたメニュー画面が提出されており、複数メーカーへの対応が視野に入れられていることが分かります。
「ユニバーサル・コントローラー」が実現すれば、コントローラーで散らかり続ける居間への回答の一つとなりそうです。なにしろ「ユニバーサル・コントローラー」一つを用意すれば複数のゲーム機を操作できるのですから。
もしもパッドやボタンを自由に配置できるコンフィギュレーション機能が付いていれば将来的にも安心です。新しいゲーム機が出るたびに、それにあわせてボタン配置を編集すればよいのです。Wiiのように特殊なコントローラーでもない限り、問題なく対応できそうです。
とはいえ、コントローラーは各社の商品ですから、防御策が採られる可能性があります。マイクロソフトはこれまでにもXbox360においてサードパーティ製のメモリーユニットを使用不可能にしていますので、「ユニバーサル・コントローラー」でも同様の措置が行われるかも知れません。
任天堂は周辺機器メーカーNyko Technologiesが「Kama Nunchuk」でWiiのヌンチャクの形状やデザインを盗用したとして販売差し止めを求める訴えを起こしています。この訴訟はNyko Technologies側がデザインを変更することで決着しましたが、コントローラーのボタン配置がデザインであると認められるのであれば、「ユニバーサル・コントローラー」のケースにも応用できる可能性が無いわけではありません。
「ユニバーサル・コントローラー」はパッドやボタンを液晶ディスプレイ上のバーチャルなものにするが故に、ゲームの手触りを変える可能性があります。コントローラーがオリジナルと異なる場合、それは送り手が意図したゲーム体験になるのでしょうか。
ただ、手触りに固執することで可能性が失われるのも確かです。例えばWiiのバーチャルコンソールですが、オリジナルのコントローラーの手触りに固執するのであれば、この企画自体が成り立ちません。ファミコンやアーケードの名作たちがWiiで再評価される機会も存在しなかったことでしょう。
ゲームの手触りを重視するのか、それとも可能性と利便性を重視するのか。
「ユニバーサル・コントローラー」にまつわる議論は、ゲームの本質を問い直すものになりそうです。
《水口真》