ユーザーが盛り上げるゲーム業界 パッケージソフト、ソーシャルゲーム、eスポーツの将来・・・黒川塾(七) レポート

黒川塾は数々のエンターテイメント業界を遍歴した黒川文雄氏が開催する毎月、恒例のイベント。今回も豪華なゲスト陣が招かれ、「僕らのゲーム業界ってなんだ・・・!?」と題し、ユーザー主体でゲーム業界を盛り上げていく方法が議論されました。

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黒川塾(七)
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まず筧氏はeスポーツとはそもそも何かを説明しました。そもそも「スポーツ」の定義には、頭脳や思考力を使った行為も含まれ、将棋やチェスといったものも「マインドスポーツ」というジャンルとして含められています。そこでeスポーツは、そのような頭脳を使ったスポーツの延長線上にコンピューターゲーム、ビデオゲームで行われる競技を指すことになります。1990年代後半から欧米では賞金のかかった大規模なゲームイベントが開催され、eスポーツのプロゲーマーが誕生しています。

現在、eスポーツの中で人気のあるジャンルはFPSとRTS、さらに対戦格闘ゲーム、サッカーゲームです。FPSでは『コール オブ デューティ』、RTSでは『リーグ・オブ・レジェンド』、2D格闘ゲームでは『ストリートファイター』、3D格闘ゲームでは『鉄拳』、サッカーゲームでは『FIFA13』などが人気タイトルです。これらのセールスから考えると、eスポーツの人口は5500万人以上いることになります。もちろん、これらのゲームで遊ぶ人にはカジュアルなプレイヤーも存在しますが、大会が開かれるこれらのタイトルの潜在的なeスポーツの選手はこれくらいの大規模なものになるといいます。

筧氏は実際にeスポーツの大会の映像を紹介することで、海外での熱気を伝えています。インテルやサムソンなどの企業が開催し、ペプシやアディダスといった一流メーカーがプロチームのスポンサーとなって戦う様はほとんどワールドカップのようなスポーツの大会と同じ盛り上がりようです。またFIFA主催のサッカーゲームの大会では、優勝プレイヤーはメッシなどのプロサッカー選手と同等に表彰されるという扱いを受けています。

世界にはこういった大規模なeスポーツの大会は様々あり、既に1億円プレイヤーが存在して、動画配信などで多くのファンたちが楽しんでいます。しかしながら、日本での知名度はいまいちです。以前、海外の有名プレイヤーが来日したとき、「空港にファンが押しかけないのは日本とアフリカだけだ」とコメントしていたエピソードを筧氏は紹介しています。残念ながら日本からこれらの大会に選手を送り出すことができるのは、梅原大吾氏などのトップクラスの格闘ゲームプレイヤーだけであり、日本ではeスポーツの人気は低いといいます。

そのため、筧氏は日本でeスポーツチームの設立を手がけており、現在全国5箇所にチームを設立しました。また千葉県の市川に「e-sprts SQUARE」というeスポーツに特化した施設も作っています。そこではチームに所属する選手がインストラクターになり、初心者に講習などを行なっています。そういった地道な活動で日本にもeスポーツを普及させ、大会を開き、世界に選手を送り出していくことが筧氏のミッションだといいます。

実際に筧氏は「eスポーツ JAPAN CUP」を開催しており、今年1月開催された第4回大会の競技種目は『FIFA13 ワールドクラスサッカー』、『STAR CRAFTII』、『鉄拳TT2』でした。『STAR CRAFTII』は日本での人気が低いタイトルですが、世界的な大会種目に選ばれているため、積極的に採用したといいます。こういった活動が実を結び、最近では新聞やテレビ番組でも取り上げられるようになってきたそうです。さらにeスポーツの専門誌を創刊されたり、今年の東京ゲームショウでeスポーツの大会が行われたり、今年はますます盛り上がるだろうと期待しております。

このeスポーツの盛り上がりに対して、平井氏はユーザーにスポットが当たることを歓迎し、日本ゲームユーザー協会でも協力した取り組みを行なっていきたいと述べています。また子ども時代に、高橋名人などが憧れの存在だったと振り返りながら、今のゲーム業界にはそういったヒーローがいないのではないかと指摘しています。筧氏が目指すのも、まさにそこの部分であり、サッカー選手の長友のように、日本発のeスポーツの選手をもっともっと世界に送り出したいと意気込んでいます。実際に韓国ではなりたい職業の第2位にeスポーツのプロ選手が入るほどの人気だそうです。

また日本では株式会社クアッドアローが開発する「EF-12」という格闘ゲームのプロジェクトがeスポーツに進出する予定です。「EF-12」は誰でも自由にキャラクターをカスタマイズできる格闘ゲームのプラットフォームです。このプロジェクトではゲームバランスを最適化するために、多くのユーザーにキャラクターデータを自由に作成することが可能となっています。開発に関わっている方は、有名な格闘ゲーマーであり、行く行くは「eスポーツ JAPAN CUP」の正式種目を目指しているそうです。

■ジンガジャパンの設立から閉鎖まで:松原健二氏の奮闘記
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《今井晋》

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