『逆転裁判5』のシナリオは、ヨクバリで盛り沢山の満漢全席 ─ シナリオディレクターの山崎剛氏が語る

カプコンは、ニンテンドー3DSソフト『逆転裁判5』の公式ブログにて、シナリオディレクターの山崎剛氏がシナリオ制作の裏話を明かしました。

任天堂 3DS
『逆転裁判5』ロゴ
『逆転裁判5』ロゴ 全 1 枚 拡大写真
カプコンは、ニンテンドー3DSソフト『逆転裁判5』の公式ブログにて、シナリオディレクターの山崎剛氏がシナリオ制作の裏話を明かしました。

『逆転裁判5』は、法廷バトルを主軸に描く異色のアドベンチャーゲームでありながら、魅力的なキャラクターや心地いいプレイ感などで多くのファンを魅了している『逆転裁判』シリーズの最新作となります。『1』~『3』までは、「成歩堂龍一」が主人公として活躍していましたが、『4』では「王泥喜法介」にバトンタッチ。しかし最新作となる『逆転裁判5』では、再び「主人公のナルホドくん」が帰ってきます。

そんな彼の活躍を、文字通り書いたシナリオディレクターの山崎剛氏が、公式ブログにて「シナリオのヨクバリポイント」を公開しました。山崎氏によれば、やりたいことがたくさん思いつき、「それをどこまで実現できるか」という限界と、「自分のヨクバリにどこまで応えられるか」というチャレンジが絡み合ったシナリオとなったようです。

「成歩堂龍一」の復活に関しても、普通に戻ってくるだけでは面白くないと考え、2人の部下を持つ所長になってもらうと決めたそうです。初代『逆転裁判』では新米弁護士だった彼は、最新作では新米所長として苦労するのでしょう。

部下となる2人とは、既報の通り、『4』の主人公「王泥喜法介」と、新キャラとなる「希月心音」。そこに「成歩堂龍一」を加えた三者三様の物語が、『逆転裁判5』では描かれるとのことです。ちなみに、「『5』だから、5人組の弁護士軍団が登場! 結成ナルホド5!」と昔のメモに書いてあったそうです。山崎氏曰く、これはさすがにヨクバリすぎでしょうと、この案が実現しなかったことに胸をなで下ろしていました。

そして『逆転裁判5』に欠かせない存在となりそうな、新ライバル検事「夕神迅」。彼は検事でありながら囚人でもあるという、『逆転裁判』シリーズの中でも異色を放つほど強烈なキャラクターです。とにかく手強い検事を出したかったと述べ、「推定年齢200歳! 不老不死の検事!」「すべての証人を買収する! 億万長者検事!」などの案も出してはボツにしていましたそうです。確かに、これらの検事も色んな意味で手強そうです。

また、シナリオを執筆する時にまず考えることは「事件のシチュエーション」と切り出し、ユーザーにまず興味を持ってもらうことを念頭にしていたと明かします。本作の第1話も、「法廷が爆破」という状況から始まりますし、第2話も「妖怪が人を殺す」といった驚きのシチュエーションが用意されています。そして、執筆中には「どう解決したらいいんだよ!」と、自分のアイデアを呪うそうです。一番の敵は自分、という言葉をふと思い出してしまいます。

ちなみにシナリオ面でのボツ案には、「殺人事件消失事件! 殺した記憶はあるのに死体も殺人の痕跡もない!」「人形殺人事件! なぜ人形は殺されたのか?」などがあったそうです。どちらも大変興味深いものがありますが、「死体も殺人もなかったら裁判が起きない」「人形が殺されても殺人にはならない」と、この案を断念したそうです。

このような様々なヨクバリとアイデアの塊から、シナリオが研磨されていき、まるで満漢全席の如き内容に仕上がったと語られた『逆転裁判5』のシナリオ。シリーズファンはもとより、新規ユーザーも注目せざるを得ないタイトルとなりそうです。

最後になりましたが、山崎氏がヨクバリだったのはシナリオ面だけではなく、グラフィック、プログラム、サウンドなど、色々な役職の方に無理なお願いをしていたそうです。そんな時に発行した「山崎を1発殴っても良い券」が使用されるのを怖れているとのことですが、もし執行されたとしても、この事件に関してのみ「異議なし!」の採決が下ってしまうことでしょう。


『逆転裁判5』は2013年7月25日発売予定。価格は通常版が5,990円(税込)、イーカプコン限定「LIMITED EDITION」が9,990円(税込)、「FIGURE EDITION」が8,990円(税込)、「EXTENDED EDITION」が7,590円(税込)です。

(C)CAPCOM CO., LTD. 2013 ALL RIGHTS RESERVED.

《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

+ 続きを読む

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]

関連ニュース