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1993年/アメリカ
配給:ブエナ・ビスタ, 日本ヘラルド映画
原作:『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂/FC)
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ハリウッドが50億円の制作費を投じて製作された、ゲーム原作実写映画の先駆けと呼べる作品。ニューヨーク在住の配管工兄弟、マリオとルイージが、恐竜人の王クッパが支配する地下帝国にさらわれたデイジーを助ける冒険アドベンチャー。多額な製作費の割には日米ともに興行成績は奮わず、ゲーム実写映画化の代表的な失敗例とされることが多い本作ですが、DVDが発売されたこともあり、昨今ではそのくだらなさが面白いと見直す動きも。マリオたちのジャンプ力を無理矢理理屈づけたジャンプ靴や、リアルな恐竜なだけのヨッシーなど、よくぞ実写化したと思えるシュールなアイデアの数々は、映画のようにリアルなゲームが溢れる現代では逆に一見の価値があるかもしれません。
マリオそっくり(?)なマリオ役にはカンヌ俳優ボブ・ホスキンス、クッパ役に怪優、故デニス・ホッパー、そして『エイリアン』シリーズのビショップ役でお馴染みのランス・ヘンリクセンまで出演しているなど、意外と豪華な俳優陣にも注目です。
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1994年/アメリカ
配給:ユニバーサルピクチャーズ
原作:『ストリートファイターII』(カプコン/AC)
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東南アジア、悪の軍事国家シャドルーの独裁者、バイソン将軍に誘拐された人質を救出するため、連合軍のガイル大佐は部隊を率い乗り込むことを決意する。同名格闘ゲームの実写映画化作品。主演のガイル役にジャン=クロード・ヴァン・ダム、バイソン将軍に名優、故ラウル・ジュリア、その他キャミィ役にシンガーのカイリー・ミノーグなど、『スーパーマリオ』同様豪華なキャスティングからは制作陣の意気込みが伺えます。
本来は主役クラスであるリュウとケンが詐欺師という設定で脇役扱いであったり、チュンリーが大変残念な仕上がりであったり(可愛いチュンリーが観たい場合は後に制作された『ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』をどうぞ)、ガイルの髪型だけ全く再現されていなかったりと、突っ込みどころは満載。かっこいいリュウが「昇龍拳!」と叫んで敵をなぎ倒す様を期待して鑑賞し、愕然とした記憶がある人も多いのではないでしょうか。ただ、意味不明に次々変化するコスチュームや、拳ではなく銃を用いた戦闘シーンも笑い飛ばせるなら、B級娯楽映画としてはそれなりに楽しめる出来。ザンギエフの再現度だけは何故かかなりの高水準。
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2001年/アメリカ
配給:パラマウント, 東宝東和
原作:『トゥームレイダー』(Core Design, Eidos/PC, Mac)
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トレジャーハンター、ララ・クロフトの、父の死の謎を巡る冒険を描くアドベンチャー。ゲームだけに留まらず多方面で莫大な人気を誇る女性キャラクター、ララ・クロフトを、アンジェリーナ・ジョリーが演じたことで注目を浴び、その再現性の高さも相まって、ゲーム原作実写映画の中では最高のキャスティングと絶賛されることの多い本作。内容は超常現象を絡めた定番のアドベンチャーもので特に目新しさはありませんが、この映画の目的はアンジーの美貌と抜群のスタイルを華麗に駆使したアクションを堪能することだと考えれば、十分楽しむことができるでしょう。ジェームズ・ボンドを演じる前のダニエル・クレイグが出演している点もポイント。何も考えず美女美男の爽快なアクションが楽しみたい人向けの作品。『スピード』シリーズを監督したヤン・デ・ボンの手掛けた続編も公開されています。
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2002年/イギリス, ドイツ, アメリカ
配給:スクリーン・ジェムズ, アミューズピクチャーズ
原作:『バイオハザード』(カプコン/PS)
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表向きは製薬会社、裏の顔は細菌兵器の開発を行う巨大企業アンブレラ社と、ミラ・ジョヴォヴィッチ演じる主人公アリスとの闘いを描き、5作目まで公開された、ゲーム原作実写映画の中では最も成功したと言えるシリーズ。アンブレラ社やラクーンシティ、T-ウィルスなど、原作の設定を引き継ぎつつも、全く新しいアリスというキャラクターを主軸に据え、原作をただなぞるのではなく、映画だけの世界観を再構築したことがゲームファン以外の層も取り込み人気を博しました。ただ、アリスの存在感が強すぎてバイオハザードというよりアリス・サーガのようになっている点や、原作からのキャラクターの扱いに関しては好みが分かれるところ。また、ストーリーが完全に繋がっているため、鑑賞するなら1作目から観ることをおすすめします。
監督はSFホラー『イベント・ホライゾン』や、『エイリアンVSプレデター』の鬼才ポール・W・S・アンダーソン。やはりゲーム原作実写映画である『モータル・コンバット』や『DOA/デッド・オア・アライブ』(製作のみ)も手掛けているので、気になる人はこちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。
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2005年/アメリカ
配給:ユニバーサルピクチャーズ, UIP
原作:『Doom 3』(id Software, Activision, Bethesda Softworks/PC, Mac, Xbox)
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2046年、火星にある研究所からの救助要請に応え、海兵隊RRTS(緊急対応戦略部隊)のメンバーがアークと呼ばれる瞬間移動装置を使って火星へ送り込まれる。異形のクリーチャーたちとRRTSのメンバーとの闘いを描くSFホラー。主演はプロレスラー出身のザ・ロックと『ロード・オブ・ザ・リングス』や『RED』のカール・アーバン。
どこかで観たこと聞いたことがあるような設定をふんだんに盛り込んだB級ホラーで、目新しさを求めずありきたりのB級映画と考えればそれなりに楽しむことができます。何よりこの作品の目玉は、後半の5分半のFPSシークエンス。カメラアングルが完全に一人称目線となり、次々と襲い来る敵を華麗に倒していく様は、まるで誰かの神プレイ動画を観ているかのよう。それが実写となれば見応えはかなりのもので、そのシークエンスを観るためだけに鑑賞する価値はあると言えます。5分半と言わずもっと盛り込んで欲しいぐらいですが、このシークエンスを撮るだけで14日間かかったとなれば、それも難しいのかもしれません。
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2006年/カナダ, フランス
配給:ソニー・ピクチャーズ, トライスター・ピクチャーズ, コロンビア映画
原作:『サイレントヒル』(コナミ/PS)
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霧に包まれた呪われた街、サイレントヒルに迷い込んだ母娘の体験する恐怖を描くホラー。『バイオハザード』シリーズなどと異なり、ゲーム原作実写映画にありがちなアクションや派手さではなく、生理的嫌悪感や不安感を煽るような日本的な恐怖を美しい映像美で描き、高い評価を受けました。霧に包まれたゴーストタウンであるサイレントヒルの街や、錆に覆われた裏世界とその変貌シーンはどれも美しく、原作が持つ独特の不気味さを見事に継承しています。また、大半のクリーチャーをCGではなくメイクを施した生身のダンサーが演じ、CGでは表現できない不気味さにはアート性まで感じさせられます。特にナースのクリーチャーのシークエンスは演出とビジュアルともに必見の出来。
原作では父親だった主人公を母親とすることで、「母の強さ」が一貫としたテーマとなっており、複雑な物語がわかりやすく、また、感情移入しやすくなっています。プロットにおける余韻や間のとりかたも絶妙で、名作と呼ばれる原作に負けず劣らずの完成度と呼べるでしょう。ただし、原作同様残虐、グロテスク描写が多めなので、苦手な方はご注意を。
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2012年/日本
配給:東宝
原作:『逆転裁判』(カプコン/GBA)
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主人公の弁護士、成歩堂龍一が被告人の無罪を勝ち取るまでを描く人気法廷バトルアドベンチャーゲームの実写映画化作品。2Dのイラストならではの破天荒な外見と名前の個性的過ぎるキャラクターたちや、ゲームならではのシステムを生かした法廷バトルが特徴の原作を、どう実写化するのか、果たして実写化して面白いのか、が本作の最大の関門でした。しかし、そこはあらゆるジャンルの映画を年間大量に生み出す鬼才、三池崇史監督。ストーリーやビジュアルは原作に忠実に再現しつつも、しっかり1本の映画として楽しめる出来にまとめられています。CGを駆使した法廷バトルシーンはテンポよく、見応えも抜群。ゲームに忠実過ぎる登場人物たちの見た目にさえ拒絶反応を示さなければ、シリアスと笑いが程よく合わさった法廷ミステリーとして楽しめます。トノサマンやタイホくんなど、原作ファンへの細かいサービスも随所に散りばめられ、思わずニヤニヤしてしまうかも。個人的に、成歩堂演じる成宮寛貴にはかなりしっくり感じました。
『Warcraft』
2016年公開予定
製作:レジェンダリー・ピクチャーズ, ユニバーサル・ピクチャーズ
原作:『World of Warcraft』(Blizzard Entertainment /PC, Mac)
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Blizzard Entertainmentの人気MMORPG『World of Warcraft』のハリウッド映画化作品。監督がサム・ライミから『ミッション: 8ミニッツ』や『月に囚われた男』のダンカン・ジョーンズへ変更されたり、度重なる公開延期など制作が難航してる様子でしたが、今月に入り主要キャストが発表されるなど、進展の兆しが見えてきています。重厚な世界観をベースに人間とオークたちとの争いを描くという本作の公開は、2016年3月11日が予定されています。
『KAZ: Pushing the Virtual Divide』
『Gran Turismo』
公開未定
製作:ソニー・ピクチャーズ
原作:『グランツーリスモ』シリーズ(ソニー・コンピュータエンタテインメント/PS, PS2, PS3, PSP)
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1997年に発売されてから根強い人気を誇る、ドライビング&カーライフシミュレーターゲーム『グランツーリスモ』の開発の裏側に迫るドキュメンタリー映画。『グランツーリスモ』の15年間の歴史を、自動車業界のキーパーソンたちへのインタビューや、プロデューサー、山内一典への密着取材を通じて描くもので、監督はポルシェチューナーを題材にした短編ドキュメンタリー『Urban Outlaw』で注目されたタミール・モスコビッチが担当。2013年9月にトレイラーが公開された後の発表はありません。さらに、GTアカデミーでのプロレーサー誕生のストーリーを描いたハリウッド映画も制作が水面下で進められており、こちらも続報が待たれます。
『アンチャーテッド』
公開未定
原作:『アンチャーテッド』(Naughty Dog, ソニー・コンピュータエンタテインメント/PS3)
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高度なグラフィックと滑らかなアニメーションで人気のアクションアドベンチャーシリーズの映画化作品。“PLAYする映画”とのキャッチコピー通り、映画のような演出が特徴の原作をどう実写化するのか注目です。監督がデヴィッド・O・ラッセルからニール・バーガーへ交代し、更にニール・バーガーの降板が噂されるなど、2009年に発表されてから制作が難航している本作。『The Last of Us』のイースターエッグでジャスティン・ビーバーがネイト役を演じることを報じる新聞が発見されたことから、ジャスティン・ビーバーはおふざけだとしても、辛うじて制作が進行していることに期待しましょう。
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以上、20年前のタイトルから現在制作進行中(?)の期待のタイトルまで、全10タイトルをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。読者の皆さんも、ここで挙げられていないお気に入りのゲーム原作実写映画があれば、是非コメント欄にて教えてください!