任天堂のネットワーク、未来は明るいのか、暗いのか 2つの記事で議論

慎重姿勢ではありながら、着実にゲームとネットワークの融合を図ってきた任天堂。昨年末にはニンテンドーネットワークやMiiverseといったサービスがWii Uだけでなく3DSにも搭載され世界が広がっています。

任天堂 Wii U
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慎重姿勢ではありながら、着実にゲームとネットワークの融合を図ってきた任天堂。昨年末にはニンテンドーネットワークやMiiverseといったサービスがWii Uだけでなく3DSにも搭載され世界が広がっています。そんな任天堂のネットワークに対する相反する2つの記事が注目を集めています。

産経新聞は9日、関西発で「ソニー・MSから“周回遅れ”「任天堂」ネット対応の酷さ…“いじめの温床”3DS、“通信脆弱”WiiU」と題する記事を掲載。Wii Uのインターネット対応の問題点や、ソニーが先日発表した「PlayStation Now」などに代表されるクラウド対応の遅れを指摘しています。

一方、WiiUの販売不振の原因の一つはネット環境の脆弱(ぜいじゃく)さといわれている。 WiiUには有線の接続ポート(端子)はなく、無線でネットにつなぐか、無線環境がない場合は別売りの「LANアダプタ」を購入することになる。据え置き型ゲーム機でネットに接続して対戦ゲームなどを行う場合、わずかな遅延でもゲーム進行の妨げになることから、通信が安定する有線で遊ぶことが常識だ。このため、無線機能しかなく、アダプタも高速通信に対応していないWiiUが「ゲーマーに不人気なのは当然だろう」


同じく9日、日経ビジネスオンラインはゲームジャーナリストの野安ゆきお氏の署名記事で「2014年、ゲーム業界を占う」と題する記事を掲載。任天堂に限らずゲーム全般について2014年の動向を予測しています。その中では任天堂のネットワークシステムについて次のように前向きな評価を与えています。

「ニンテンドーネットワーク」とは、Wii Uの発売と同時にスタートしたオンラインサービスのこと。 (中略) 通常のSNSとは違い、これはゲーム機の仕組みそのものに、ガッチリと組み込まれています。たとえば、ゲームをプレイしていると、そのプレイ状況に即したゲーム情報がリアルタイムで飛び込んでくる、といった仕組みを持っています。テキストや画像だけではなく、ゲームのデータそのものが、どんどんユーザーの元に届くのです。そんなネットワークシステムに、ついにニンテンドー3DSが組み込まれました。これにより、Wii Uの発売と同時にスタートしたシステムは、一夜にして、約5000万台のゲーム機が新規接続された巨大なネットワークシステムへと変貌しました。


この異なる2つの見方、よく読んでみると、前者が通信方式やクラウドといった技術に着目しているのに対して、後者はその技術によって実現するゲームに着目していることが分かります。技術的な優劣よりも、それを使って何をするかが重要なのは言うまでもありません。

産経新聞の記事では『いつの間に交換日記』『うごくメモ帳3D』で発生したわいせつ画像のやり取りの事件が取り上げられています。子供が安心して遊べる環境の提供は任天堂にとって非常に重要な事で実際に対処が行われたわけです。しかし「3DSが犯罪の“温床”になっているため」とまで書くからには相応の根拠を示していただきたいところです。

今やゲームの標準機能とみなされるようになったネットワーク。しかしその利用のハードルにはユーザーによって大きな差が出来てしまっているのも事実。ゲームのネットワークをどのように提供していくべきか。みなさんは2つの記事、どのように受け止めましたでしょうか。

《土本学》

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