好き嫌いがけっこう多い筆者なワケですが、食にこだわりがあるワケではないつもりが、実はしっかりとこだわりを持っていることに最近気付きました。「安っぽいもの・庶民派」にこだわっていたのですよ!(笑)追い求めているものは、デパートの上層階のレストランには絶対ないのです。スーパーのお惣菜コーナーやコンビニにこそあるのです(笑)。
というわけで、今回プレイするのはライドオンジャパンのニンテンドー3DSダウンロードソフト『不思議の国の冒険酒場』です。
原型となったケータイアプリ、現在の形となったiOS版が好評を博し、PSP、Androidに移植され、満を持して3DSに登場した本作。筆者は全くの初プレイなワケですが、公式サイトによると、3DS版ではかなり細かなチューニングが施されているようで、2画面を活かして見易く、遊びやすくなっているようですネ。本作の遍歴を見ると、良作の予感がプンプンします。それでは、早速プレイしていきましょう。
※画像はiPhoneで無理矢理ニンテンドー3DS本体画面を撮影したものです。
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本作のジャンルは「酒場経営RPG」。主人公「シーラ」は姉「カメリナ」と共に、亡き両親の後を継ぎ「シュペック亭」という酒場を営んでいます。しかし、その立地の良さから一流料亭「七天使亭」の経営者「グスタフ」に目をつけられ、いやがらせを受けるようになってしまいます。両親から受け継いだ店を守るため、国で一番の店になることを決意した「シーラ」は、自ら料理に腕を振るいつつ、食材集めに各地を奔走。料理コンテストでの優勝を目指しながら冒険します。
と、ザっとあらすじを書いてみたもの、プレイしてみると自然な流れなのですが、文章だとなかなかハチャメチャですね(笑)。要するに、「料理で酒場を経営するシミュレーション要素」と、「フィールドを冒険してモンスターと戦いながら料理の素材を集めるRPG要素」が、綿密に絡み合ったゲーム、という感じです。
■料理作りはすべての基本
料理には、おおまかに2つの役割があります。
・酒場に並べるメニュー
・プレイヤーキャラのレベルアップ
前者は酒場経営ということで想像がつきやすいと思うのですが、後者は本作の特徴とも言える要素。本作はモンスターを倒してもレベルアップに直結する経験値はもらえず、料理を食べることで経験値が増え、レベルアップしていきます。レシピをお店で買ったり、レシピのヒントをもらえたり、自分オリジナルで挑戦してみたりと、さまざまな方法で料理を作ることが可能です。素材や器具を手に入れまくって、料理を作りまくるのが本作の基本となってきます。
■物語進行のカギは料理コンテストと酒場経営
10日に一度開かれる料理コンテストには、自慢の料理を持ち込んで、ナンバーワンを目指しましょう。料理コンテストに優勝したり、酒場の売上を高めていったりすると「酒場ランク」がアップ。酒場ランクを上げることが物語を進行する重要なポイントとなります。
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食材を収集するためには、フィールドにランダムで配置されているものをサクサク拾ったり、ランダムエンカウントするモンスターと戦って倒したりする必要があります。それら「探索」をラクにこなすためには、主人公らのレベルアップやより良い装備などが必要。そうなってくると、良い料理を食べたり、お金が必要になったりするわけですが、そのためには、良い料理を酒場のメニューに並べてしっかり売ってお金を稼ぐ必要が出てくるわけです。
酒場経営を重視するか、プレイヤーの強化を重視するか、プレイスタイルによってさまざまなパターンがありそうです。ちなみに筆者は、酒場経営で余った料理を軸にレベルアップさせるスタイル。お金が貯まれば装備はもちろん、食材もある程度買い揃えることができるので、料理の幅が広がります。絶妙なバランスです。
■システム面における自由度の高さ
さすがに非効率なので自分で試そうとは思わないのですが、その気になれば街を一歩も出ず、買い物と酒場経営だけでそこそこ物語を進められるぐらい自由度が高いです。RPG部分ではそれほど重い物語がなく基本的に一本道なので、全てにおいて自由度が高いというワケではありませんが、料理を食べることによる成長、パーティーの組み換えなど、システム面での自由度がとにかく際立ちます。
1日でできる行動は、酒場経営のセッティングと、自分の街以外のフィールドや街への旅のみ。どこに行って、何をするか、何の食材を手に入れるか、どうやって手に入れるか、誰を連れていけば有利か・・・プレイヤーの好みでさまざまなやり方があると思います。
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デフォルトの設定が不便に感じました。特に料理作りの際、一度レシピを開いてキャンセルすると、カーソル位置が一番上に戻ってしまう点。中盤以降レシピの量が膨大になってくるので、レシピ探しも一苦労です。オプション設定で「カーソル位置」を「記憶」にすれば、そのレシピにカーソルが合わさったままになるので、便利です。
というか、誰でもこっちの方が便利だと思ったりするわけです。ゲーム初心者はオプションはデフォルトのまま遊ぶ人も多いと思うので、デフォルトを「記憶」にした方が親切だったのではないかと思いました。
■行き詰まったときの作業感
中盤、敵も強くなり、なかなか新しい食材も手に入りにくくなり、レベル上げや酒場経営をコツコツとしなければならなくなる場面が続いてしまいやすいかもしれません。グっと我慢して、経営でお金を稼ぐ必要があります。ここで、ちょっとダレてしまうかもしれないので、プレイする人は中盤の「グっと我慢」を覚悟しておいてくださいネ。
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ダウンロードゲームとは思えないレベルの完成度とボリューム!
一昔前の2DRPGが好きな人ならハマること間違いなし!
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ドットによる2Dグラフィックも描き込まれていて、スーパーファミコンの後期、初代PlayStationの初期を彷彿させます。この時代のグラフィックが好きな筆者にはたまりません(笑)。また、画面もスッキリしていて、2画面を上手く使った情報表示や、タッチ操作や3D描写をあえて全く使っていないことも、わかりやすくて良いと思います。
肝心のゲーム内容については、ボリューム感はあるものの、作業感がないかと言われると否定できず。淡々と繰り返し同じことをしなければならないような場面に出くわすこともありました。それでも、ゲーム全体のテンポが良いので、そこまで気になりませんでした。難易度は若干高いかもしれませんが、シミュレーションゲームやRPG、某狩りゲームなどの経験者であれば特に問題なくプレイできると思います。
【こんな人にオススメ】
・某錬金術士シリーズが好きな人
・「経営」が好きな人
・RPGが好きな人
・スーファミ~PS1初期ぐらいのテイストのゲームが好きな人
・本編そっちのけでついサブクエストに夢中になっちゃう人
食材を集めて、レシピを考えて、料理を作ることがとにかく爽快で楽しいです。料理ありきで、酒場経営ゲームとRPGの台座に載せたゲームであると感じました。プレイヤーによってそのプレイスタイルは千差万別だと思うので、どこに楽しさを感じるかも人それぞれ。非常に懐の深いタイトルです。
ちなみに、公式サイトやYouTubeでは本作の紹介映像が公開されているので、こちらもぜひご覧ください。
■不思議の国の冒険酒場 紹介映像
YouTube 動画URL:http://youtu.be/T2YHKTDk2OM
【そそれぽ】は基本、一度は「エンディング」を見てからプレイレポートを書くことを目標にしているのですが、本作はとにかくボリューム・やりごたえがあり、今回は「エンディング」に辿り着くことができませんでした。申し訳ないっす。ってゆーか、このゲーム、このボリュームで、この完成度で、ホントにこの価格で出しちゃって良いのでしょうか?(笑)
【そそれぽ】第96回、いかがでしたでしょうか?早く梅雨が明けてほしいと願いつつ、また猛暑も嫌だなと思っている今日この頃です。次回もどうぞお楽しみに!
『不思議の国の冒険酒場』は、好評配信中で価格は600円(税抜)です。
(C)RideonJapan,Inc.
(C)Rideon,Inc.
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津久井箇人 (つくいかずひと) a.k.a. そそそ
愛内里菜らに楽曲提供をし、VOCALOID音楽のクリエイターとしても有名な作・編曲家。ゲームを紹介するブログ記事が評価され、2011年からINSIDEでライター活動を開始。レトロゲームから最新ゲーム、戦略SLGから格ゲーまで、幅広いジャンルのゲームをプレイする。
Twitter:@sososo291
ブログ:sososo activity