今回のインタビューは、まず本作を手掛けたPlich氏が自らコントローラーを取りシングルキャンペーンの一部を実演。その後、ゲームプレイの中で気になった点や本作の目玉であるCo-opモードについて質問しました。プレイしてもらったのは主人公Arnoの初任務となる暗殺ミッション。「自分らしく殺す」をモットーに自由に立ち回ればいいとのことです。
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本作では「ブラックボックス」というシステムを採用。プレイヤーに与えられる情報は暗殺対象の名前や顔、侵入口の数などに限られており、暗殺プロセスは完全にユーザーの手に委ねられます。おびただしい警備兵を相手に正面突破を試みてもよし、秘密工作を駆使して対象が孤立する状況を演出してもよし。広大なオープンワールドには多数の侵入経路や攻略手法が秘められています。
筆者は抜刀して玄関からカチコミして欲しかったのですが、Plich氏はステルスプレイに専念すると宣言。「モードミッション」と呼ばれるゲームシステムの説明を始めました。これは複数のサブクエストをこなすことによって確実なアプローチでターゲットへ接近できるというもので、攻略プロセスを細かく分割した模範解答といえるでしょう。
この任務では、暗殺対象がノートルダム大聖堂内の懺悔室で密会を行う予定であるとの情報を得て、ターゲットを一旦変更。密会相手の手下を先に殺害することですり替われるというもの。スモークボムで手下を白煙で包み込み静かに刺殺しました。次に別の人間から大聖堂の窓を開錠する鍵を盗みますが、これも殺してぶんどるのではなくこっそり拝借。騒ぎは起こしたくないとのこと。これで対象の暗殺に必要な材料は全て揃いました。
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次に大聖堂の屋根に上りパリの街を一望。これまでのシリーズではなかった大規模なオープンワールドを構築したとのことです。盗んだ鍵で窓から侵入した後は、ラテン語響き渡る堂内向かって豪快なダイブ。積まれた藁の山に飛び込みます。ターゲットはもう目と鼻の先。護衛は数人。不審者の気配を嗅ぎつけた1人が接近してきますが、飛び出して一突きで殺害します。そのまま藁へ引きずり込むその間わずか数秒の出来事。大聖堂では何事もなかったかのように祈りが捧げられています。
獲物が懺悔ブースに入室したらあとは料理するだけ。手下のフリをして隣の個室から仲良く会話をしている最中に薄い壁を突き破って首を串刺しです。ここでの過去作との相違点は、任務はまだ終わっていないということ。家に帰るまでが遠足です。本作では暗殺対象を消した後、無事に撤収して初めて任務完了とみなされます。異変に気がついた護衛がワラワラと警戒態勢に入る中、仕事を終えたArnoはすたこらさっさと地下下水道から脱出。デモはここで終了です。
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――本作を開発するにあたって、1番楽しかった部分はどこですか。
Benjamin Plich:やっぱりマルチプレイですね。これまでシングルプレイ専門でやってきたので、最初は開発チーム内に反対の声もありました。だけど、タイミングを計った同時殺害の緊張感や成功した際の爽快感は筆舌に尽くし難いものだったんです。ほかには、初めてのオープンワールドへの挑戦ということもあったのですが、個人的にはマルチプレイが1番お気に入りです。
――そのマルチプレイが本作の目玉ということですが、シングルプレイのみでも楽しめるのでしょうか。
Benjamin Plich:はい。全てのミッションは1人でもできます。シングルキャンペーンも用意されていて、主人公Arnoにフォーカスしたメインストーリーです。ボリュームは『Assassin's Creed IV Black Flag』と同じくらい。内容は親を殺されたArnoの復讐劇です。テンプル騎士の恋人も登場して複雑な関係が描かれます。
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一方でCo-opモードはフランス革命時代におけるブラザーフッドの活動を映していて、Arnoとは直接関係のない内容です。政府にまつわる話といった歴史的に重要な出来事を描きたかったのですが、Arnoとの関わりがなくなる部分が多いのでシングルとマルチで物語を別々に作ることにしました。
ただ、マルチ用のストーリーを1人で遊ぶことはもちろん可能です。通常はゲーム途中で他のプレイヤーのゲームに参加したり、もしくはその逆だったりしますが、誰にも干渉されたくないユーザーはプライベートモードに設定すれば単独で楽しむことができます。つまり、全てのゲームコンテンツは1人でもクリアできるということです。
――シリーズ初の次世代機およびPC専用タイトルということで、どのような点が進化しましたか。過去作との違いを教えてください。
Benjamin Plich:次世代機パワーでおよそ5000人のNPCを同時に動かすことができるようになりました。過去作との違いについてですが、近年のシリーズは初期の作品に比べてアクション性が高いゲームになってきていて、ファンから不満の声も出ていたんです。今回はもう一度原点に返るという意味で、ステルス性に重点を置いたゲーム設計にしました。
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――建物にはどこからでも登り降りができるのでしょうか。前作との違いはありますか。
Benjamin Plich:はい。どこからでもアクセス可能です。さらに、今回から「降りる」という要素を追加しました。本作にも飛び降りるための藁の山は用意されていますが、あまりたくさん設置すると田舎くさいとか言われるし、パリの景観を損なうので、壁伝いに降りられる仕様にしたんです。
――広大なパリの街並みを見事に再現されていますが、建造物の内部はどの程度作りこんでいるのでしょうか。
Benjamin Plich:全体の25パーセントの建物には実際に入ることができます。さらに、屋外と屋内を移動する際は完全にシームレスです。ロード時間は一切ありません。
――ところで大聖堂内の人間を1人残らず皆殺しにすることは可能ですか。
Benjamin Plich:できます。実際、開発チームには好んで実行する者がいました。主人公のスキルを戦闘に特化したスタイルに成長させることもできるので、あなたのように戦うのが好きな人にも満足していただけますよ。
――過去作と違って暗殺をした際にホワイトルームに切り替わった演出がないようですが。
Benjamin Plich:はい。これまでのシリーズでは暗殺直後にターゲットと対話するという演出があったのですが、本作では対象の過去を映すことでストーリー補完の役割を担っています。
――それでは最後に、日本のアサクリファンへ向けてメッセージをお願いします。
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Benjamin Plich:本作の制作には4年を要したのですが、その間にファンから多くの要望をいただきました。自分だけのキャラクターが作りたいとか、マルチプレイ要素が欲しいとか、大きな街に戻りたいとか。それら全てのリクエストに応えることができたと思うので、ぜひ遊んでみてください。
――日本が舞台のアサクリを遊んでみたいというファンの声もありました。
Benjamin Plich:いいアイデアですね。うちのスタッフにも作りたいと思う人はたくさんいますよ。
――本日はお忙しいところ、貴重な体験をどうもありがとうございました。
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次世代機向けの処理能力とオープンワールドを引っさげて原点回帰を目指す新たなるアサシンの系譜。シリーズファンの要望に応えたというキャラクターメイキングとCo-opマルチプレイ要素に加えて、自由暗殺にフォーカスした「ブラックボックス」はゲームプレイにそれぞれの個性を花開かせてくれるでしょう。
Ubisoftが送るシリーズ最新作『Assassin's Creed Unity』は、PC/PS4/Xbox Oneを対象に、北米で11月11日、国内で11月20日のリリースを予定。価格は、PS4/Xbox Oneのパッケージ版が8,400円、ダウンロード版が7,500円、PC版が6,600円です。色とりどりのアサシンが一堂に会する2ヵ月後が待ちきれません。
記事提供元: Game*Spark