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「バイクライディングシミュレーター」と冠された『RIDE』は、PlayStation 4やXbox One上でプレイ可能な、美しいグラフィックスと滑らかな挙動を備えたゲーム。『MotoGPシリーズ』を生み出すMilestone社が手掛けているだけに、ゲームファンのみならずバイク乗りにも話題の作品です。会場には、ゲームメディアの他にバイクメディアなどもちらほら。現場には世界GP元MotoGPレーシングライダーの中野真矢さんもゲストとして参加して、トークショウが行われました。
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まず登壇したのは、パブリッシャーである株式会社インターグロー社長の竹内茂樹氏。今作は、ディベロッパーであるMilestone社がゲームエンジンをチューン・リファインし、バイクゲームでの蓄積をすべて取り込んだもの。国内外メーカーの実在のバイクとカスタムパーツを収録しているため、お好みで自在に組み替える事が可能です。また、アバターの調整だけにとどまらず、ヘルメットからスーツ、ジャケット、ブーツに至るまで公式ライセンスのギアを選択できるとあって、ゲームファン以上にバイクファンが楽しめるポイントとなっています。
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もちろんバイクが主体であるため、そのカスタムは充実の一言。車種外観はもちろん、エンジン、サス、ブレーキなど、多岐に渡るカスタムは、長く遊ぶためのポイントとなるでしょう。カスタムによっては排気音も変わりますし、実際のエンジン音も収録されているため、違いの分かる人にとっては楽しさが倍増する事間違いなしです。
前回の記事にあるように、本当に細かいところにまでカスタム・調整が可能となっています。『RIDE』では2015年の各メーカーのデータを反映させている上に、中型以上の市販車135車種を楽しめる作りとなっているため、既存のゲームユーザーのみならず、ゲームから離れてしまった人たちにリターンユーザーになって欲しい、と竹内社長。自身もバイクが好きで、だからこそ「これをきっかけにしてバイクに興味を持っていただいて、バイク人口を増やしていきたい。海外だとモータースポーツを楽しむ事が一つの文化として認められているが、日本だとまだまだそこまでいっていないので」と意気込みを語りました。
Milestoneでは「日本で自分たちのゲームを出したい」という情熱があり、竹内社長がバイクに乗っているという話からトントン拍子に話が進み、『RIDE』の発売につながったそう。やはり大変なのはローカライズで、操作方法や字幕、ナレーションなどもすべて吹き替えているために、それらが正しく表示されているかどうかをひたすらプレイする必要が。前述の通り、今作はパーツからギアに至るまでかなりの数が存在しており、フルローカライズであるために作業も多くなって大変……その上、日本で簡単に「マフラー」と呼んでも、実際はエキパイやサイレンサーなど細かく分かれているために、留意する点が多くあったそうです。
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ここで世界GP元MotoGPレーシングライダーの中野真矢さんが登壇。『RIDE』の魅力を語ります。子供の頃からゲームに興じてきた同氏は、レーサーとしての立場から「接地感」を重視すると発言。サスが沈み込む感触や、加速をした時、後輪にグリップ感が出るのは、どうやって作ったのかなと驚いたそう。
これを受けて竹内社長も同意し、昨年6月のE3で契約のサインをする際、「もっと接地感を出して欲しい」と要望をしたと明かし、「2015では解消する」との言葉を受けて納得したとの事。バイクが好きだからこそ、やはり気になるところは同じなのでしょう。
また、中野さんは映像のリアルさからくる「怖さ」もあると言い、ハイサイドの瞬間も嫌な感じに再現されているから夢に出そうと複雑な笑顔。フロントタイヤの感じが本当に嫌で、ビクッとしてしまうそうです。漫画「バリバリ伝説」に影響を受けて56番にこだわったという同氏は、同じように『RIDE』をプレイした子供たちが、将来バイク乗りになってくれたら嬉しいとも語りました。
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続いては、中野さんが実際のゲームを体験。実に細かい調整が可能な『RIDE』では、「どれくらい肘を出すか」といった調整も可能です。「イン側の肘をもうちょっと出したい。いま流行ってるんで(笑)」という要望にも応えられるのが、今作の強みでしょう。減速時の姿勢やスタートする時の足の位置など、バイクに乗っている人間にとってはニヤリとできるポイントが多く含まれていました。
またゴールした時の勝利ポーズも7種類から選べるという事で、自分の持っているスタイルをゲームに反映し、レースするだけではない様々な楽しみ方ができそうです。過去に戦ったレースコースを走った中野さんは、流石の走りを披露。画面に表示されている加速・減速・ライン取りのガイド以外で「ここは立ち上がり重視でアウトから攻めます」など、魅せるプレイで会場を沸かせました。
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お楽しみのレースプレイを終えると、さらにゲスト(?)として、MilestoneのアービンさんとミケーレさんがWebカメラで登場。イタリアの時間では朝8時過ぎだというので、早く出社したか会社に住んでいるかのどちらかでしょう。開発者の二人には様々な質問が投げかけられました。
日本のファンに対しては、「バイク好きな方やこれから好きになる方にプレイしていただいて、モータースポーツを普及させたい。そういう情熱から作っています。オンラインモードで世界中のプレイヤーと対戦も可能なので、大いに楽しんでください!」とコメントを残しました。
また、初回予約特典として、『RIDE』に登場する実際のレースコースやバイクデータが掲載されたフォトブック「メイキングオブ」が付属。日本語翻訳版なので、安心して世界にどっぷり浸かる事ができますよ!
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実際にプレイした感触は、美麗なグラフィックからくる臨場感と滑らかな操作感でした。表示は何種類かから選べるのですが、俯瞰での操作が遊びやすくておすすめです。カウル、ウインドシールドが眼前にあるモードでは、車体を倒した際の表示が実にリアルで、正直「怖さ」を感じてしまうほど。
シールドに映り込む路面や周囲の状況もリアルで高い臨場感はありますが、目まぐるしく画面が変わり、また加速もとんでもないため、酔ってしまいかねません。一般道を走るコースや「関東寺社巡り」などのコースでは90度のコーナーや「出っ張り」があるため、そこへ向けて突っ込んでいく怖さたるやかなりクるものがありました。
ここだけの話、筆者は6000mのコースを一周しただけで30回ほどは大クラッシュしてしまいました。もし現実なら、全身複雑骨折で全治30ヶ月超えです……。後ろのギャラリーの目線が突き刺さりました。慣れてくるとコース取りや減速のタイミングもはかれるため、流れる風景を楽しみながらツーリングするもよし、レースに勝利して酔いしれるもよし、でしょう。中野さんもおっしゃる通り、映像や実機の音やグリップ感からくる体験は、他では味わえないものです。実車の振動や視界のブレのようなものをこのグラフィックでやってしまうと、恐らく酔ってしまうのではないでしょうか。
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イベント終了後、「かつてレースゲームやバーチャのようなゲームをプレイしていた方たちに、リターンゲーマーとして楽しんでいただきたい」とあらためて語った竹内社長。バイクユーザーもゲームユーザーも、ファミコンで遊んでいたような世代の方々にも、このゲームを通じてあらたな楽しみを見つけて欲しい、そして「バイク人口を増やすために」という想いも胸に、6月の発売に向けて進んでいくそうです。各種カスタマイズが膨大になる今作だからこそ、自分の好きなメーカー、自分の好きなスタイル、かっこいいと思う姿を追求して、さらなる「自分の世界」を広げて行く事が、楽しさにつながっていくのだと確信しました。
バイクライディングシミュレーター『RIDE』は、2015年6月25日発売予定です。価格は、
PS3/Xbox 360版が5,800円(税抜)、PS4/Xbox One版が6,800円(税抜)。初回予約特典として、フォトブック「メイキングオブ」が付属されます。